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産経が10月18日に掲出した「仕分け27日から第3弾 財務省と経産省、「エネ特」綱引き」〔田辺裕晶〕は、事業の重複などの無駄が指摘され、事業仕分けで廃止を含む厳しい議論を呼びそうなのが、省エネ技術の普及などに使われる「エネルギー対策特別会計(エネ特)」であり、財務省は一般財源にして財政赤字軽減に役立てたい考えだが、それに抵抗している経済産業省が、地球温暖化対策税(環境税)の創設を目指す環境省とタッグを組み、新たな税収をエネ特に取り込むよう政府税制調査会に要望したと報じる。関連する石油業界も巻き込み、省益がらみのつばぜり合いを展開していると記事は評する。事業仕分けにかかわる民主党中堅議員は、エネ特について「非常に仕分け向きな案件だ。力を入れたい」と強調したとか。エネ特は太陽光など自然エネルギー普及や石油などのエネルギー開発、原発推進などに充てられる特別会計で、平成22年度予算の歳出純計では約9536億円を計上しており、経産、環境、文部科学の3省が所管しているが、太陽光発電の補助は経産省、太陽熱利用は環境省など類似事業が多く、「各省の取り分が固定化し、不要不急の事業が紛れ込んでいる」(同議員)といい、仕分けでは厳しい結論が予想されるとの由。そこで経産省が目をつけたのが環境税で、8月の税制改正要望で、二酸化炭素(CO2)を排出する石油や石炭などの化石燃料に課税する環境税をエネルギー分野の目的税として創設し、税収をエネ特に入れるよう求めたとか。経産省はここ数年、石油業界とともに環境税に反対し、導入が悲願の環境省と対立してきたが、「22年度税制改正で環境税実施が明記された以上、もう逃げられない」(幹部)と判断し、23年度改正ではエネ特に入れて税収を分け合うことで両省が「手を握った」(政府関係者)との由。これに対して石油業界は今も環境税に強く反対しているが、導入が不可避となった場合、経産省と歩調を合わせることになると記事は伝える。現在の石油石炭税の多くがエネ特に繰り入れられているためで、石油連盟の天坊昭彦会長は「(税収が)一般会計に持っていかれるのはおかしい」と指摘したというが、CO2抑制の効果は一般会計で受け止めるのが筋のはず。記事によると、こうした動きに対し、財務省は「巨額の累積赤字が解消できない中、エネ特の財源を一般会計に繰り入れるのは当然だ」(幹部)と強調し、環境税は課税強化でCO2排出を抑えるのが目的で、税収の使途は拘束されないとの姿勢だそうだが、環境税を一般財源とするのは累積赤字とは関係ない話のはず。記事は「「敵は財務省だとはっきりした。思惑通り環境税を特会に入れられるかどうかは五分五分だ」(経産省幹部)。エネ特の存廃論議は省益争いの様相を強く帯びながら過熱している。」と締め括っているが、要は「争いごと」を報じたいだけのようだ。
サンケイビズが10月19日に掲出した「鉄建機構剰余金めぐり財務省VS国交省 返納かJR支援か調整難航」〔橋本亮、米沢文〕は、財務省と国土交通省が、独立行政法人「鉄道建設・運輸施設整備支援機構」の持つ利益剰余金をめぐる駆け引きを強めていると報じる。財務省はその大半の1兆円超を23年度予算の財源に充てる方針だが、国交省は難色を示しており、年末の予算編成に向けた調整は難航が予想されると記事は伝えるが、国交省が難色を示す筋合いは何もないはず。馬鹿げた記事だ。記事は、野田佳彦財務相が14日の参院予算委員会で「税外収入の確保という視点でしっかりと準備したい」と、同機構が抱える約1兆4500億円(21年度末)の利益剰余金を23年度予算の財源として活用する方針を表明し、そのうえで、旧国鉄職員の年金支払いの精査や国交省との調整を急ぐ考えを明らかにしたと伝え、続けて、これに対し、馬淵澄夫国交相が15日の閣議後会見で、「(財務相に)『一方的な発言は非常に問題だ』と伝えた。(一般会計への繰入額などは両省の)協議の中で議論していくべきだ」と、強い不快感を示したと言うが、これは国交相の認識が間違っている。この利益剰余金は、国鉄長期債務が民営化の足かせになるということで国民が負担した24兆円の残額であり、精算して国民に還元する筋合いの金だ。それをあたかも国交省に使途を左右する権限があるかのように認識しているのは誤りだし、無批判に伝えるメディアも不勉強だ。記事は、同機構の利益剰余金は、今年4月に政府の行政刷新会議が行った事業仕分けで「国庫返納」と判定されたのに続き、会計検査院も約1兆2000億円の余剰資金があると指摘していて、こうした後押しもあり、野田財務相は「どれだけ国庫返納できるかを精査しているが、1兆円を超える」と強気だ、と報じているが、強気も何もそれ以外の道はないはず。