財政再建への動き

破綻しかけている日本の財政を何とかしようという動きを見届ける
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民主党に公務員給与カットができるのか

 東京新聞が8月21日に掲出した「公務員改革 給与カット難航必至 民主PT 労組系議員が反発」〔後藤孝好〕は、民主党が20日の公務員制度改革プロジェクトチーム(PT)で、国家公務員給与の引き下げ論議を始めたと報じる。マニフェストに明記した総人件費2割削減の実現に向けて、人事院勧告以上の引き下げを求める意見があるのに対し、公務員の労働基本権が制約された現行制度下では困難との慎重論も強いとか。秋の臨時国会で法改正を目指すが、難航は必至と記事は伝える。PT座長の桜井充政調会長代理は会合の冒頭で「まとめられるのならまとめたいが、両論併記になるかもしれない」と意見集約の難しさを率直に認めたとの由。民間を参考に給与を見直す人勧は、22年度の国家公務員一般職の平均年間給与をマイナス1・5%、9万4千円減の633万9千円とする内容であり、勧告通り実施すれば約790億円の削減となるが、総人件費の2割削減に必要な1・1兆円にはほど遠く、給与引き下げ以外でも、新規採用の抑制や、諸手当の廃止、出先機関の地方移管を合わせて進めるものの、「今回、5%程度のカットをしないと2割までたどり着かない」(桜井氏)のが現実とか。PTでは「膨大な国の赤字がある。人勧を超える給与削減もやむを得ない」との意見も出たとのこと。しかし、民主党は、公務員が加入する自治労を支持団体に抱えており、関係議員は「人勧制度を尊重すべきだ」と主張して、議論は平行線とか。玄葉光一郎公務員制度改革担当相は20日の会見で「国民の理解を得るためにも厳しい姿勢で臨むべきだが、人勧を守るべきだという意見がかなりある」と歯切れが悪かったとのこと。

外為特会の財源を理解しない虚説が報道されている

 MSN産経ニュースが8月17日に掲出した「円高が「埋蔵金」直撃 外為特会の評価損30兆円、財源流用に暗雲」は、急激な円高の進行を受けて、財務省が為替介入を行うために管理している「外国為替資金特別会計(外為特会)」で、評価損が過去最大の約30兆円に膨らんでいると報じる。米国債を中心としたドル建ての資産が円換算ベースで目減りしたためで、損失処理に備えて運用益をため込んできた約20兆6千億円(平成21年度末)の積立金を約10兆円も上回っていて、実質的な“赤字”状態にあると記事は伝える。特別会計の積立金は、いわゆる「霞が関埋蔵金」と呼ばれ、10月に行われる政府の事業仕分け第3弾の対象となり、多額の資金が眠る外為特会は最大のターゲットだが、評価損の拡大を理由に財務省が、取り崩しに抵抗するのは確実で、円高は、政府の財源捻出にも影を落としていると記事は評するが、財務省が抵抗するかどうかが問題なのではなく、米国債で運用していて、日本国債の利子負担を軽減している積立金を取り崩す意味があるかどうかが問題なのだ。記事は、政府は過去に行った円売り・ドル買い介入に伴い約100兆円の外貨を取得し、外為特会では、これを米国債などで運用していて、介入時よりも円高が進むと、円換算で評価損が生じる、とは解説するが、その原資が外為証券という国債であることは説明していない。記事は、19年度末は為替レートが1ドル=117円で評価損は3兆3千億円だったが、21年度末は91円に上昇し、26兆3千億円に拡大していて、1円の円高で評価損が7千億〜8千億円増えると推計されており、足元の85円では、さらにふくらみ、30兆円に迫ったとし、外為特会では、米国債の利払いなどの運用益で毎年2兆〜4兆円の剰余金が発生していて、これをためたのが積立金と説明するが、正確には外為証券の利子負担との差額である。積立金の減額は、利子負担を減少させずに運用益を減少させるという意味を有する。これを踏まえずに、「埋蔵金」と称すること自体、虚偽の言説。財務省は、積立金の適正水準を外為特会の資産規模の3割(30兆円程度)としており、「現状は10兆円の積み立て不足」(担当者)と強調しているとのこと。政府は事業仕分け第3弾で、過剰にため込まれた積立金を取り崩して財源を捻出したい考えだが、埋蔵金は、自民党政権時代からの発掘ですでに枯渇しており、外為特会の評価損は、あくまで見かけ上のものですぐに処理する必要はなく、毎年、剰余金も出ていて、22年度予算では、21年度分の余剰金2兆5千億円を税外収入として流用しており、有力財源としての期待は高いと記事は錯覚を煽った上で、「前財務相の菅直人首相は、外為特会の活用について、「国の財政全体でみるとプラスにならない」と財務省寄りの消極姿勢を示しており、事業仕分けは難航しそう」と、財務省寄りかどうか、という問題にすり替えて締め括っている。

