財政再建への動き

破綻しかけている日本の財政を何とかしようという動きを見届ける
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所得税増税案が財務省で浮上

 時事通信が3月23日に掲出した「難航必至の復興財源確保=所得増税案も浮上―政府・与党」は、東日本大震災の復興財源の確保について、政府・与党が子ども手当などマニフェスト(政権公約)施策の一部撤回に踏み切る方針だが、それだけでは「10兆円規模」(民主党幹部)ともされる必要額に遠く及ばず、新規国債の大量発行による財政の一段の悪化を避けるため、所得増税など時限的な特別増税案も浮上していると報じる。政府・与党は復興のため複数回にわたる補正予算の編成を検討するが、4月中にもがれき撤去や仮設住宅の建設など災害支援を中心とした23年度第1次補正予算案を編成し、その後、港湾や道路などの復旧を含めた本格的な補正予算を組むとのこと。財源に充てるため、23年度予算案で2兆2000億円を計上した子ども手当の見直しが検討されているが、3歳未満への7000円の上積みを撤回しても2000億円が浮くだけであり、子ども手当を撤回して自公政権下の児童手当に戻せば、約1兆8000億円を復興財源に回せるものの、「所得税・住民税の年少扶養控除を廃止したため、多くの世帯が実質負担増となってしまう」(政府関係者)という問題があるとか。さらにマニフェスト施策では高速道路無料化(予算額1200億円)が中止の方向だが、高校無償化(同4000億円)や農家の戸別所得補償(同6000億円)の見直しには政府・与党内に慎重意見が強いとのこと。一方、財務省は財源確保のため国債発行に踏み切る際は、その償還財源として所得税など特別増税が必要とみており、震災による景気減速が懸念される中での増税には各方面での反発が予想されるものの、財政規律を守るためには避けられないとしていると記事は伝える。

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国債の日銀引き受けの動き

 MSN産経ニュースが3月18日に掲出した「10兆円規模「復興国債」発行へ 全額日銀が引き受け
」は、東日本大震災を受け、政府が、復旧・復興のための補正予算編成に向け、主要財源として日銀が全額を直接引き受ける「震災復興国債」を緊急発行する方針を固めたと報じる。複数の政府筋が明らかにしたもので、発行額は10兆円を超す見通しとか。日銀や与党と早急に調整に入り、野党も含めた合意を目指すと記事は伝える。政府は、震災復興対策の新たな財源確保を目指し、平成23年度予算案で計上した子ども手当や高速道路無料化などの財源を全額充当することを検討したが、3兆3千億円程度にしかならず、有効な対策は打てないと判断し、新規国債の発行も検討されたものの、国債を市場に大量流通させれば財政事情が悪化する上、国債の格付けが下がり長期金利の上昇をもたらす危険性があり、このため、震災復興国債を日銀に引き受けさせる案が急浮上したとの由。日銀による国債引き受けは財政法5条で禁止されているが、同条のただし書きに「特別の事由がある場合において国会の議決を経た金額の範囲内ではこの限りでない」と規定されており、今回の震災は「特別な事由」にあたると判断したとか。日銀は日銀法で独立性を担保されており、難色を示す可能性もあるが、与野党に政府の関与を強める日銀法改正の動きがあることから最終的に引き受けに応じるとみられていると記事は伝える。平成7年の阪神大震災の復興対策では3度の補正予算で計3兆3800億円が計上されたが、今回の震災ははるかに規模が大きいことから「10兆円や20兆円では足りない」(亀井静香国民新党代表)との声もあるとのこと。一方、自民党の谷垣禎一総裁は時限増税を提案したが、菅直人首相は「日本経済をさらに悪化させかねない」として否定的な考えを示しているとのこと。政府・与党が目指す復興対策の平成23年度補正予算編成では、23年度予算案に計上された子ども手当(2.2兆円)や高速道路無料化(1千億円)、高校授業料無料化(4千億円)、農業戸別所得保障制度(6千億円)などに充てる予定だった財源を振り分け、残りを震災復興国債で賄う方針で、道路や橋梁、港湾などについて建設国債発行も検討されているとか。

 日経電子版が3月18日に掲出した「震災復興国債の日銀引き受け 財務相ら否定」は、野田佳彦財務相が18日午前の閣議後の記者会見で、与党内の一部で浮上している東日本巨大地震の復興経費をまかなうため日銀に国債の直接引き受けを求める案について「慎重な検討が必要だ」と述べたと報じる。「国債の市中消化も円滑。政府で具体的に検討していることはない」と強調したとのこと。与謝野馨経済財政担当相も同日の会見で、「企業も家計も手元流動性が潤沢だ。日銀が特別なことをやることはない」と否定的な見解を示したとか。

 日銀引き受けを行わせるということは日銀を独立させている意味がなくなる。

22年度の税収はまずまずの進捗

 日経電子版が3月1日に掲出した「1月の税収実績、前年比2.3%減の3兆1714億円」〔日経QUICKニュース〕は、財務省が1日に発表した1月の税収実績が、一般会計の合計が前年同月比2.3%減の3兆1714億円で、22年4月からの累計で11.3%増の26兆3823億円となり、22年度予算(補正後)に対する進捗率が66.5%と「まずまずの進捗」(財務省)と報じる。項目別にみると、12月に支給された年末賞与の減少などを受け、所得税の源泉分が1兆4958億円と1.3%減少しており、制度改正に伴い前年同月が増加していた反動で、相続税も35.2%減の987億円だったとか。たばこ税は0.7%減の764億円で、10月からのたばこ増税に伴う駆け込み需要の反動減が響き、3カ月連続で減少したが、財務省は「数量の落ち込みは改善しており、2月の税収はもう少し上がるのではないか」とみているとか。

