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朝日が5月10日に掲出した「租特で減収、4.9兆円 圧縮1300億円どまり」〔伊藤裕香子〕は、財務省が、22年度に適用される租税特別措置(租特)に伴う国税の減収額が、増収分と差し引くと4兆9878億円になる、との試算をまとめたと報じる。民主党が掲げた租特の見直し方針のもと、21年度(5兆1210億円)よりも1300億円ほど少ないとか。租特は、税制の例外措置として特定の産業などを優遇する措置であり、減税措置による減収額は6兆9277億円で、石油化学製品の原料にかかる「ナフサ免税」の3兆6967億円のほか、住宅ローン減税の8057億円などがあり、一方で、増税措置に伴う増収は1兆9399億円で、ガソリンなどにかかる揮発油税の特例(1兆3304億円)などが含まれるとか。民主党は21年の衆院選マニフェストで、租特をすべて見直すと明記しており、「ガソリン税などの暫定税率の廃止」も掲げ、減収額を抑えて目玉政策に必要な財源を生み出すとしていたが、大幅な財源確保にはつながらなかったと記事は伝える。
東京新聞が5月10日に掲出した「『子ども手当』満額に否定的 枝野刷新相」は、枝野幸男行政刷新担当相が9日、さいたま市での講演で、参院選に向けたマニフェストの見直しに関して「税収が9兆円も落ち込んでいるので、支出増にブレーキをかけるのは当然だ」と述べ、昨年の衆院選時に打ち出した子ども手当2万6千円の満額支給などに否定的な考えを示したと報じる。枝野氏は「マニフェストの原則は守るべきだが、客観状況が変われば、対応するのが政治の役割だ。税収が多かった時代と同じやり方をすれば財政に対するマイナスの影響が大きい」と述べたとか。また、歳出増に歯止めをかけるため、巨額の財源が必要な新規政策の見直しを進めていることを強調したとも。
朝日が5月7日に掲出した「09年度の税収17%減 3月時点、企業への還付金増で」は、財務省が6日に発表した3月の税収実績によると、21年度初めからの国の一般会計税収の累計は、前年同期比17.2%減の28兆9681億円だったと報じる。法人税収は3月期決算企業の納税が5月末まで続くため、21年度の税収は7月初めに確定するとのこと。金融危機後の業績悪化を受け、21年度は企業がいったん納めた税金を国が払い戻す「還付金」が急増しており、法人税収は、20年度の半分程度の5兆1千億円程度にとどまる見込みだが、これまでの納税状況から、21年度補正予算で見積もった税収(36兆8610億円)確保には「順調にいっている」(主税局)とか。
フジサンケイビジネスアイが4月28日に掲出した「日本財政 海外厳しい目 群を抜く債務残高 国債格下げの足音」〔柿内公輔〕は、日本の財政不安に対する海外からの視線が厳しさを増しており、財政不安危機に陥ったギリシャも上回る公的債務に各国は危機感を抱いていて、格付け会社にも日本国債の格下げ機運が広がっていると報じる。菅直人副総理・財務相は27日の閣議後会見で、財政再建への道筋を示す財政健全化法案について、「(今国会に提出できるかどうかを)できれば今月中に判断したい」と表明し、20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議を振り返って、「ギリシャの議論を他山の石としなければならない」と述べ、財政再建を急ぐ考えを強調したと記事は伝える。日本の22年度の財政赤字は国内総生産(GDP)比9.3%で、ギリシャの9.1%を上回る見通しであり、国際通貨基金(IMF)の試算では、日本の21年末の公的債務残高の対GDP比は218.6%と、2位のイタリア(115.8%)を大きく引き離しているとか。G20は金融危機以降の政策を平時に戻す「出口戦略」を各国の状況に応じて作成するよう促しており、G20直後のIMF関連会合でも、新興国から、日本を含めた先進国の財政不安が周辺に及ぶリスクに懸念が示されたとの由。G20が開かれた23日に欧州系格付け会社フィッチが日本の政府債務を分析したリポートを発表し、「財政健全化なしには、中期的に国債の信用格付けに下押し圧力をかける」と指摘して、外国為替相場では一時、円が急落する場面もあったとか。米格付け会社スタンダード・アンド・プアーズも1月、日本国債の格付け見通しを「安定的」から「引き下げ方向」に見直しているとのこと。ギリシャと違い、日本は国内投資家が積極的に国債を保有しているため、「財政不安で直ちに長期金利は急騰しない」(大手証券)との指摘もあるが、借金を新たな国債発行でまかなう自転車操業は限界があり、国債の暴落を危ぶむ声は根強いと記事は伝える。政府は厳しい海外の視線を背に、財政健全化法案の準備と、消費税の引き上げや巨額の財源が必要なマニフェスト(政権公約)の修正を含む財政再建を急ぐが、長引くデフレ不況で国民新党は追加経済対策など一段の財政出動を求めており、民主党や政府の一部にも今夏の参院選を控えて歳出抑制に慎重論があるとか。
日経電子版が4月28日に掲出した「民主公約実現で財政圧迫 財務省が3試算提示」は、財務省が28日、23〜25年度の歳出入の試算をまとめ、高めの経済成長と歳出削減努力を織り込んだケースでも歳出入の差額が25年度には58.4兆円に達し、民主党のマニフェスト(政権公約)が財政を圧迫する構図が鮮明になったと報じる。裏付け財源なしで子ども手当の満額支給などに踏み切った場合、大量の国債発行で財政悪化に拍車がかかる恐れがあると記事は伝える。参院選公約を検討する民主党研究会に対し、(1)現行制度や施策を継続、(2)高めの成長率と歳出削減努力を想定、(3)高めの成長と歳出削減努力を前提にマニフェスト政策を実施、と前提の異なる3つの試算を提示したもので、25年度の歳出入の差額は現行制度の55.3兆円に対して、マニフェスト実施では社会保障費などを削減しても58..4兆円に増え、増税をしない場合には国債発行で穴埋めする必要があり、いずれも22年度の新規国債発行額(44.3兆円)を上回る見通しとか。23年度以降に予定するマニフェスト政策は、子ども手当の満額支給や、農業の戸別所得補償、高速道路無料化の完全実施などで、これらをすべて実行すれば歳出は23年度に6.7兆円、24年度に1.8兆円、25年度に1.2兆円それぞれ増え、一般会計歳出は24年度に100兆円を超えるとのこと。毎年1兆円ずつ増える社会保障費の自然増分の圧縮が難しいうえ、今後の成長によっては税収額が想定を下回り、差額が一段と拡大する可能性があるとか。22年度予算は、当初予算としては戦後初めて税収が国債発行額を下回っていて、このまま財政悪化に歯止めがかからなければ市場で日本の財政リスクが問題になる恐れもあり、マニフェスト見直しや消費税率引き上げなどの検討が急務となると記事は伝える。