それを記事は、財務省は財政健全化計画を順守するため、「利益剰余金の大半」(幹部)の財源化を狙うとして、あたかも国交省にも発言権があるかのようなシナリオで報じている。国民をバカにしている。記事は、「焦点は、返納額とその使途だ。国交省は表向きは「国庫に返納すべき分は返納すべきだ」(津川祥吾政務官)と国庫返納に前向きな姿勢を強調する。ただ、返納額を国から補助金として受け取った約5500億円にとどめ、残った利益剰余金は赤字体質にあるJR北海道、四国、九州、貨物の4社の経営支援などに活用したいのが本音。JR貨物の小林正明社長は13日の記者会見で、「剰余金は鉄道機能の活性化に使われるべきだ」とし、JR7社で剰余金を活用した支援を国交省に要請する考えを表明した。地方自治体も新幹線整備費に回すよう求めており、国交省はこうした要望を盾に徹底抗戦する構えだ。」として、無法な言い掛かりに筋があるかのような取扱いをしている。
日経電子版が10月13日に掲出した「財制審、交付税縮小に照準 来年度予算「71兆円枠」で」は、財政制度等審議会(財務相の諮問機関)が13日に財政制度分科会を開き、23年度予算編成に向けた議論を始めたと報じる。国から地方に配分する地方交付税で、21年度から始めた特別な加算措置(別枠加算、22年度で約1.5兆円)に批判が集中し、地方自治体に歳出の効率化を求める意見も出たとか。財務省は歳出の「71兆円枠」を守るために交付税の縮小を狙うが、来年春に統一地方選などを控えて削減には強い反対も予想され、予算編成の行方は不透明と記事は評する。地方交付税は22年度の一般会計予算で過去最大の17.5兆円が計上され、社会保障、国債費に次ぐ規模となっており、最近は地方の歳出をまかなえるだけの税収が確保できず、不足分はまず国が一定額を別枠で加算したうえで、国と地方が折半して負担するとのこと。22年度は雇用対策などの名目で、約1.5兆円を別枠で加算したとか。13日の分科会では、有識者の委員から「加算措置があると地方が交付税に期待して、税収を増やす努力を怠る」などの批判が集中し、吉田泉財務政務官は終了後の記者会見で、別枠加算について「財務省としては縮小の方向で臨みたい」と表明したとのこと。交付税総額の根拠となる地方財政計画にも疑問が噴出し、財務省は、地方全体の人件費や行政経費などを積み上げて策定する同計画について決算と比較したうえで、「3兆円程度は過大に膨らんでいる可能性がある」と指摘し、実態に合わせた計画に変えることで交付税も抑える考えとか。財務省は高齢化で地方自治体の社会保障負担が年に7千億〜8千億円増えるという総務省の主張にも疑問を示しており、地方の社会保障負担には、法令の義務付けがない医療費助成や、地方独自の出産祝い金などが含まれていると指摘し、財制審会長の吉川洋東大教授も「地方の金の使い方は効率化の余地がある」と強調したとのこと。財制審が交付税に照準を合わせて議論したのは、政府が6月に決めた中期財政フレームで交付税を含む政策的な経費を22年度当初予算並みの71兆円以下とする方針を決めているためで、政策的な経費のうち社会保障費の自然増(約1.2兆円)は容認する方針だが、財務省はこれを吸収したうえで、成長戦略や公共事業費などの予算を確保するには、まず交付税を縮小する必要があると判断していると記事は伝える。これに対し、総務省は地方経済が厳しい状況にあるなか、交付税の総額を維持する必要があると強調していて、地方自治体は国に先行して、人件費などの歳出削減も進めていると訴えているとのこと。実際に23年度予算で交付税を抑制できるかどうかは分からず、中期フレームでは地方の主張に配慮して、23〜25年度の交付税や地方税収をあわせた一般財源総額について「22年度の水準を確保する」という規定が盛り込まれており、大幅な交付税削減は、この規定に抵触しかねないと記事は評する。来年4月に統一地方選を控えて、民主党内で交付税の抑制に慎重な意見が出る可能性もあるとか。
