東京新聞は5月27日に「社会保障費2200億円圧縮 『改革の象徴』 攻防が激化」〔清水俊介〕を掲出。
記事は、21年度予算編成をめぐり、社会保障費を毎年度2200億円ずつ圧縮する政府方針の見直しを求める意見が、与党内から相次いでいると報じる。社会保障費が、福田康夫首相が小泉政権からの「改革路線」を守れるのか、の試金石となると記事は評する。高齢化の進展に伴う社会保障費の伸びを毎年度2200億円ずつ抑制することは、小泉政権時代の14年度に始まり、小泉政権が最後にまとめた「骨太の方針2006」は、社会保障費を今後5年間で1.1兆円、毎年度2200億円抑制することを明記しており、政府・与党は19、20両年度の予算編成でこの方針を守ったが、政府・与党は、今年4月から始めた後期高齢者(長寿)医療制度で、国民の批判にさらされており、その上、社会保障費抑制を続ければ、給付減や負担増を引き起こし、反発がさらに強まるのは避けられないと記事は伝える。「庶民の党」を自任する公明党や、自民党の厚生労働族議員は、圧縮方針を反故にしたいのが本音で、公明党の北側一雄幹事長や自民党の尾辻秀久参院議員会長(元厚労相)は既に、圧縮方針の撤回は不可避との見方を相次いで表明しているとか。伊吹文明自民党幹事長が26日の記者会見で「国民の批判を受けて補正予算で見直すのなら、当初予算から政治主導できちんとしたほうがよい」と強調したのも、与党内の空気を反映した発言と記事は伝える。ただ、社会保障費の枠を外せば、公共事業や政府開発援助(ODA)でも、枠も外すように求める圧力が強まるのは必至で、そうなれば、財政健全化のペースが落ち、23年度に国と地方の基礎的財政収支(プライマリーバランス)の黒字化という目標達成は困難になるため、額賀福志郎財務相や大田弘子経済財政相らは圧縮方針の堅持を主張しており、歳出削減や経済成長を重視する「上げ潮派」の中川秀直元自民党幹事長も26日、札幌市内での講演で「首相は断固、骨太方針2006を守ると言っている」と、圧縮死守を宣言しており、「2200億円」をめぐる政府・与党内の攻防は激化しつつあるとのこと。