財政再建への動き

破綻しかけている日本の財政を何とかしようという動きを見届ける
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20年度予算編成に関する財制審建議
 ヤフー・ニュース・サイトは6月6日にロイター配信として「2008年度予算編成、最大限の歳出削減努力を=財政審建議」〔東京 6日 ロイター〕を掲出。
 記事は、財政制度等審議会(財務相の諮問機関)が6日、20年度予算編成においても最大限の歳出削減努力を徹底すべきとした建議をとりまとめ、尾身幸次財務相に提出したと報じる。建議は、日本経済についてバブル崩壊の対応に追われる異常な局面から脱却したと評価する一方、財政は景気拡大に伴う税収増がある中でも大幅な財政赤字が生じる異常な状態が続いているとし、一段の財政健全化に向けた取り組みの必要性を訴えているとか。消費税率の見直しなど歳入面への具体的な言及は見送られたとのこと。建議は「2008年度予算編成の基本的な考え方について」と題し、日本の財政運営のあり方や歳出改革に向けた基本的な考え方を示すとともに、社会保障や地方財政、公共事業など個別分野の歳出改革の取り組みを明示しており、冒頭、日本経済の現状について「バブル崩壊や金融危機への対応に追われる異常な局面から脱却し、正常な状態を回復してきた」との認識を示す一方、財政に関しては「景気の拡大が続き、税収が大幅に増加する中においても、なお財政赤字が生じ、大きな負担を将来世代に先送りする異常な状態が続いている」と指摘し、「国と地方を合わせて対国内総生産(GDP)比148%もの膨大な過去の債務が存在することは、経済・財政運営の持続性にとって大きなリスク要因」と警鐘を鳴らしているとか。高齢化が進行し社会保障支出の増加が続くなか、安定的な経済成長を続けていくためには「経済の生産性向上のために資金が向かうとともに、国債の信認が維持されることが極めて重要」とし、「財政健全化に向けた取り組みの歩みを、いささかでも緩めることがあってはならない」と訴えているとのこと。その上で、アメリカやイギリス、EU諸国という他の先進国が最近になって相次いで導入している長期的な財政推計の事例を紹介。長期財政推計は、高齢化の進行に伴う歳出増加の財政への影響を分析し、財政の長期的な持続可能性を検証するもので、「人口の高齢化に対応した経済・財政運営のあり方を考える上で、多くの示唆を含む」と日本での導入の必要性をにじませたとか。高齢化社会の到来を踏まえ、当面の財政健全化目標である2011年度の基礎的財政収支(プライマリー・バランス)の黒字化を達成しても「それ以降にさらに社会保障のための歳出が増加し、再び収支が悪化しかねない」とし、プライマリー・バランスの均衡後も債務残高GDP比の安定的な引き下げが必要と指摘したとのこと。さらに、歳出・歳入一体改革を進めるにあたり、「政府の掲げる財政健全化の目標を確実に実現していくための道筋を明らかにすべき」と具体的な中長期目標の必要性を示唆しており、20年度予算においても「最大限の歳出削減に向けた努力を徹底して行っていく必要がある」としたとか。一方、歳入面では「2007年秋以降、本格的な議論を行い、2007年度を目途に社会保障給付や少子化対策に要する費用の見通しなどを踏まえつつ、消費税を含む税体系の抜本的改革を実現させるべく取り組む」との政府方針を追認し、社会保障分野において「基礎年金国庫負担割合の引き上げのための財源も含め、安定的な財源を確保し、将来世代への負担の先送りを行わないよう取り組む必要がある」と明記したものの、消費税率見直しの必要性などに踏み込むことは見送られたと記事は伝える。

公表資料:平成20年度予算編成の基本的考え方について
財政再建に事業仕分けが役立つとの主張
 12月10日付け日本経済新聞朝刊28面に「要らない予算どう見抜く?―政策評価に民間人の眼力を(中外時評)」の記事。
