財政再建への動き

破綻しかけている日本の財政を何とかしようという動きを見届ける
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21年度は補正により税収比率が5割を切った

 東京新聞は4月28日に「補正予算案 マイナス成長拡大も 専門家指摘 押し上げ試算『甘過ぎ』」〔東条仁史、吉田通夫〕を掲出。
 記事は、総額約13兆9千2百億円と過去最大規模の21年度補正予算案が27日に国会に提出され、政府が同時に21年度の実質国内総生産(GDP)成長率を0・0%からマイナス3・3%に下方修正したことについて、海外経済の回復が遅れればマイナス幅が拡大する可能性は高いと報じる。国際機関は外需に依存する日本経済を厳しく見ており、21年の成長率は国際通貨基金(IMF)がマイナス6・2%、経済協力開発機構(OECD)がマイナス6・6%で、先進国中、最悪水準の予想となっているとか。政府は、先にまとめた「経済危機対策」のGDP押し上げ効果を1・9%程度と試算し、21年度の成長率はマイナス3・3%程度に収まるとしているが、第一生命経済研究所の永浜利広主席エコノミストは「押し上げ効果は0・9%にすぎない」と指摘しており、ニッセイ基礎研究所の矢嶋康次主任研究員も「政府の試算は甘すぎる。1・0%程度」としていて、さらに、与謝野馨財務・金融・経財相が「(経済は)不透明感が強く、予見し難い動きも想定される」と認めているとのこと。米自動車最大手、ゼネラル・モーターズ(GM)が破綻すれば、米国の個人消費が冷え込むのは必至で、日本の輸出は回復の推進力を失い政府のシナリオに狂いが生じると記事は評する。こうした状況で、市場がさらに懸念するのが「財政再建の道筋」(矢嶋氏)で、今回の補正で一般会計総額が初めて100兆円を突破する一方、税収比率は45・0%と初めて50%を割っており、10兆円超の国債発行で、基礎的財政収支(プライマリーバランス)の赤字額は、当初段階の13兆円から23兆8千億円と過去最悪の水準に膨らんだとのこと。21年度は税収の下方修正で国債の追加発行は不可避で、国債の信用力が低くなれば長期金利の上昇を招き、企業経営の圧迫要因となって、景気回復を最優先した財政出動は、危うさもはらんでいると記事は伝える。

 読売が4月28日に配信した「政府最大財源は「借金」?史上初、国債発行が税収超す可能性」は、政府が21年度の経済成長率の見通しを実質でマイナス3・3%に引き下げたことで、21年度は史上初めて新規国債発行額が税収を上回り、政府予算の最大の財源が「借金」という非常事態に陥る可能性が出てきたと報じる。政府は21年度当初予算で、今年度の税収を46兆1030億円と見込んでいるが、この時点では経済成長率の見通しが0・0%で、政府は今後に編成する補正予算で税収の見積もりを下方修正するものの、単純計算で3・3%分のマイナスは約1・5兆円の減収に相当し、税収は44・6兆円前後に落ち込むことになるとか。一方、21年度の新規国債発行額は、補正予算案で10兆8190億円を計上していて、過去最大の44兆1130億円に上っており、税収の減少分は新規国債の発行で対応するとみられ、最終的には新規国債発行額が税収を上回る公算が大きいとのこと。

政府債務残高の対GDP比率が新たな目標か

 産経は4月11日に「債務残高比率抑制を新たな目標に 与謝野財務相」を配信。
 記事は、与謝野馨財務相が11日、日本BS放送の番組収録で、国内総生産(GDP)に対する政府債務残高の比率の抑制を、新たな財政再建の目標とする考えを明らかにしたと報じる。これまでは「平成23年度の基礎的財政収支(プライマリーバランス)の黒字化」を目標に掲げていたが、積極財政と税収の落ち込みで達成が不可能になり、新たな目標設定が必要になっていた背景があり、対GDP比率は、欧州連合(EU)も、財政規律の主要な指標として掲げているとか。10日に決めた追加経済対策で、6月までの見直しを打ち出した税政改正の道筋を示す「中期プログラム」に盛り込む方向で、追加対策に伴う過去最大の約15兆円の財政支出で財政の一段の悪化が懸念されていて、中期プログラムでは、財政規律を重視し、財政再建を進める姿勢を示すと記事は伝える。収録で、財務相は「GDP比で国債(残高)が増え続けるのを抑制しないといけない。(比率が)収束していくような形の目標をつくる必要がある」と述べたとか。ただ、具体的な数値については明言を避けたとのこと。日本は債務残高の対GDP比率が、先進諸国で最悪の水準となる150%以上に達しているとか。