危機感が広がり始めている

 J−CASTニュースが3月3日に配信した「米国格付け会社が国債格下げ それでも円上昇、「安全資産」の評価」は、日本国債の格付けが引き下げられ、米格付け会社「スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)」は2011年1月27日、21段階中、上から3番目の「AA(ダブルA)」から1段階引き下、「AA−(ダブルAマイナス)」とし、米ムーディーズ・インベスターズ・サービスも2月22日、格付け見通しを「安定的」から「ネガティブ」に変更して現在は21段階中3番目の「Aa2」から引き下げる可能性を示したと報じる。国と地方を合わせた債務残高(期間1年超)が、23年3月末で869兆円と、国内総生産(GDP)の1.8倍に達するという、先進国で最悪の財政状況にあり、財政赤字削減が進まないのを問題視したのだと記事は伝える。S&Pは14年4月に「AA」から「AA−」に引き下げ、19年4月に「AA」に戻していたが、今回の引き下げについて、32年度に基礎的財政収支(プライマリーバランス)を黒字化する政府目標について「大規模な財政再建策が実施されない限り、達成できない」と指摘し、「債務問題に対する一貫した戦略が欠けている」と民主党政権を批判しているとか。ムーディーズも「債務と成長に関する課題に対し、与野党が有効な政策を 打ち出す能力に不透明感が高まった」と指摘しており、いずれも、6月をめどとする「税制と社会保障の一体改革」のとりまとめが一段と不透明になるなど菅直人内閣の政権運営、また野党自民党の政局優先の対応を含め、日本政治の行き詰まりを重視しているとのこと。ところが、これで「日本売り」になったかというと、そう単純ではなく、確かに、S&Pの格下げがあった1月27日の東京外為市場では、1ドル=82円台前半で取引されていた円相場が83円20銭台まで急落し、長期金利の指標となる新発10年物国債の利回りも一時、前日比0.015ポイント高い年1.250%まで上昇し、2月中旬には同利回りは1.3%台半ばへ、10カ月ぶりの水準に上昇したが、その後は中東情勢の緊迫化に伴う世界経済の先行き不透明感が広がるに連れ、「リスク回避通貨」として外為市場では円買いが強まり、1ドル=82円台に戻し、長期金利も1.2%台に逆戻っているとか。ムーディーズが日本国債の見通しを「ネガティブ」とした2月22日の東京債券市場は、国債利回りが1.27%と前日より0.035ポイント低下(国債価格は上昇)し、「ムーディーズの影響はほとんどなかった」(アナリスト)とか。言うまでもなく、日本国債は95%が国内で消化され、海外保有比率が高い欧米とは際立った違いがあり、1400兆円以上の個人金融資産の範囲内で、少なくとも現状では「日本国債暴落」などの兆候はなく、むしろ国際的な「安全資産」とみなされているのだが、毎年40兆円を上回る国債発行を続けていればいつか、限界が来るはずであり、慶応義塾大学の土居丈朗教授はテレビなどで「2013年に国と地方の借金が国民の金融資産を上回る」と指摘していると記事は伝える。個人金融資産は、住宅ローンなどの負債を差し引くと、実質は1000兆円であり、国債増発が続く一方、団塊世代のリタイヤで資産が取り崩されていくことから、2、3年で国の借金を国民が買いきれなくなるとの由。さらに、23年度予算の関連法案が、「ねじれ国会」のため成立が危ぶまれ、公債特例法案もその中に含まれていて、不成立なら赤字国債が発行できなくなり、歳入の半分に穴が開くことになりかねないとか。同法案不成立が引き金になって国債の暴落が始まるという声も市場では聞かれ始めていると記事は伝える。ムーディーズは国債の見通しとともに、3メガバンクの長期格付けの見通しも、「ネガティブ」としており、これは、国債格下げになった場合の銀行経営への影響を考えた措置とか。万一、国債暴落ともなれば、大量の国債を保有する銀行、生保などへの影響は計り知れず、1990年代前半のバブル崩壊以上に日本経済への打撃になるとの見方もあり、財務省、日銀は市場の動きを注視し、「有事」の際の対応策を練り始めているというが、「政治が与野党を超えて知恵を出さない限り、不安が現実化しかねない」(市場関係者)との危機感が徐々に広がっているとか。

みんなの党が予算組み替え案

 産経新聞が2月25日に配信した「みんなの党、予算修正案まとめる 行革で歳出大幅カット」は、みんなの党が25日、子ども手当廃止や国会議員と公務員の人件費削減などで歳出を大幅にカットした平成23年度予算案と予算関連法案の修正案を発表したと報じる。政府案が一般会計総額92兆4千億円に対し59兆8千億円の緊縮予算で、国債発行額も政府案の44兆3千億円に対し17兆7千億円に縮減したとのこと。現行40%の法人税率を20%まで引き下げて経済成長を目指すとか。

公表資料:予算組み替え動議、提出