財政再建への動き

破綻しかけている日本の財政を何とかしようという動きを見届ける
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年金スライド条項をきちんと運用できない
 日経サイトは11月9日に「年金負担3.3兆円減の試算 デフレでも抑制策実施なら」を掲出し、会計検査院が9日に国の29年度決算の検査報告をまとめ、その中で公的年金の給付額を抑える「マクロ経済スライド」について試算していると報じる。記事によると、仕組みが導入された16年度から毎年度発動したと仮定すると、国の負担が累計3.3兆円削減できたことになるという。実際の発動は1度だけであり、検査院は「適切な給付水準の調整が年金財政にとって重要だ」と指摘したと記事は伝える。年金額は賃金や物価の変動に合わせて毎年、改定し、マクロ経済スライドは少子高齢化が進む中で年金制度を保つために、給付額の上昇率を賃金や物価の伸び以下に抑えるもので、今の現役世代が将来もらう年金が減りすぎないようにする仕組みだが、高齢者に配慮して名目の年金額を前年より減らさない決まりがあるため、物価や賃金が落ち込むデフレ状態ではマクロ経済スライドは発動しておらず、デフレが長引いたため、発動したのは物価と賃金の上昇率がともに2%を超えた15年度の1度だけだとか。検査院が、仕組みの効果を調べるために年度ごとに発動した場合の給付水準を試算したところ、28年度で実際の水準より5.0ポイント下回り、基礎年金の国庫負担分は実際と累計3.3兆円の差が開いたという。年金額が現役世代の手取り収入と比べてどの程度の水準にあるかを示す「所得代替率」は16年度が59%で、政府はマクロ経済スライドで26年度に54%に下げる計画だったが、実際は十分に機能しなかったため、所得代替率は62%に上がったとのこと。検査院は「給付水準の調整が適切に行われることが、将来世代の給付の確保のために必要だ」と指摘していると記事は伝える。マクロ経済スライドを巡っては、30年度から未調整分を翌年度以降に繰り越す「キャリーオーバー」が導入されており、物価や賃金が大幅に上がった時に未調整分をまとめて差し引くが、これまでのように物価や賃金が上がらなければ、繰り越し分はたまり続け、年金の支払いを抑える役割は果たせない可能性が高いと記事は評する。厚生労働省は年金の支給開始年齢を65歳から一律で引き上げなくても、マクロ経済スライドで年金財政を維持できるとしているが、実際は十分に機能しておらず、将来的に給付開始年齢の一律引き上げを迫られる可能性があると記事は伝え、財務省は世代間の格差をならすため、支給開始年齢を68歳まで引き上げる案を出したとも報じている。  記事が伝える29年度決算検査報告は概要が会計検査院サイトに掲出されている。記事が伝える試算は、この報告の「社会保障の動向と国の財政健全化に与える影響について」で行われているもので、その概要(PDF形式:132KB)も公表されている。