私有財産の有形固定資産化への助成を住宅以外に拡大

 東京新聞は4月9日に「経済界“ごり押し”奏功  車、家電購入に直接助成」〔景気取材班〕を掲出。
 記事は、過去最大の総額15兆円の財政規模となる21年度補正予算に、自動車や家電の購入に直接助成する異例の消費てこ入れ策が盛り込まれることとなったと報じる。需要の急落にあえぐ自動車・電機業界が成長分野の「環境」を前面に出し、なりふり構わぬ要請活動を展開し、功を奏した格好と記事は評する。業界担当の経済産業省もここぞとばかりに予算獲得に奔走したとの由。ハイブリッド車など燃費の良い「エコカー」に対する減税が4月から始まったが、21年度の新車販売見通しは429万8千台で、減税の押し上げ効果を勘案しても前年度実績を40万台も下回り、自動車業界はさらなる需要促進策を切実に求めていて、日本自動車工業会幹部は「(助成実現に向け)業界はずいぶん汗をかいた」としているとのこと。業界が力を入れた背景には、ドイツが今年1月、9年以上使用した自動車をエコカーに買い替える際に補助金を出す制度を導入し、新車販売が急増したことがあるとか。日本政府の助成策は対象車の使用年数こそ13年だが、エコカーだけでなく、一般乗用車や商用車にも拡大しており、このため、各社は「これをきっかけにどんどん売っていきたい」(日産自動車)、「導入で市場が活気づくことの意味合いは大きい」(トヨタ自動車)と歓迎一色とか。エレクトロニクス関連のメーカーでつくる業界団体「電子情報技術産業協会」は、省エネ家電の普及策や地上デジタル放送移行の加速策を要望し、協会長の庄山悦彦・日立製作所取締役会議長らが今年に入り経産省や総務省、与党などを精力的に回って要請活動を展開したとのこと。省エネ型家電の購入額の5%を「エコポイント」として消費者に還元、地上デジタル放送対応の薄型テレビにはさらに最大5%を上乗せする新制度に対し、同協会広報室は「需要喚起につながることを期待している」と歓迎しているとか。それでも、具体的な還元方法など制度の詳細決定はこれからで、業績悪化に悩む各電機メーカーの間では「実施までの期間が長いと、その間に買い控えが起きる可能性がある」との懸念もあるとのこと。日本経団連は2日、二階俊博経済産業相ら経産省幹部と懇談、自動車やエコ家電の購入支援も求めており、御手洗冨士夫会長は6日の会見で「経産省と意見交換し、経団連の提言が織り込まれた」と評価したとの由。こうした業界の声を背に受け、経産省は財務省などに対する要求を強め、自動車の購入支援には与党内でも「ここまで支援すべきか」と難色を示す声もあったが、「自動車産業のすそ野は広い。自動車業界の疲弊は他業種の売り上げ減につながっている」と主張して突破したとのこと。経産省幹部は「自動車の補助は世界中でやっている。日本メーカーもその恩恵を受けている。国際バランスを考えたら、やらないわけにはいかない」と強調しているとか。

地方自治体の負担を国債で軽減

 毎日jpが4月8日に配信した「<追加経済対策>新交付金「1.4兆円」…政府・与党が方針」〔谷川貴史〕は、政府・与党が、追加経済対策で新たに創設する地方自治体への交付金の総額を、約1.4兆円とする方針を固めたと報じる。交付金は公共事業を行う際に自治体の負担を軽減するもので、建設国債を財源に、自治体負担分の9割程度を賄うとか。また、20年度第2次補正予算に盛り込まれた「地域活性化・生活対策臨時交付金」(6000億円)も、追加対策で総額1兆円に拡大して実施するとのこと。地球温暖化対策や、少子高齢化対策などの事業に重点的に配分する考えとか。

安心社会実現会議のメンバーは15人

 産経は4月7日に「「安心社会」へ有識者会議 税財政など議論」を配信。
 記事は、麻生太郎首相が7日、将来の社会保障や税財政、地方自治のあり方などの国家像を描くため民間有識者による「安心社会実現会議」を設置すると発表したと伝える。首相が自ら会議を主宰するもので、13日に初会合を開き、7月上旬ごろに取りまとめる「骨太の方針2009」に反映させるため今国会会期中に結論を出すことにしているとのこと。政府は10日に追加経済対策を発表するが、赤字国債の増発により、小泉政権時代に策定された「骨太の方針2006」で示された、毎年2200億円の社会保障費抑制を中心とする歳出削減や平成23年度中の基礎的財政収支の黒字化達成が困難な状態にあり、実現会議では「骨太06」を大幅に見直すほか、麻生首相が景気回復の次のステップと位置づけている財政再建の道筋を付けるため、消費税率引き上げへの環境づくりもしたい思惑があると記事は伝える。その上で、次期衆院選の政権公約(マニフェスト)にも盛り込み、「責任ある政府・与党としての矜持」(首相)を示すねらいもあるとか。会議に入る有識者は事務局長に就く増田寛也前総務相や、故宮本顕治・元共産党議長の長男の宮本太郎・北海道大大学院教授、薬害肝炎全国原告団代表の山口美智子さんのほか、伊藤元重・東京大大学院教授、▽小島順彦・三菱商事社長、▽高木剛・連合会長、▽但木敬一・前検事総長、▽張富士夫・トヨタ自動車会長、▽成田豊・電通最高顧問、▽日枝久・フジサンケイグループ代表、▽武藤敏郎・大和総研理事長、▽矢崎義雄・国立病院機構理事長、▽山内昌之・東京大大学院教授▽吉川洋・東京大大学院教授、▽渡辺恒雄・読売新聞グループ本社会長との由。