時事は2月7日に「基礎収支、国単独で11年度黒字化=消費増税せず歳出削減−民主財政改革法案要綱」を配信。
記事は、民主党が7日の予算調査会で、党の財政運営の基本理念をまとめた「予算機能転換法案」の要綱を決定したと報じる。消費税率を据え置く一方、徹底した歳出削減に取り組むことで、国の一般会計単独でプライマリーバランス(基礎的財政収支)の23年度黒字化を目指すもので、政府・与党よりも高い目標を掲げ、財政再建に向けた強い姿勢を打ち出したと記事は評する。民主党は同法案を「政権取得後のマニュフェスト(政権公約)的な予算案」(中川正春「次の内閣」財務相)と位置づけ、今国会に提出する方針だが、財源確保の面であいまいな点が多く、説得力のある歳出削減策を打ち出せるかが今後の大きな課題となると記事は伝える。基礎的財政収支は、借入金を除いた歳入から借入金返済に関する費用を除いた歳出を差し引いて算出され、政策経費などが借金に頼らずに賄えているかを示す指標であり、国の一般会計の場合、20年度は5.2兆円の赤字になる見込みで、政府・与党は、国の赤字を地方の黒字が穴埋めする形で国・地方合計で23年度の黒字化を目指しており、「国の一般会計単独での黒字化」を掲げた民主党案の方がより厳しい財政改革が必要になるとのこと。
毎日が2月8日に掲出した「<民主党>予算関連4法案提出へ 実質的な政府対案は初めて」〔近藤大介〕は民主党の予算関連4法案について、民主党が、予算全体に対するまとまった考え方を具体的な法案にして提出するのは初めてであり、次期衆院選を見据え、政権担当能力をアピールする狙いがあると伝える。福田康夫首相は同日の衆院予算委員会で「(政府案を)修正するなら、野党からきちんとした対案を出してもらわないといけない。対案が出ていない時に修正という話はない」と答弁しているが、民主党は、早めに修正協議に入ると、早期成立を目指す政府・与党の術中にはまりかねないと警戒しており、提出時期は予算委審議の展開を見ながら判断するとも。4法案の中心は、「予算機能転換法案」で、参院選のマニフェストで掲げた年金制度改革などの政策を重要施策と位置づけ、財源面で政策実現を確保することをうたう理念法となっており、「租税特別措置法案」は、民主党が昨年まとめた税制改革大綱を反映させる目的で、揮発油税などの暫定税率廃止のほか、中小企業優遇税率の引き下げなどを盛り込んでおり、「道路特定財源改革法案」は、暫定税率廃止と一般財源化を掲げ、地方減収分を補う財源を確保しようとするもので、「租税透明化法案」は、民主党が「特定業界を優遇する減税措置になっている」とみなす租税特別措置全体を見直すのが目的とのこと。予算案は憲法の規定で内閣にしか提案権がなく、民主党はこれまで、政府の予算案に対する党の考え方を公表するなどするだけだったが、道路特定財源をめぐる攻防で、暫定税率廃止に伴う財源問題などを政府・与党から批判され、民主党が政権を取った場合の予算の全体像を法案の形で示し、実質的な対案にすることを決めたと記事は伝える。