 記事は、「昭和の三大バカ査定」と財務省内で反省を込めて語られる予算査定として戦艦大和の建造、青函トンネル、そして伊勢湾干拓事業があり、時代の趨勢を見誤り、無用の長物をつくってしまったもので、公共事業談合や役人の裏金づくりなど予算を不正に使った事件もまことに許し難いが、一方で予算そのものが不要・不適切という場合も多く、戦艦大和などは予算を正しく執行して、壮大な無駄遣いをした好例と評した上で、空気の運搬車となりかねない一部整備新幹線や、教授の道楽を助けているかもしれない科学研究費補助金、作物より人々を養うというべき農業土木などは懸念があるとしつつ、不適切な査定を防ぐのは容易ではなく、財務省に政治家から圧力がかかることも一因だが、予算が適正かどうかは、執行から時間がたたないと分からないケースが大半だからだと説く。そして、それこそが、平成に入り政府が財政支出を伴って執行された政策を評価し、次の予算編成に生かす仕組みを導入した理由と説く。記事は、その仕組みの一つは13年から始まった政策評価制度であり、もう一つは9年の会計検査院法改正で検査院が「経済性、有効性、効率性」の観点からも調べるよう明記し、政策の評価というべき検査を始めたことであると解説する。そして、この二つの仕組みについて、関係者は精力的に活動し毎年、膨大な調査結果も出てくるのだが、どちらも今ひとつ迫力不足という印象をぬぐえないと評する。一つ目の内閣の政策評価制度については、各省庁が自ら過去に実施した政策を評価し、総務省がそれを点検する仕組みであり、各省庁は当然ながら政策の失敗を認めたがらず、そのため、ずいぶん昔に実施し、今は誰の目にも不要と映るような政策・予算に×印をつける程度にとどまり、総務省も同じ内閣の一員として他省庁の自己評価を厳しくチェックすることには、なかなかなりにくいと説く。もう一つの会計検査院の検査については、一時は検査の重点を予算の不適切な使用の摘発から、政策評価に移す構えもみせたが、先に発表した17年度の決算検査報告書で問題点を指摘した案件のほとんどは、不適切な使い方に関するものであり、大塚宗春会計検査院長は「労働局の会計不正の話などが出てきて、やはり(適正な執行という)検査の基本のところをきちんとみる必要があると判断した」と語っていると伝える。80兆円を超える予算を相手に、調査官は約850人で、不正摘発と政策評価の二兎を追うのは大変であり、また「政策のうち予算に関係する部分は、その効果などを調べて評価できるが、政策全体を評価するのは難しい」(同)という価値判断にもかかわる本質的な問題もあると説く。記事は、財政再建のために政策評価が重要だとすれば、難しくとも国の制度を見直す必要があり、米国の会計検査院は議会に属し、予算との関係が薄いものも含めて幅広く政策を評価して報告する一方で、各省には大統領任命の監察総監を中心に独立性の高い検査官が約1万人もおり、予算執行を厳しく点検していると紹介し、日本にとっても参考になるはずであり、会計検査院の職員増員や、一層の調査権限・独立性の確保が必要かもしれないと評する。もう一つ考えられることとして、記事は、民間人の眼力で政策評価を進めることを挙げ、政策シンクタンク、構想日本の加藤秀樹代表(慶応大教授)が各予算項目ごとに、その必要性や金額の妥当性などを判定する「事業仕分け」を16の地方自治体で実施してきており、それを国の予算についても試みるよう提案していると伝える。「例えば、科学研究費補助金について研究者を招き、公開の場で、どんな使い方をしているかなどをしつこく聞く。その質疑のあとで、審査にあたる一般の人の意見を聞けば、多分だいたい同じ判断になるはず」とか。加藤氏が「予算の大掃除」と呼ぶ事業仕分けを実施した自治体の多くは、その結果を予算編成に反映させ、歳出の効率化に役立てており、国の予算についても試す価値はあるとのこと。最近は税金の使い方を監視する市民グループの活動が成果をあげており、事業仕分けも取り入れて、民間人の常識をさらにいかせば「バカ査定」を見つけやすくなるのではないかと記事は説く。
財政再建に事業仕分けが役立つとの主張
 12月10日付け日本経済新聞朝刊28面に「要らない予算どう見抜く?―政策評価に民間人の眼力を(中外時評)」の記事。