21年度の医療費は35兆円

 朝日が8月17日に掲出した「医療費、過去最高の35兆円に 70歳以上で4割占める」は、21年度の医療費が過去最高を更新して35兆3千億円だったことが16日、厚生労働省の集計で明らかになったと報じる。前年度より1兆2千億円(3.5%)の増加であり、高齢化が進んだためで、70歳以上の医療費が全体の44%を占めているとか。公的医療保険と公費から支払われた分を集計したもので、総額は12年度の29兆4千億円から増加傾向になっており、1人当たりの医療費は、21年度は27万6千円であり、70歳未満が16万8千円だったのに対し、70歳以上は77万6千円、後期高齢者医療制度の対象になる75歳以上では88万2千円とのこと。受診した延べ日数は前年度より0.6%減ったものの、1日当たりの医療費は4.1%増えており、医療技術の高度化が反映されていると記事は伝える。一方、21年度の調剤医療費(薬代)も同日公表されており、電算処理された処方箋1枚当たり8034円で、前年度より6.3%伸びて過去最高とか。年齢が高くなるにつれて高額になり、75歳以上は1万41円とのこと。医療費抑制のため使用が促進されている後発医薬品(ジェネリック)は数量で全体の18.9%を占めたものの、伸びは前年度比で0.9ポイント増にとどまっているとか。

自民党は10%への意思統一を図ろうとしている

 日経電子版が8月17日に掲出した「自民、「消費税10%」党内浸透に躍起 反発封じ、公約明記めざす」は、自民党執行部が先の参院選マニフェスト(政権公約)で掲げた消費税率の5%から当面10%への引き上げについて、党内の反発封じ込めに動き出していると報じる。参院選で初当選した議員らの勉強会で消費増税の必要性を訴えて浸透を図るほか、党税制調査会では年末の税制改正大綱への対案に明記して次期衆院選の公約づくりに向けた既定路線とする狙いとか。石破茂政調会長は参院選の政策面での総括を、9月に予定されている党役員人事の前にまとめる方針で、党内には「参院選は民主党の敵失に救われただけ」とする増税反対派もおり、人事によっては財政再建路線が後退しかねないことから、現在の政調メンバーで作業を急ぐと記事は伝える。新人議員への政策説明会でも、財政再建の必要性を強調するとのこと。野田毅党税制調査会長は6日の税調会合で「総裁、幹事長、政調会長いずれからも消費税の議論を積極的に進めてもらいたいとの話があった」と述べ、税率引き上げへの反対派をけん制しており、税調は年末に政府がまとめる税制改正大綱への対案を出す方針で、使途や低所得者対策などの具体策についても検討するとのこと。

国の借金が900兆円を突破

 時事ドットコムが8月10日に掲出した「国の借金、900兆円突破=過去最高を更新−6月末」は、財務省が10日、国債や借入金、政府短期証券の合計残高(国の借金)が6月末時点で904兆772億円と、前回公表の3月末に比べ21兆1538億円増加し、過去最高を更新したと発表したと報じる。7月1日時点の人口推計(1億2742万人)で割ると、国民1人当たり約710万円の借金を負う計算になるとのこと。国の借金のうち、普通国債は3月末比11兆7804億円増の605兆7520億円、特殊法人に対する貸し付け原資となる財投債は約1.6兆円増の123兆8187億円となっており、国債全体では13兆3194億円増の733兆8084億円と最高額を更新したとの由。政府短期証券は約9.2兆円増の115兆2089億円で、国庫金の減少を補うため財務省証券の発行が増えたと記事は伝える。

公表資料:国債及び借入金並びに政府保証債務現在高(平成22年6月末現在)

人事院勧告による人件費削減額

 時事ドットコムが8月10日に掲出した「国、地方で2850億円節減=人事院勧告」は、財務省が10日、国家公務員の給与を人事院勧告どうりに引き下げた場合、790億円程度の国庫負担額が節減できるとの試算結果を公表したと報じる。総務省も同日、国に準じて地方公務員給与のマイナス改定が行われた場合、2060億円程度の地方負担額が削減できるとの試算結果を公表しており、このため、国・地方合わせて約2850億円の人件費が浮くことになると記事は伝える。

