毎日は1月30日東京朝刊に「整備新幹線:建設費、与党がJR負担案 「国鉄二の舞い」に懸念」〔後藤逸郎、辻本貴洋〕を掲出。
記事は、整備新幹線の未着工区間の財源問題で、自民党の合同会議が29日開かれ、すでに着工しているルートでJRが将来、営業を開始した後に国に払う線路などの使用料を前払いしてもらい、建設費に充てるべきだとの意見が相次ぎ、これに対してJR側が猛反発していて、民営会社であるJRの懐をあてにして地方に利益誘導しようとする与党の姿勢に、かつて膨大な借金を背負い込んだ国鉄の二の舞いを懸念する声も出ていると報じる。29日の合同会議でJRの負担増に懸念を示した中野正志衆院議員(比例東北)に対し、武部勤衆院議員(北海道12区)から「
あんたのところは(新幹線が)すでに通っているでしょ」と厳しい声が飛んだとか。多くの議員は「JR東海はリニア建設できるほどもうかっている。JRグループ全体で整備新幹線の建設費を負担してもらいたい」などとJRの負担で建設を推進すべきだと主張したとのこと。JR負担案は政府・与党の作業部会がひねり出したもので、22〜27年度に完成する整備新幹線の区間の線路使用料などをJRに前払いしてもらい、未着工区間の建設費に回す内容で、不足分は、整備新幹線の完成後にJRが受ける波及効果などを利益に換算したうえで、JRに負担させる考えも出ているとか。整備新幹線について、政府・与党は16年に(1)安定的な財源確保、(2)JRの同意が必要、(3)並行在来線の経営分離についての地元同意、(4)JRの採算性、(5)投資効果、の条件を設定しており、この5条件を満たさなければ着工しないことを決めたが、JRには条件がなし崩しになることへの警戒感が強いとのこと。実際、民営化直後にも整備新幹線の財源として1兆1000億円の負担増をのまされた経緯があるとか。財務省によると、国民が負担する旧国鉄債務は18年度末時点で約22兆円にのぼるが、それでも与党はJRの負担増を当然視し、合同会議でも「バラマキと言われようが政治主導でやる」との声も出たとか。JRグループ幹部は「採算性こそ民営化の理念。国が造るから負担しろでは、国鉄とどう違うのか」と憤ると記事は伝える。