 記事は、「昭和の三大バカ査定」と財務省内で反省を込めて語られる予算査定として戦艦大和の建造、青函トンネル、そして伊勢湾干拓事業があり、時代の趨勢を見誤り、無用の長物をつくってしまったもので、公共事業談合や役人の裏金づくりなど予算を不正に使った事件もまことに許し難いが、一方で予算そのものが不要・不適切という場合も多く、戦艦大和などは予算を正しく執行して、壮大な無駄遣いをした好例と評した上で、空気の運搬車となりかねない一部整備新幹線や、教授の道楽を助けているかもしれない科学研究費補助金、作物より人々を養うというべき農業土木などは懸念があるとしつつ、不適切な査定を防ぐのは容易ではなく、財務省に政治家から圧力がかかることも一因だが、予算が適正かどうかは、執行から時間がたたないと分からないケースが大半だからだと説く。そして、それこそが、平成に入り政府が財政支出を伴って執行された政策を評価し、次の予算編成に生かす仕組みを導入した理由と説く。記事は、その仕組みの一つは13年から始まった政策評価制度であり、もう一つは9年の会計検査院法改正で検査院が「経済性、有効性、効率性」の観点からも調べるよう明記し、政策の評価というべき検査を始めたことであると解説する。そして、この二つの仕組みについて、関係者は精力的に活動し毎年、膨大な調査結果も出てくるのだが、どちらも今ひとつ迫力不足という印象をぬぐえないと評する。一つ目の内閣の政策評価制度については、各省庁が自ら過去に実施した政策を評価し、総務省がそれを点検する仕組みであり、各省庁は当然ながら政策の失敗を認めたがらず、そのため、ずいぶん昔に実施し、今は誰の目にも不要と映るような政策・予算に×印をつける程度にとどまり、総務省も同じ内閣の一員として他省庁の自己評価を厳しくチェックすることには、なかなかなりにくいと説く。もう一つの会計検査院の検査については、一時は検査の重点を予算の不適切な使用の摘発から、政策評価に移す構えもみせたが、先に発表した17年度の決算検査報告書で問題点を指摘した案件のほとんどは、不適切な使い方に関するものであり、大塚宗春会計検査院長は「労働局の会計不正の話などが出てきて、やはり(適正な執行という)検査の基本のところをきちんとみる必要があると判断した」と語っていると伝える。80兆円を超える予算を相手に、調査官は約850人で、不正摘発と政策評価の二兎を追うのは大変であり、また「政策のうち予算に関係する部分は、その効果などを調べて評価できるが、政策全体を評価するのは難しい」(同)という価値判断にもかかわる本質的な問題もあると説く。記事は、財政再建のために政策評価が重要だとすれば、難しくとも国の制度を見直す必要があり、米国の会計検査院は議会に属し、予算との関係が薄いものも含めて幅広く政策を評価して報告する一方で、各省には大統領任命の監察総監を中心に独立性の高い検査官が約1万人もおり、予算執行を厳しく点検していると紹介し、日本にとっても参考になるはずであり、会計検査院の職員増員や、一層の調査権限・独立性の確保が必要かもしれないと評する。もう一つ考えられることとして、記事は、民間人の眼力で政策評価を進めることを挙げ、政策シンクタンク、構想日本の加藤秀樹代表(慶応大教授)が各予算項目ごとに、その必要性や金額の妥当性などを判定する「事業仕分け」を16の地方自治体で実施してきており、それを国の予算についても試みるよう提案していると伝える。「例えば、科学研究費補助金について研究者を招き、公開の場で、どんな使い方をしているかなどをしつこく聞く。その質疑のあとで、審査にあたる一般の人の意見を聞けば、多分だいたい同じ判断になるはず」とか。加藤氏が「予算の大掃除」と呼ぶ事業仕分けを実施した自治体の多くは、その結果を予算編成に反映させ、歳出の効率化に役立てており、国の予算についても試す価値はあるとのこと。最近は税金の使い方を監視する市民グループの活動が成果をあげており、事業仕分けも取り入れて、民間人の常識をさらにいかせば「バカ査定」を見つけやすくなるのではないかと記事は説く。
19年度予算編成に向けた財制審建議
 11月23日付け日本経済新聞朝刊7面に「財制審建議、交付税抑制で、国債発行縮小――財制審建議の要旨」の記事。