MSN産経ニュースが10月7日に掲出した「「電波オークション」導入に異論 総務省の作業部会」は、政府が導入を検討している、企業への電波配分を競争入札で行うオークション制度について、業者間の公正な競争をどう担保するのかなど、専門家や業界関係者から慎重な意見が相次いでいると報じる。一方、政府は数十兆円規模の財源が得られると期待しており、今後の展開が注目されているとのこと。ブロードバンド(高速大容量)通信の全国普及策を検討する総務省のICT(情報通信技術)タスクフォース(作業部会)が7日に開いた合同部会で、A・T・カーニーの吉川尚宏氏は「国庫は豊かになっても、何千億円も何兆円もかかるようになればいろいろなところに影響が出そうだ」と懸念を表明し、市場原理に任せるべきとの意見も出たが、座長の黒川和美・法政大教授は「歯止めが全くなければ、ものすごいお金がかかるのか、かからないのかわからない」と述べ、さらなる議論が必要との考えを示したとの由。イー・モバイルの千本倖夫会長は同日開いた記者会見で、「全く自由な形で実施すると、資金力のある既存事業者に有利になる恐れがある」と述べ、新規参入事業者への配慮が必要との考えを強調しており、新規事業者にとっては参入機会が増える可能性もあるが、携帯電話業界にとっては競争入札によるコスト高は深刻な問題だけに、反対意見が根強いと記事は伝える。電波オークションは、既得権や官庁の裁量に任せず市場原理が基本で、コスト効率が高く優れたビジネスモデルを持つ事業者に電波を配分できるメリットがあり、欧州やアジアなど20カ国以上で導入されていて、政府にとっては数十兆円規模の財源となりうるが、欧州では携帯電話の電波割当で競争入札が過熱して、電波を取得してもその後の事業展開に影響を及ぼすケースもでているとのこと。政府は9月の新成長戦略に向けた経済対策に電波オークションの導入方針を盛り込み、ICTタスクフォースの最終報告書制度の具体的方向性が示される見通しで、最終報告書は11月にまとめる予定だが、NTTの組織再編に加えて、ここへきて難題がまた増えた格好と記事は評する。
時事ドットコムが10月1日に掲出した「8月の税収、32%増=法人税伸びる−財務省」は、財務省が1日に発表した8月の税収実績について、前年同月比32.0%増の3兆2555億9400万円となっており、企業業績の回復で、法人税収が7000億円以上の大幅な伸びを示したことが主因と報じる。税目別に見ると、前年同期に3327億6200万円の還付超過(赤字)だった法人税は、3995億9300万円とプラスに転換し、また所得税は2.4%増の1兆0397億5900万円、消費税は2.8%増の1兆0524億7800万円で、ともに200億円以上増加しているとか。
東京新聞が9月30日に掲出した「民主PT 環境税議論がスタート」〔白石亘〕は、23年度税制改正の焦点となる地球温暖化対策税(環境税)の議論が29日、民主党の税制改正プロジェクトチーム(PT)で始まったと報じる。昨年の税制改正で導入に反対した経済産業省が今年は容認に転じ、実現への機運が高まっているが、企業が税負担の増加分を製品価格に転嫁すれば、家計が影響を受け、導入に向けて着地点を見いだせるかは不透明と記事は伝える。地球温暖化の原因となる二酸化炭素(CO2)を排出する化石燃料への課税を強化するのが環境税の役割で、燃料などの価格上昇を通じて消費の抑制を図り、温暖化対策の財源を生み出すことを狙うものであり、政府税制調査会は昨年も環境税を検討の俎上に乗せたが、ガソリン税の暫定税率廃止をめぐる混乱で結論を先送りし、22年度税制改正大綱には「23年度実施に向け検討を進める」と明記した敬意がある。こうした流れを受け、党税制改正PTも環境税の小委員会を設け11月末にも提言をまとめるとか。中塚一宏小委員長は初会合で「必ず結論を得なければならない課題」と話したとのこと。環境省は輸入段階ですべての化石燃料に掛かる石油石炭税に上乗せ課税をし、これを環境税とするよう要望しており、加えて暫定税率廃止後は財源確保のために税率を維持しているガソリン税についても暫定税率相当分を環境税に衣替えし、恒久化することを目指しているとか。環境税実現へのポイントは、今年は石油石炭税の上乗せ課税について推進の立場に転じた経産省の動きであり、同省幹部は「産業界の声だけを聞けば『反対』だが、実施に向け検討を進めるという政府方針がある。ただ、産業界ものめる内容にしないと…」と話しているとか。経産省は税収の使途をCO2抑制対策など産業界を支援する特定財源にするよう求め「実を取る」戦術に切り替えており、1兆円の財源が必要な法人税の5%引き下げを至上命令とするだけに、環境税導入で反対を貫くのは得策でない、との判断が働いた可能性もあると記事は伝える。石油石炭税の上乗せ部分の環境税は産業界に対し課税されるが、環境税の小委員会の会合では出席した議員から「増税分は国民が使う灯油や電気代に跳ね返る。値上がりしたら総スカンだ」と反発を危ぶむ声も出ており、すんなり意見集約が図れるかは不透明と記事は評する。