読売のスタンス

 読売が8月6日に配信した「財政出動路線に戻れ…「反菅」会合に延べ250人」は、9月の民主党代表選をめぐり、昨年夏の衆院選政権公約(マニフェスト)への「原点回帰」を訴える同党国会議員らが6日、相次いで会合を開いたところ、参加議員は延べ約250人に達し、財政再建を重視する菅首相に対し、消費税の増税反対、財政出動路線への「復帰」を求める意見が続出したと報じる。今後、経済財政運営を巡る路線対立は激化する様相と記事は伝える。小沢一郎前幹事長に近い衆院当選1回の議員約100人は6日、勉強会「真の政治主導を考える会」を発足させ、鳩山前首相を招いて国会内で初会合を開いており、鳩山氏は、菅氏の続投を支持する意向を示しているが、講演では、「今こそ(マニフェストの)原点に返らなければならない」と訴えたとか。勉強会の会長に就任した村上史好氏も会合後、記者団に「我々は09年のマニフェストを国民に問い、政権交代が必要だと訴えた。原点は忘れるわけにはいかない」と強調したとのこと。一方、小沢氏に近い山岡賢次副代表らは6日、国会内で「09政権マニフェストの原点に帰り『国民の生活を守る』集い」を開いており、小沢氏を支持するグループのほか、鳩山グループ、旧社会党系などを中心に約150人が集結したとのこと。出席者からは菅政権に批判的な意見が相次ぎ、17日に再度集会を開くことを確認したとか。党内の首相への不満は、消費税や財政再建に対する首相の姿勢に向かっており、首相は自らの消費税発言が参院選大敗につながったことを認めつつも、5日の参院予算委員会では「財政健全化は重大な問題だ」と述べるなど、財政再建重視の考えを転換しておらず、「集い」に出席した衆院議員は「消費税増税を撤回しない限り、次期衆院選も惨敗だ」と指摘したとの由。両会合とも小沢氏に近い議員が主導しているため、「小沢氏が出馬する環境を整える狙いがあるのではないか」との観測も出ているとか。首相サイドは財政出動路線に押され気味で、政府・民主党が、子ども手当を増額する方向で調整に入ったのも、マニフェストを尊重する姿勢をみせることで、反発を和らげる思惑があるとみられているとか。首相も必死で、6日夜には、都内の料理店で開かれた菅グループの会合に出席し、「3年間は頑張りたい」と、続投への意欲を強調したとのこと。ただし、「側近議員にまで支持を求めなければいけないとは、首相も苦しい」との声が出ていると読売は締め括る。

大阪府が公営住宅見直しを模索する

 MSN産経ニュースが8月5日に掲出した「財政改革で大阪府営住宅を半減 14万戸、方針転換」は、大阪府が5日、財政構造改革プランの素案を公表し、現在、約13万8千戸ある府営住宅を将来的に半減させる構想を明らかにしたと報じる。これまでの府営住宅中心の住宅政策を転換し、民間賃貸を含めた住宅市場全体で、府民の居住環境を整える考えとか。厳しい財政事情も受け、府営住宅の建て替えが資金面の問題から現実的に難しいという背景もあるとの由。既存の府営住宅を即時廃止する提案ではないが、府民生活への影響も大きいだけに反響も予想されると記事は伝える。今回提案された財政構造改革プランは平成23〜25年度の3年間で、事業見直しなどの歳出削減や、新たな歳入の確保で計485億円を捻出する計画となっており、6月末にすでに「たたき台」としてプランの一部が示されているが、今回は内部検討を踏まえた「素案」として明らかにされたもの。プランは、橋下徹知事の就任後の平成20年に作成された3年計画の財政再建プログラム案の後継案で、今後は9月上旬までの間、パブリックコメントを募集し、9月議会などでさらに詳細な議論を行ったうえで、計画を確定する方針とか。府営住宅は、昭和38〜48年の高度経済成長期に労働人口が増えたことなどを契機に、大量に建設されており、現在は高齢者や障害者ら社会的弱者も多く居住しているが、約13万8千戸のうち、高度成長期に建設された住宅は、約7万3千戸と全体の半数以上を占めており、耐用年数の70年を超える建物がでないように、建て替えを進めたと想定してシミュレーションしたところ、年間約2千戸を建て替えても追いつかず、平成54、55年には一気に約1万戸の建て替えが必要な計算になるとか。府は、人口減少社会を迎える中、大量の住宅を保有することに財政的なリスクもあると判断しており、また、府営住宅に入居している住民とそうでない住民に受益格差があるとし、住宅政策の抜本的な見直しを検討することにしたとのこと。検討されているのは、民間賃貸などでも使用可能な住宅費補助クーポンのようなものを導入するバウチャー制度などで、また、住民に身近な市町村などに管理を移管することも想定しているとのこと。素案では、こうした補完制度を整えたうえで、順次、府営住宅を減らしていく構想が明らかにされており、府は今後、課題をピックアップし、具体的な手法やスケジュールなどの検討を進めていくとか。