 記事は、財政制度等審議会が22日に19年度予算編成に向けた建議(意見書)を尾身幸次財務相に提出したと報じる。18年度当初予算で29兆9730億円だった新規国債発行について、19年度予算での「大胆な縮減」を提言しており、税収増に伴って増える地方交付税も、法定税率以下に抑えて国債残高の抑制に回すべきとの姿勢を示したとか。建議では毎年の財政赤字について「財政運営の常軌を逸している事態」と厳しく批判し、景気回復に伴う税収増を巡っては「税収の変動で歳出削減等の取り組みをゆるめることは厳に避けるべき」とし、安易な歳出増や減税の動きを強くけん制したとのこと。来年度予算編成の焦点に挙がっている地方交付税の抑制に関しては、国税の増収に伴ってその3割程度が自動的に増額配分されるため「財源余剰が見込まれる」と指摘し、「特例的に減算するなどで国債発行の縮小に充てるべき」と求めたとか。交付税特会の借入金の償還に宛てるのが筋ではないのかな。社会保障では、失業時に給付する雇用保険の国庫負担について「廃止を念頭に抜本的な改革を行う」と示したほか、生活保護に関しても20年度予算編成までに生活扶助基準の見直しや母子加算の原則廃止をするよう強く求めたと記事は伝える。道路特定財源を巡っては「一般財源化の実現を図るべき」と求めたものの、西室泰三会長が当初明言していた「全額一般財源化」という文言は入らず、実現の時期や範囲、手法には踏み込まなかったとか。消費税率引き上げに関しても、具体的な言及は避けたとのこと。

公表資料:「平成19年度予算の編成等に関する建議」〔財政制度等審議会 財政制度分科会、歳出合理化部会及び財政構造改革部会 合同会議の配付資料〕
法人税率引下げは新政府税調が積極的
 朝日サイトは11月20日に「法人税下げ、明記を検討 政府税調07年度答申」を掲出。
 記事は、政府税制調査会(会長・本間正明阪大教授)が、法人税率を引き下げる必要性について、12月にまとめる19年度税制改正答申に明記する方向で検討していると報じる。20年度以降の大幅な企業減税に道筋をつける文言の盛り込みが検討されているとのこと。法人税率の引き下げについては来年度以降の検討課題として、19年度答申には盛り込まないとみられていたが、足元の税収増を追い風に攻勢を強める経済界の意向に沿う形で論議を前倒しするとのこと。政府税調は現在、19年度税制改正に向けた議論を続けており、12月初めに安倍首相に答申の形で提出する予定であり、その19年度答申には企業減税の第1弾として、減価償却制度の見直しによる19年度中の減税が盛り込まれる見通しで、これだけでも5000億円規模の減税につながるが、さらに、日本経団連の御手洗冨士夫会長は今月13日、地方税分を含む39.54%(標準税率)の法人実効税率を「(アジアや欧州並みの)30%をめどに考えるべきだ」と述べたとか。法人税率を10%引き下げることで、減価償却の見直しによる減税のほかに4兆円を上回る規模の企業減税の実施を要望したもので、この経済界の要望に沿った内容の文言が政府税調の答申に盛り込まれれば、与党などが19年に論議する20年度の改正で、大規模減税の具体案が議論されることになるとか。記事は、そのツケは消費税の増税幅のかさ上げという形で国民負担に跳ね返ってくる可能性があると煽るが、それ以前に、経済界の要望と表現することに問題があるのではないか。法人税率軽減の恩恵が行くのは経営者と株主だけだ。したがって、経営者団体の要望というなら分かるが、経済界というのは妙だ。まだしも財界か。
財制審が雇用保険の国庫負担廃止を提言する方向
 11月1日にフジサンケイ ビジネスアイは「国庫負担の廃止を 財政審、失業手当で建議」を掲出。
 記事は、財政制度等審議会が31日に財政制度分科会などの合同部会を開催して社会保障などについて議論し、その中で、現在、予算に比べて支出が少ない状態が続いている雇用保険(失業手当)で、現状4分の1の国庫負担を廃止する建議をまとめることで合意したと報じる。雇用保険事業の柱である失業手当は現在、25%を国が負担、残りは労使の保険料で賄われており、国庫負担は18年度ベースで3939億円、19年度予算で3600億円(要求ベース)だが、バブル崩壊以降、失業者が増えたために積立金を取り崩すなどの運営を強いられ、一時、積立金は1000億円規模まで減少したものの、景気回復よって失業手当の受給者が13年度の月平均110万人をピークに、17年度の同62万人にまで減少したことで、積立金も2兆5000億円まで回復したとのこと。同日会見した西室会長は「現状では国庫負担なしで賄える。大型不況の際に制度が破綻しないように国による再保険などは検討すべきだが、国庫負担は19年度予算から不要としたい」と語ったとか。与党からは同保険の積立金1000億円を少子化対策に充てるという案も出ていたが、財政審はまず歳出削減を先行させ、財政再建を進める姿勢を明確にしたと記事は伝える。財政審ではこのほか、生活保護についても、現状はモラルハザードが生じているとし、支給水準引き下げや給付のあり方などの見直しが必要としているとか。同日の財政審で19年度予算概算要求の検討が一巡したことから、建議作成に着手し、今月21〜22日には尾身幸次財務相へ手渡す方針とか。
