財政再建への動き

破綻しかけている日本の財政を何とかしようという動きを見届ける
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自民党のX−dayプロジェクトが動いている

 時事が2月16日に配信した「金利1%上昇で評価損2兆円=大手銀の保有国債に―日銀試算」は、自民党財務金融部会が16日、国債が暴落する経済緊急時の対策をまとめるため、長期金利の動向などについて日銀から聞き取り調査を実施したと報じる。宮沢洋一参院議員が会合後明らかにしたところによると、日銀からの出席者は、長期金利が1%上昇した場合、大手銀行全体で保有国債に2兆円超の評価損が発生するとの試算を明らかにしたとか。宮沢氏は、貸し出しが伸び悩む日本の銀行の余剰資金が国債投資に向かっていることが背景にあると指摘し、試算は「機械的な計算」(宮沢氏)であるとしたとの由。同部会が設置した国債暴落に備えた「X―dayプロジェクト」(座長は最もまともな政治家である林芳正参院議員)が、対策を3月末までにまとめる方針とか。

ピンチになっていることを説明してくれる記事

 現代ビジネスが2月15日に掲出した「財政赤字が招く危機日本は投機の標的にされるのか? /町田 徹」は、米格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)による国債の格下げに続いて、国際通貨基金(IMF)が消費増税と歳出削減を改善策の柱に据えるよう声高に要求し始めており、財政再建プランの構築が急務になってきたと報じる。期せずして、長期金利は先週、10ヵ月ぶりの高水準を記録したとのこと。タイ、韓国、ギリシアなど過去に経済危機に陥った国と違い、日本には豊富な個人金融資産があり、国債のほとんどを国内で消化できるという財政赤字放任論は、次第に過去のものになりつつあるのではないだろうかと記事は当然のことを遠慮がちに指摘する。財政危機に揺れるスペインよりひとつ下のAAマイナスに国債を格下げされて、多くの日本人が不快感を持った1月27日に、日本ではテレビはもちろん、新聞もほとんど伝えなかったが、ワシントンのIMF本部で、カルロ・コッタレリ財政局長が緊急記者会見を開催し、春と夏の毎年2回のタイミングで定期的に公表してきた「財政監視報告」に関する異例の「臨時見直し」を発表したと報じる。同局長がその席で強調したのは、日米2ヵ国が抱える財政リスクの大きさであり、インターネット上で公開された議事録によると、コッタレリ局長は、日本の財政再建不要論を承知のうえで「公的債務の90~95%相当を国内で調達できるというのはよいニュースに違いない」と前置きしながらも「それが長期的に赤字を放置してよい理由にはならない」とばっさり切り捨て、そのうえで「増税と歳出削減の2つは避けて通れない。消費税率はかなり低いので、中期の債務削減のために引き上げる余地がある」と断じたとか。確かに、この日の「財政監視報告のアップデート」(2011年1月版)は、日本の財政が深刻な水準に達したことを浮き彫りにしており、GDPに対する公的債務(国と地方の合計)の比率が2009年に217.4%と第2次世界大戦中の1944年(204%)を上回り、ついに過去最悪を更新したことを示しているとか。IMFは前回の「財政監視報告」(2010年10月版)でも、経済が低成長にとどまった場合、GDPに対する日本の公的債務の割合は2015年に269.1%に膨張し、現存するデータで先進国史上ワースト記録である1946年の英国(269%)に並ぶとの試算も示していたとも。また、先週9日には、債券市場で新発の長期国債(10年物)の流通利回りが一時、1.350%まで上昇し、2010年4月以来10ヵ月ぶりの高水準を記録する場面があったとか。市場では、「米景気の回復期待に伴う米金利の上昇が背景」と外部に原因を求めて楽観的に受けとめようとする向きがあった半面、国債の格下げやIMFの懸念表明を嫌気した売り物も少なくなかったと記事は伝える。1997年のタイの経済危機以降、投資ファンドなどの投機マネーが世界の市場を駆け回り、国家を売り叩いて経済危機を起こす例が増えてきており、韓国やアイルランド、ギリシアの例は、その典型で、日本は稀にみる貯蓄性向の高さを背景に、国債の95%あまりを国内で消化してきたことが支えになってこれまで唯一の例外的な存在だったが、どんな国であれ、未来永劫に財政赤字を拡大し続けることなどできるわけがないと当然のことを記事は説く。楽観論の根拠である1400兆円と言われる個人金融資産には、そもそも住宅ローンなどと相殺される部分があり、すべてが金融機関などを経由して国債購入に充てられる資金ではなく、国債の購入に充てられるのは、多く見積もって1000兆円前後ではないかと記事は示しつつ、財務省によると、「国の借金」は昨年末に919兆円(うち国債が753兆円)に達しており、今後は、国債の利払い費なども増え続け、よほど歳出を刈り込まない限り、「国の借金」の膨張に拍車がかかることは確実と説明する。加えて、少子高齢化と人口減少の中で、団塊の世代が退職年齢を迎えることも大きく、今後は、個人金融資産そのものが取り崩されて縮小する時期にさしかかるとのこと。そうした中で、従来通りの円滑かつ安定的な国債の消化がいつまでも続くとの楽観論には根拠が乏しいと言わざるを得ないと記事は説く。民主党政権が昨年6月に公表した「財政運営戦略」は、2015年度に基礎的財政収支のGDP比の赤字を半減し、2020年までに黒字化するとしているが、この戦略には、まだ何の具体策もなく戯言の類に過ぎないと記事は指摘する。

