財政再建への動き

破綻しかけている日本の財政を何とかしようという動きを見届ける
<< June 2010 | 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 >>
 
CATEGORIES
RECENT COMMENT
RECENT TRACKBACK
財政ブログの更新状況
SPONSORED LINKS
MOBILE
qrcode
 
スポンサーサイト

一定期間更新がないため広告を表示しています

- | | - | - | pookmark
21年度税収は当初よりは大幅に下回るが補正後は上回る

 毎日jpが6月27日に掲出した「09年度税収:1.8兆円増 4年ぶり見込み額上回る」〔久田宏〕は、国の21年度一般会計税収が、昨年12月の補正予算時点で見積もった額(36兆8610億円)を約1.8兆円上回り、38.7兆円前後となると報じる。税収が見込み額を上回るのは4年ぶりで、景気の持ち直しに伴う企業業績の回復が主因だが、20年度の税収実績(44兆2673億円)は大幅に下回っており、国の財政が依然厳しい状況にあることは変わりがないと記事は評する。21年度は当初予算時に46兆1030億円の税収を見込んでいたところ、20年秋のリーマン・ショック以降の急激な景気の落ち込みで企業業績が大幅に悪化する見通しになったため、昨年12月に9兆円を超える下方修正に追い込まれたが、その後はアジア向けを中心とする輸出の増加や、エコポイントなどの政策効果で景気は回復基調を徐々に強めており、企業業績も改善していて、法人企業統計によると、22年1〜3月期の企業は11四半期ぶりに増収増益となっており、この結果、法人税や消費税収が、昨年12月時点の見込み額を上回ったとのこと。近く21年度一般会計決算が公表されるが、税収の上ぶれなどによる剰余金が発生した場合は、22年度の歳入に繰り入れられるとか。また、22年度当初予算は税収見積もりを37兆3960億円としているが、21年度の上方修正によって、上ぶれする公算が大きくなったと記事は伝える。ただし、21年度は金融危機に対応した約14兆円の補正予算などで、同年12月の2次補正後の国債発行額は53.5兆円に上り、税収を大幅に上回っており、22年度も国債発行額が44.3兆円と、税収見積もりとの差は大きく、税収上ぶれによる財政の改善効果は限られそうと記事は評する。

増税不可避の財政運営戦略

 時事通信が6月22日に掲出した「基礎収支、20年度黒字化=目標達成へ増税不可避―財政運営戦略を閣議決定・政府」は、政府が22日、32年度までに国と地方の基礎的財政収支(プライマリーバランス)を黒字化し、33年度以降、国内総生産(GDP)に対する公的債務残高の比率を安定的に低下させる目標を掲げた財政運営戦略を閣議決定したと報じる。同時公表した内閣府の試算では、慎重な経済見通しを前提とした場合、32年度に約22兆円の基礎収支の赤字が発生する見通しで、黒字化達成には消費税率で9%程度の引き上げが必要となる計算と記事は伝える。政府はGDPの伸び率を名目、実質とも1%台半ばとする慎重な見通しを前提に、財政再建を進める方針だが、内閣府試算では、先の「新成長戦略」に掲げた名目3%以上の成長率でも32年度に約14兆円の基礎収支の赤字が残り、このギャップを埋めるには増税が不可避となるとか。消費増税の具体化に向けた菅直人首相の指導力が問われると記事は評する。財政運営戦略は、大幅増税を前提とした財政健全化目標を示す一方、消費税を含む税制抜本改革については、「早急に具体的内容を決定」との抽象的な表現を記述するにとどまっており、菅首相は「消費税率10%」への引き上げを検討する考えを表明しているが、26日にカナダで開幕する20カ国・地域(G20)首脳会議(金融サミット)で、具体性を欠く日本の財政健全化目標が各国や市場から信認を得られるかどうかは不透明と記事は伝える。23年度から3年間の歳出・歳入の大枠を示す「中期財政フレーム」も同時に閣議決定され、新規国債発行額について、23年度予算では22年度の約44兆円を上回らないよう全力を挙げ、それ以降も「着実に縮減させる」としているとのこと。