証券課税の増税を避ける議論
 10月31日付け日本経済新聞朝刊19面の「税収減招く株課税強化(一目均衡)」は、民主党の菅直人代表代行が29日のテレビ番組で株式の譲渡益に対する税制について「20%、場合によっては30%ぐらいに上げるべきだ」と述べたことについて、課税強化を同党の格差是正施策の柱にするというが、何か勘違いをしているのではないだろうかと疑問を投げる。記事によると、株式の譲渡益課税は長年、大口・反復売買の場合を除いて非課税だったが、平成元年年4月から消費税を導入することになり、財務省(当時大蔵省)が「株式譲渡益が非課税なのは金持ち優遇でおかしい」と主張して、証券界の猛反対を押し切ったとのこと。それまで投資家は株式の売却時に、有価証券取引税として売却代金の0.55%を徴収されており、元年4月以降は有取税が0.3%になる一方、売却代金の1%を「みなし譲渡益課税」として天引きされることになったとか。天引きが困る人は税率26%の申告分離課税を選択できたが、個人投資家の大半は面倒な申告を嫌い、要するに、株式売却時の税率が0.55%から1.3%になり、そして元年末に日経平均株価は史上最高の3万8915円を付けて、翌年からつるべ落としに下がり、税収の当ても外れたとのこと。「みなし譲渡益課税」の税収は元年度の6044億円から10年度の1012億円まで減少し、申告分離課税を選んだ人からの税収も、元年度の345億円から10年度には177億円に減少したとのこと。90年代は地価や株価が下がり、富裕層の資産も目減りしただろうが、これを「格差是正が進んで良かった」と喜んでいる人はまずいないはずで、資産価格の下落は深刻なバランスシート不況を招き、悪影響はさまざまなルートを通じて非富裕層まで幅広く及んだと記事は説く。民主党案に沿って現行の10%の税率を急激に引き上げれば、個人投資家が駆け込みで株式を売り、企業買収ファンドに買いの好機を提供するようなもので、企業経営者はじっくり経営に取り組む余裕を失い、日々株主対策に奔走しなければならなくなると記事は評する。税率は低い方が税収は上がり、例えば上場株式の配当に対する源泉徴収税率が15年4月に20%から10%に引き下げられ、株価に左右されやすい譲渡益課税と違い、毎年1兆円前後の税収があるため、税率を半分にする影響は大きいと想像されたが、ふたを開けてみると、上場企業が積極的に増・復配をし、18年3月期には3月期決算東証上場企業の配当金総額が4兆8959億円となり、15年3月期の2兆4934億円から倍増して、税収の落ち込みを完全に埋めたと記事は説く。「貯蓄から投資へ」は始まったばかりで、民主党案では、団塊の世代が3年間で受け取る退職金約50兆円が株式市場に流れてくる期待は持てず、国際的な金融センターの役割も、低廉な印紙税を納めるだけで譲渡益が非課税の中国に取って代わられるだろうと記事は説く。

 上場企業が積極的に増・復配したのは税率が低くなったためではなく、企業業績が好調だったためだ。
「成長なくして財政再建なし」の主張を裏付けるOECD報告
 10月19日付け日本経済新聞朝刊3面に「「成長なくして財政再建なし」、7割の国で確認――OECD24ヵ国分析」〔パリ=野見山祐史〕の記事。
