毎日は10月23日に「社会保障費試算:消費税最大15.5%上げ必要」〔吉田啓志〕を掲出。
記事は、政府が23日、社会保障国民会議(座長・吉川洋東大大学院教授)のサービス保障分科会に、人手不足に対応したスタッフの増員など、医療・介護を「あるべき姿」に改革した場合、37年には消費税率換算で4%(1%=4兆円)程度増税する必要があるとの試算を示したと報じる。現状のままでも3%程度の増税が必要とか。政府は先に、年金改革に関し、最大で11.5%の財源が必要との試算も示しており、これらを合わせると、年金、医療、介護の社会保障改革により、消費税率は最大で20.5%程度に達する計算になると記事は伝える。医療・介護の試算は、改革を手がけないAシナリオに加え、「緩やかな改革」のB1、「大胆な改革」のB2、「さらに進んだ改革」のB3の計4ケースで実施しており、Bシナリオは、いずれも医療・介護職員を大幅に増員するもので、手術などが必要な非慢性病(急性期)治療に人、カネを集中して、平均入院日数を短縮するとともに、在宅医療・介護を進める内容で、19年の医療・介護職員は計385万人だが、B1シナリオはこれを最大641.3万人とするほか、B2は678.7万人に、B3は684.4万人にそれぞれ増やすとしているとか。この結果、19年に国内総生産(GDP)比7.8%だった医療・介護費(40兆円)は、B1なら11.6%(92兆円)、B2も11.6%(91兆円)、B3は11.7%(92兆円)に膨らみ、B1〜3シナリオとも税財源のGDP比は4.9%で、19年の3.1%から1.8ポイントアップするとのこと。その差1.8%分(14兆円)が国民の税負担増となり、消費税だと4%程度とか。同様に保険料も消費税で3%程度(12兆円)増えるとのこと。政府管掌健康保険なら、いまの保険料率8.2%(労使折半)が10%程度になる計算とか。改革の度合いを強めるほど効率化も進むため、Bシナリオの費用、負担増はほぼ同じ結果となり、改革をしないAシナリオでも、高齢化に対応した人員増が必要となり、消費税率換算で3%程度の税負担増となるとのこと。公表済みの年金の試算は、基礎年金の国庫負担割合を2分の1に引き上げる政府方針実現に消費税1%が必要としており、税方式とするには、これに加え最大10.5%の追加負担を要するとのこと。なお、消費税1%に相当する金額は現在約2・5兆円だが、試算は24年以降の物価上昇率を1%などとしているため、37年時点では1%が約4兆円になると計算しているとか。記事が伝える、37年の年金、医療・介護の試算パターンごとの税負担見通し(カッコ内は追加負担額、%は消費税率換算)は次のとおり。
■年金
改革せず 14兆円(ゼロ)
最低保障年金創設 15.2兆円(1.2兆円、0.5%)
税方式1(一律給付) 34兆円(20兆円、5%)
税方式2(未納分減額)29兆円(15兆円、3.5%)
税方式3(納付分加算)45兆円(31兆円、8%)
税方式4(旧制度の年金全額加算)56兆円(42兆円、10.5%)
■医療・介護
改革せず 36兆円(11兆円、3%)
B1〜3シナリオ 39兆円(14兆円、4%)