増税は嫌われるはず、というステレオタイプに染まったマスメディア

 47NEWSが6月21日に掲出した「内閣支持6ポイント減、58%に 消費税率上げ言及影響か」〔共同通信〕は、共同通信社が6月19、20両日、7月の参院選に向けた有権者動向を探るため全国電話調査(第2回トレンド調査)を行ったところ、菅内閣支持率が第1回調査(6月12、13両日)から6・0ポイント下落し58・8%となり、不支持率は6・4ポイント増の30・0%となったと報じる。比例代表の投票先は民主党26・3%(前回29・4%)、自民党15・8%(14・5%)で、民主党は自民党より10・5ポイント上回ったが、差は前回より4・4ポイント縮まったとのこと。首相が消費税率引き上げで「10%を参考にする」と言及したことが影響したとみられると記事は伝えるが、自民は、公約で明確に消費税率アップを訴えており、この分析は誤っていると思われる。むしろ、前政権と異なりクリーンなイメージをアピールしていたのに、事務所費問題が出て来たことへのショックがあると見るのが自然と思われる。増税は嫌われる、という固定観念からのステレオタイプな報道。

民主も自民も消費税率に手を付ける方向

 東京新聞が6月20日に掲出した「必需品の軽減、還付が前提 消費税引き上げで首相」〔共同〕は、菅直人首相が20日、必要な財源確保のため消費税率を引き上げる場合、食料品など生活必需品の軽減税率のほか、低所得者に対する税の還付が前提条件になるとの考えを表明したと報じる。また、玄葉光一郎民主党政調会長は消費増税に国民の理解を得るため、所得税の最高税率引き上げも含めた税制の抜本改正の検討が必要との認識を示したと記事は伝える。首相は東京都町田市などで街頭演説し、社会保障財源の一部を赤字国債で調達しているとした上で「このまま借金を増やして大丈夫かということが問われている」と強調し、その上で「消費税の逆進性をなくすため、軽減税率や税の還付をしっかりやることを前提として、野党と大いに議論したい」と述べたとか。玄葉氏は福島県須賀川市で消費増税に関連し「国民感情もあり、場合によっては大金持ちにも考えてもらわなければいけないかもしれない」と指摘したとのこと。一方、自民党の谷垣禎一総裁は秋田市内の会合で「首相は自民党が言っているから消費税10%と、自民党の答案をカンニングした」と主張し、鳩山由紀夫前首相の突然の退陣にも触れ「参院選は中間試験だ。試験を受ける自信がないから逃げ出した」と述べたとか。

「たちあがれ日本」は24年度に3ポイントアップ

 時事が6月17日に掲出した「消費税、12年度に8%=たちあがれ公約」は、新政党である「たちあがれ日本」が17日に発表した参院選公約で、消費税率を24年度に3%、経済回復後にさらに4〜7%引き上げ、基礎的財政収支(プライマリーバランス)の赤字を「今後3年で半減させる」と明記したと報じる。