 記事は、経済協力開発機構(OECD)が「景気回復で民間部門の成長ペースが速くなった国は、増税に頼らなくても歳入の伸びが高まり、財政が改善に向かう」という加盟国経済の分析結果をまとめたと報じる。調査対象の24カ国のうち、米英など7割で2004年から05年にかけてこの傾向を確認したとのこと。安倍晋三首相が掲げる「成長なくして財政再建なし」の主張を裏付けるような結果になったと記事は伝える。調査は加盟国の税収、社会保険料など公的部門の歳入の国内総生産(GDP)に対する比率を算出して分析したもので、歳入の伸びがGDPの伸びを上回ればこの比率は上がるが、04年から05年にかけてデータがとれた24カ国中、17カ国で比率が上昇し、財政状況の改善を示したとのこと。この間、社会保険料と税金を合わせた国民負担が増えた国〔←「増収措置を講じた国」の意か?〕はなかったとか。比率上昇の首位はアイスランド(3.7ポイント)で、米国(1.3ポイント)、英国(1.2ポイント)と続いたとか。米国は現在も01年11月を谷とする戦後最長の景気拡大局面にあり、国営の通信会社や金融機関を民営化し法人税を引き下げたアイスランドは04年下半期に前期比3%超成長し、05年中もプラス成長を保ったとか。OECDはこうした財政好転の背景について「民間部門の収益力向上により、経済全体の伸びを上回って企業の利益が増え、税収増につながった」と分析しており、政府が増税を急がなくても成長重視の政策で財政改善につなげられることを示したと記事は伝える。米国では1995年から2000年にかけても歳入のGDP比が上がっており、OECDは「この時期も税制の変更より景気回復が寄与した」(税制分析センター)とみているとか。景気回復が続く日本も04年の同比率が26.4%と、03年に比べ0.7ポイント上昇しているとも。ただ欧州連合(EU)内で財政赤字の大きいドイツ、イタリアをみると景気が回復したにもかかわらず伊の比率が05年に0.1ポイント低下し、独は横ばいにとどまっており、ドイツが付加価値税の引き上げを予定するなど、成長だけで財政を立て直せるとは限らない例もあるとも記事は伝える。
自民党研究会のデフレ克服・成長力強化PT、政府資産圧縮PTが最終報告書
 6月21日付け日本経済新聞朝刊5面に「自民財政研最終報告書、名目4%成長明記、労働力人口減に懸念」の記事。
 記事は、自民党財政改革研究会のデフレ克服・成長力強化、政府資産圧縮の両作業チームが20日にまとめた最終報告書で、4%の名目成長率を実現し、政府資産を圧縮することが財政健全化につながると指摘し、定年制廃止などの抜本策を通じて労働人口減少による成長率の低下を避ける一方、資産負債の一体改革法の制定で政府のバランスシート(貸借対照表)スリム化を急ぐよう求めていると報じる。与謝野馨経済財政担当相と中川秀直党政調会長は財政再建の前提として、平均で年3%の名目成長率を見込む方向で大筋合意しているが、自民党内の議論だけでまとめた今回の報告書は「4%成長」を明記して高めの成長による税収増で財政再建につなげる考えを鮮明にしたと記事は評する。一方で金融緩和の継続による成長かさ上げの期待は後退していて、「ゼロ金利の解除時期と上げ幅は政府の目指す経済の姿と整合的であるべきだ」との考え方だけを盛り込んだとのこと。最終報告は労働力人口の減少が経済や財政に与える影響に懸念を表明し、定年制廃止に加え、年齢差別禁止法の導入やフリーターへの税制優遇廃止、職業訓練制度の見直しなどを実現して、労働力人口の減少を食い止め、潜在成長率の底上げにつなげるよう提言したとか。あわせて発表した「政府資産圧縮」の最終報告書では競技場などの命名権の売却(1千億円)、低利用の庁舎などの売却(2兆円超)、官民で公共サービスの担い手を競う市場化テストの国有財産への適用(10兆円)といった具体策を提言しており、第三者機関や推進法の創設で資産圧縮を迅速に進めるよう求めたとのこと。
審議会を隠れみのにする財務省?
 朝日は6月16日に「竹中総務相、財務省批判 「審議会報告書は役所が執筆」」を配信し、竹中総務相が16日の記者会見で、財務相の諮問機関、財政制度等審議会が地方交付税の法定率引き下げを求める意見書を出したことをめぐり、「審議会の報告書は役所が書いている」と財務省批判を展開したと報じる。竹中氏は自ら設けた地方分権、通信放送の二つの私的懇談会の最終報告は「座長が書いた」と強調し、「本当に意見を聴くならそうすべきだ。特定の役所の主張が、審議会を隠れみのにして出てくる政策プロセスを見直すべきだ」と語ったと記事は伝える。
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