IMF理事が中長期的には持続可能ではない

 時事が2月9日に配信した「日本の債務は持続不可能=早期に財政再建を―篠原IMF副専務理事」は、国際通貨基金(IMF)の篠原尚之副専務理事が9日に都内で会見し、日本の現在の財政赤字の状況について「中長期的には持続可能ではない」との認識を示したと報じるが、当たり前の話。政府が6月までに社会保障と税の一体改革案を示す方針であることを念頭に、「できるだけ早い段階で中期的な財政再建の道筋について、具体的な形で合意することが大事だ」としたと記事は伝える。

23年度の潜在的国民負担率は22年度を下回る

 読売が2月5日に掲出した「11年度国民負担率38.8%に」は、財務省が4日、国民の税負担と社会保障負担の合計が国民所得に占める割合を示す国民負担率が、23年度は前年度より0.1ポイント高い38.8%になるとの見通しを発表したと報じる。増加は2年連続で、過去4番目に高い水準となる見通しとか。一方、国と地方自治体の財政赤字も加えた潜在的国民負担率は、前年度より0.8ポイント低い49.8%となる見通しとか。

人件費2割カットは無理そう

 東京新聞が2月5日に掲出した「国家公務員人件費2割削減が難航 13年度実施見通せず」〔共同〕は、民主党がマニフェスト(政権公約)で掲げた「国家公務員の総人件費2割削減」を目指した取り組みが難航していると報じる。政府は労使合意に基づく給与カットを可能にする法案を今国会に提出する予定だが、労組の反発は必至であり、定員削減につながる国の出先機関廃止も遅れていて、公約した25年度までの実現は見通せないと記事は伝える。「2割」達成には約1兆1千億円の削減が必要であり、政府は給与引き下げのほか定員や退職手当の見直し、出先機関の地方移管などを組み合わせて実現する考えだが、23年度予算案の人件費は、政権交代前に編成された21年度予算比で約3%減にとどまっており、ハードルは高いとのこと。政府は1月28日の関係閣僚会議で調整加速を確認し、民間同様に労使交渉で給与引き下げを可能にする条件整備として、公務員の労働基本権を一部回復する法案を今国会に提出する方針であり、これと連動する形で、人事院勧告を超えて給与を引き下げる法案の今国会提出も予定だが、公務員労組出身の民主党議員は「労働基本権の回復が完全でない以上、引き下げに応じる合理性がない」と、労組側の不満を代弁しているとか。昨年末に閣議決定した地域主権改革のアクションプランでは、国の出先機関の本格的な権限移譲を26年度からと位置付けており、25年度中の大きな削減効果は期待できなくなったとも。

自民党の改正案は財源無き新規施策を否定する

 毎日jpが2月2日に掲出した「財政健全化法案:自民、財源条項を追加」〔野原大輔〕は、2日の自民党政調政策会議が、衆院に取り下げを求めている財政健全化責任法案の修正案を了承したと報じる。23年度予算案について「新たに予算を伴う施策には経費を上回る財源を安定的に確保する」(ペイ・アズ・ユー・ゴーの原則)との条項を追加するというもので、修正案が成立すれば恒久財源のない子ども手当などは実施できなくなり、現法案に同調して自民党にすり寄ろうとする政府・民主党の思惑を断ち切る狙いがあるとの由。党総務会を経て来週にも参院に提出すると記事は伝える。昨秋の臨時国会に提出した現法案は23年度から32年度を「財政健全化期間」とし、年度ごとに5年間の中期計画策定を義務付けたが、今年度中に成立する見込みがなく、23年度分が対象から外れるとのこと。民主党の安住淳国対委員長は自民党に対し、現法案を基に衆院での修正協議を呼びかけているが、「抱きつき」戦術を警戒する自民党は応じない方針とか。ただ、修正案を参院で先議しても、みんなの党や共産党が反対するため、民主党が協力しない限り可決できないと記事は伝える。