民主党は代表発言で税率に言及

 毎日jpが6月17日に掲出した「参院選:「消費税率」競い合い 民主、自民党が政権公約」〔中田卓二、坂井隆之、小山由宇〕は、民主、自民両党が17日、参院選の政権公約(マニフェスト)を発表し、菅直人首相が東京都内で記者会見して、消費税増税について「税率については自民党が(マニフェストで)提案している10%という数字を一つの参考にさせていただきたい」と述べ、具体的な税率に初めて言及したと報じる。また「10年度内にあるべき税率や、逆進性対策を含む消費税の改革案を取りまとめていきたい」と明言したとのこと。自民党もマニフェストで消費税率を10%としたうえで「超党派による円卓会議」を提案しており、参院選は、与党・民主党と最大野党の自民党がともに消費増税を掲げて戦う異例の展開となると記事は伝える。首相は記者会見で消費増税について「幅広い合意を得ることができれば超党派で法案を提出し、成立を目指す」とも語ったとか。民主党マニフェストに明記していない税率10%に言及したのは、自民党への誘い水の意味があると記事は説く。税率引き上げを衆院選で国民に問うかについては「原則的には大きな税制改正を行う時には、実施前に判断をいただくことが必要だ。ただ、その進み方は今の段階で何年度からどうするかは言うことが難しい」と述べるにとどめたが、玄葉光一郎政調会長は「最速では12年度秋に上がる」と語ったとか。首相の「10%」発言に、民主党内では早くも反発が出ており、輿石東参院議員会長や平野博文前官房長官、樽床伸二国対委員長、細野豪志幹事長代理らが17日夜、東京都内の日本料理店に集まったが、その会合後、高嶋良充参院幹事長は「期限を切るとか何%引き上げるとか言ったのならば勇み足だ。選挙に悪影響を及ぼす」と批判したとの由。昨年のマニフェストは、子ども手当などで家計の可処分所得を増やし、内需主導の経済成長を目指すとしたが、事業仕分けなどで確保できた恒久的な財源は2兆円強であり、国と地方の長期債務残高が国内総生産(GDP)の2倍近くまで膨らみ、ギリシャの財政危機で市場の視線が厳しさを増す中で、財政赤字をこれ以上膨らませるのは難しく、「家計への直接支援」から、路線を転換せざるをえなかったと記事は評する。このため、参院選マニフェストでは「早期に結論を得ることを目指して、消費税を含む税制の抜本改革に関する協議を超党派で開始」と明記し、法人税は「引き下げ」としたとの由。首相が目指すのは「強い経済、強い財政、強い社会保障」であり、増税で財源を確保し、医療、介護、環境など成長が見込める分野に集中的に投入すれば、新たな雇用が生み出され、経済成長を促せるとのシナリオとか。同時に、財政再建と社会保障の充実も図れるとし、外需を取り込むため、鉄道や原発などのインフラ輸出の促進も盛り込んだとか。

自民党の政権公約

 47NEWSが6月17日に掲出した「自民党の参院選公約要旨」は、自民党の参院選マニフェスト(政権公約)の要旨を伝えるもので、これによると、税制関係では次のとおり。

 2、税制 今後10年以内に国と地方の基礎的財政収支(プライマリーバランス)を黒字化▽責任ある財政運営を確保する「財政健全化法」の早期成立▽消費税は税率を当面10%に引き上げ、食料品への複数税率導入など低所得者への配慮を検討し、消費税収の全額を社会保障や少子化対策に充当▽税制抜本改革のための超党派による円卓会議設置
 「税制」の項でプライマリーバランスに言及している。
新党改革は10年後に消費税率10%

 時事ドットコムが6月16日に掲出した「新党改革の公約要旨」で伝えている、新党改革が16日に発表した参院選公約の要旨によると、同等の公約では2020年(平成32年)頃に消費税率を10%以上、としているようだ。

公表資料:新党改革の約束2010

この段階でもインフレによって公的債務問題を解消できると説く人がいる

 グーサイトに6月15日に掲出された「日本は本当に公的債務問題を抱えているのだろうか?」(フィナンシャル・タイムズ 2010年6月13日初出 翻訳gooニュース)〔マーティン・ウルフ。翻訳・加藤祐子〕は、「日本はどうしようもない公的債務問題を抱えているというのが、日本自身と欧米における通説だ。これは実に説得力のない話だと、私は思っている。日本はせいぜい3%程度のインフレ期待を作り出せば、それで公的債務問題など雪のように消えてなくなってしまうのだ。しかし対応を遅らせれば遅らせるほど、最後には大きな調整が必要となる。」として具体策を次のように提示している。