消費税率アップは総選挙の後

 毎日jpが2月3日に掲出した「菅首相:消費増税の時期 13年8月以降に」〔中山裕司〕は、菅直人首相が2日の衆院予算委員会で、消費税率の引き上げ時期について「(衆院議員の)任期が終わった後に実施したい。基本的な考え方はそういう設計図だ」と述べ、25年8月以降としたい考えを示しつつ、「消費税を上げる場合は、必ずそれより前に国民に信を問う」とも述べ、衆院解散・総選挙に踏み切った場合は実施時期が早まることもあり得るとの考えを示したと報じる。

たばこの販売数量の減少幅は縮小傾向

 日経電子版が2月1日に掲出した「12月の税収実績、前年比3.4%増の2兆5232億円」〔日経QUICKニュース〕は、財務省が1日に発表した22年12月の税収実績が、一般会計の合計で前年同月比3.4%増の2兆5232億円だったと報じる。22年4月からの累計は13.4%増の23兆2082億円で、10年度予算(補正後)に対する進ちょく率が58.5%となっており、過去5年間の平均(54.9%)を上回っているとのこと。項目別にみると、3月期決算法人の中間決算に伴う配当金が前年より多く、所得税の源泉分が9461億円と4.6%増加していて、法人税も企業業績の持ち直しで22.4%増の1392億円だったとか。一方で、たばこ税は10.4%減の580億円で、11月分の出荷状況を反映していて、10月からの増税に伴う駆け込み需要の反動減が響いているとのこと。ただ販売数量の減少幅が縮小していることから「12月分は前年同月を上回るのではないか」(財務省)とか。

民主党マニフェストの無理を与謝野大臣が指摘する

 読売オンラインが2月2日に掲出した「「民主党は無知だった」与謝野氏…首相も追随」は、与謝野経済財政相が1日の衆院予算委員会で、民主党が政権交代前に作った21年衆院選の政権公約(マニフェスト)の財源捻出策について「民主党は無知だったと言わざるを得ない」と答弁したと報じる。同党のマニフェストは、各公約の財源について、予算組み替えやムダ削減などで16・8兆円を捻出する方針を掲げたが、与謝野氏は著書などでもこの点を批判していたとの由。答弁の直後には、菅首相も「一部は過大に見積もっていたところもある」と追随し、与謝野氏の考え方が首相に影響を与えている様子をうかがわせたとか。与謝野氏周辺は、「誤った財源論に固執する民主党の呪縛を与謝野氏が解放してあげているのだ」と指摘していると記事は伝える。

自民党の対案は国債発行を1兆円減額

 毎日jpが2月1日に掲出した「衆院予算委:11年度予算案 自民対案も国債>税収」〔野原大輔〕は、自民党の石破茂政調会長が1日の衆院予算委員会で披露した、政府の23年度予算案への同党の「対案」について、子ども手当や農家の戸別所得補償など「バラマキ施策」の中止や公務員の人件費削減で6.4兆円を捻出し、景気対策や成長戦略、地域活性化に計2.8兆円をあてる構想と報じる。ただ、国債発行の減額は1兆円にとどまり、自民党案でも国債発行額が税収を上回るのは変わらず、民主党政権への「助け舟」になりかねず、間の悪さは否めなかったと記事は評するが、国債発行の1兆円減額に対する適切な評価とは言えない。政府案は国債発行額が税収を約3.4兆円上回っており、自民党の谷垣禎一総裁は1月26日の衆院本会議の代表質問で「2年連続で借金が税収を上回る異常な事態」と批判したにもかかわらず、これを解消する案を提示できなかったことについて、同党政調幹部は「消費税を含めた税制抜本改革をしない限りだめだ、ということが示せればいい」と釈明していると記事は伝えるが、借金が税収を上回っているという定性的なことはたいした問題ではない。自民党案では、浮かせた財源を基礎年金の2分の1国庫負担(1.2兆円)や予備費1兆円の復元(0.2兆円)にも振り向けるとか。