まず第一に、国債の平均残存期間を現在の5.2年から少なくとも15年に延長するのだ(政府は驚くほど低い長期金利で借り入れができるのに、そんな短期の国債を認めてしまった責任者は、全くの無能だ)。そうすれば日本の国債の平均満期は、英国の13年という遥かにまともな水準をさらに上回ることになる。

第二に、インフレ創出の方法を知っている中央銀行総裁を雇うのだ。たとえばアルゼンチン人の。中央銀行総裁たるもの誰しもそれなりにその気になれば、インフレを作り出せるはずだ。それなりの規模で政府と民間の資産を直接買い上げればいいのだから。政府は国債の満期期間を延長した後に、インフレ目標を3%に設定して日銀を支援すべきだし、同時に、この目標を2年以内に実現できなければ日銀政策委員を全員ばっさりみじめにクビにすると通告するのだ。

第三に、インフレが実際に3%に達したとする。そうすれば日本の国債の利率は5%に上がる。ほかの条件が同じなら、残る公的債務の市場価値は40%下落するはずだ。ここで日本政府は残る債務をこの時点の市場価格で買い直し、公的債務の額面総額をGDP比40%減らすのだ。さらに、インフレ状態の経済環境で日本人は、自分たちが抱える巨額の現金預金の実勢価値がどんどん目減りしていくことに気づく。なので日本人は貯金する代わりに実物資産や消費財を買うようになり、ついに経済は旺盛に拡大するようになるというわけだ。

第四に、こういう状態になって初めて政府は増税と支出削減を実施し、プライマリーバランス(基礎的財政収支)の小幅な黒字化を実現する。政府の借り入れ額は借金の借り換え分だけで充分で、債務比率は安定すると仮定する。どの程度のプライマリーバランス黒字が必要かは、実質金利と経済成長率との関係性で決まることになる。

 第3段階の「公的債務の買い直し」ができれば苦労はしない。その財源がないのだ。現在の1.4%の低金利ですら、税収10%程度17%(20年度決算。22年度予算では26%)利払いに消えている。もし債務全体の金利が3倍になれば、税収の30%半分程度が利払い(金持ち(小金持ちを含む。)への移転支出)に消えることになり、公債依存度が更に悪化する。したがって、「公的債務の買い直し」は国債発行で賄うことになるが、それにどんな意味があるのか。さらに、年金財政破綻の予想から貯蓄率が上がり、ますます消費が減少することになる。 何より、40%下落した国債は満期保有目的になることが確実であり、誰も「買い直し」に応じない、ということがある。最大の保有者であろう「ゆうちょ」が損出しをしたら国が持たない。

続きを読む >>
菅首相は10年以内にプライマリーバランスの黒字化を求める

 東京新聞が6月14日に掲出した「消費増税「方向性示す」と首相 「そう遠くない時期」」〔共同〕は、菅直人首相が14日の衆院本会議で、税制改革に関し「所得税、法人税(改革に加え)、消費税を引き上げるとすれば軽減税率を入れるかどうかを併せて検討している。そう遠くない時期に一つの方向性を示す」と表明し、国の基礎的財政収支(プライマリーバランス)を今後10年以内に黒字化させる方針を強調して、月内に策定する「財政運営戦略」にこの目標を盛り込む考えを示したと報じる。政権の「最大課題」と位置付ける財政再建に向け、消費税率引き上げ論議に踏み出す姿勢を明確にしたと記事は評する。23年度以降の新規国債発行額を22年度当初予算の44兆3千億円以下に抑制する目標に関して首相は「3年間守ったとしても、債務残高の対国内総生産(GDP)比率は200%を超える。この程度の目標は何としても実行しなければならない」と述べたとか。所信表明演説で設置を提唱した超党派の「財政健全化検討会議」については「与野党の壁を越えた国民的な議論を行いたい。ややこしい条件を抜きに一緒に議論しよう」と呼び掛けたとか。