財政再建への動き

破綻しかけている日本の財政を何とかしようという動きを見届ける
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行政効率化について総務相に助言するタスクフォース
 日経サイトが2月23日に掲出した「総務省、作家の猪瀬氏らで「行政効率化」専門チーム」は、総務省が23日午前、公務員の定員や地方行政改革など行政効率化について総務相に助言する専門チーム(タスクフォース)の設置を発表したと報じる。メンバーは作家の猪瀬直樹氏ら7人で、月1回程度開催するとのこと。3月1日の初会合では政策評価のあり方を議論するとか。
夕張市が民間金融機関に金利減免を要請
 2月20日付け日経金融新聞7面に「一時借入金の4月初旬までの金利、夕張市が減免要請、一律0.5%に」〔札幌〕の記事。
 記事は、3月に財政再建団体入りする北海道夕張市が、一時借入金の融資を受けている金融機関に対し、道が0.5%の低利融資を実行する4月初旬までの貸付金利を現状の平均1.5%程度から一律0.5%に減免するよう要請したと報じる。利払い負担を2300万円減らし、再建を円滑にスタートさせる狙いだが、一部の金融機関からは異論も出ていると記事は伝える。夕張市は本来、年度内に返済しなければならない一時借入金を長期にわたり雪だるま式に膨らませ、「赤字隠し」を続けてきており、昨年6月末で一時借入金残高が全会計で305億円あり、貸し手である北海信用金庫、あおぞら銀行、三菱UFJ信託銀行など20弱の金融機関や公的機関は再建準備に協力し、6月時点から融資残高を維持してきたとのこと。道が赤字相当分の一時借入金の低利融資を4月2日に実行し、市が一時借入金の全額を一括返済することになっているが、再建計画の起点となる基準日は早ければ2月26日となる見通しで、再建の円滑なスタートには道の融資までの間、金利減免を受けることが不可欠と判断したとか。中島秀喜助役は「すべての金融機関に協力していただきたい」との考えを示したうえで、要請に応じられない金融機関は21日までに連絡するよう求めたとのこと。0.5%は市場金利よりも大幅に低く、地元の金融機関は協力姿勢を示す見通しだが、「再建支援を明確にしている道と同じ金利にしなければならない理由はない」との声もあると記事は伝える。
PB達成の次は利払い費も加えた収支均衡(債務不変)
 時事は2月8日に「「利払い費含む収支」など議論へ=海外の財政再建目標を参考に−財政審」を配信。
 記事は、財政制度等審議会(財務相の諮問機関)の西室泰三財政制度分科会長が8日の会合後に記者会見し、国債の利払い費を含めた財政収支の均衡を目指す米国など海外諸国の財政再建目標を参考に、4月以降の会合で日本の財政政策の議論に着手する考えを示したと報じる。その上で、6月をめどにまとめる意見書(建議)で、新たな財政再建目標を設定する必要性に言及する考えと記事は伝える。米政府は、2012年度に既発債務の利払い費も含めた財政収支の黒字化目標を設定しており、これに対し日本では、利払い費を含まないプライマリーバランス(基礎的財政収支)を11年度に黒字化させる目標を掲げていて、同日の財政審の会合では、委員から「11年度以降(の在り方)を考えることが非常に重要」など、新たな目標の必要性を指摘する意見が出されたとのこと。
自治体の連結開示を総務省が進めている
 2月7日付け日本経済新聞朝刊1面に「自治体「子会社」借金16兆円、50%以上出資の公社・三セク、地方税収4割分」の記事。
 記事は、全国の地方自治体が50%以上出資して運営する地方公社や第三セクターの債務が、17年度末で合計15兆9千億円に上ることが明らかになったと報じる。これは地方税収の約4割に当たり、出資対象を50%未満まで広げると17兆円強に膨らむとのこと。総務省はこうした「隠れ借金」が自治体の財政破綻を招きかねないと判断し、このほど17年度決算分から公社・三セクを含む債務を一括開示するよう各自治体に指示〔?〕したと記事は伝える。自治体の外郭団体が抱える債務は総務省のデータを基に日本経済新聞が集計したもので、約16兆円のうち11兆8千億円が金融機関などからの借入金と社債で、残りは自治体からの融資とか。50%以上出資する法人の債務合計が最も多かったのは東京都の1兆4千億円弱で、都債残高の11.6%に上っているとか。昨年破綻した東京臨海副都心建設など3社は、金融機関から2千億円超の債務免除を今年1月に受けており、これを除いても地方債を含めた都の「連結」債務は13兆円を超える計算とのこと。福岡県や横浜市では公社・三セクの債務が税収を上回っているとか。自治体負担に直結するのは、北海道夕張市のように三セクや公社に債務保証か損失補償をしているケースで、自治体による債務保証は全国で6兆円、損失補償は同じく3兆3千億円に上っているとか。こうした点を踏まえ、総務省は三セクや公社まで含めた総合的な財政情報を17年度決算にさかのぼって公表するよう自治体に指示しているとか。自治体財政の悪化度合いを測る指標としては、「実質収支比率」や「実質公債費比率」があるが、公社・三セク分は含まれておらず、政府が今通常国会に提出する地方財政健全化法案(仮称)には、公社・三セクを含む連結ベースの開示充実が盛り込まれるものの、適用が20年度分からなので、総務省は前倒しでわかりやすい情報開示を促し、自治体の財政健全化につなげたい考えとか。具体的には各自治体のホームページ上で、三セクなどに対する貸付金や損失補償など財政支援も含めて開示させるとのこと。
 同紙5面の「自治体子会社の05年度末借金、都市高速担う公社で膨らむ」の記事は、全国に9千超ある地方公社・第三セクターのうち、17年度末に民間からの借入金・社債が最も多かったのは名古屋高速道路公社の6891億円で、愛知県と名古屋市が50%ずつ出資しているとのこと。福岡県と福岡市、北九州市が出資する福岡北九州高速道路公社が6287億円でこれに続いており、いずれも都市高速道路の建設・管理を手掛け、自治体の別動隊という色彩が濃いと記事は伝える。名古屋高速道路公社の場合、借金は全額、愛知県と名古屋市が債務保証をしていて、貸付金も合計2741億円あり、自治体の与信額は9600億円を超すとのこと。一種の公共事業なので、料金収入で投資を回収できなければ自治体の負担になるが、こうした潜在的なリスクは現在の財政指標には表れないと記事は評する。このほか、債務が多かったのは東京都住宅供給公社や横浜市土地開発公社など、いわゆる特別法に基づいた地方3公社だったとか。一方、公社・三セクのうち、17年度末に債務超過だった法人が431あり、破綻処理が進み、1年前より21減っているものの、最終損益が赤字の法人は3038と全体の3分の1を占め、むしろ増えているとか。
金融機関への手数料を減額する方向
 日経サイトが2月6日に掲出した「財務省、国債の手数料下げ・600億円以上歳出削減」は、財務省が19年度から、国債の起債や償還時などに民間金融機関や日銀に支払っている手数料を順次引き下げると報じる。民間企業の社債にかかる手数料に近い水準に抑えることで、国債の元利払いなどにあてる国債費を21年度までに600億円以上節約するとのこと。国債を起債する代償として日銀に支払っている手数料は、発行額に応じて金額を決めている現行の算出方法を変更し、18年度に一般会計ベースで136億円の支払いを見込んでいるが、19年度には10億円程度まで減らす計画とか。
財政ワースト5の市町村はすべて北海道
 2月5日付け日経金融新聞1面に「課題山積地方財政を読む(上)ワースト5北海道独占、人件費が足かせ「再建団体」懸念」〔磯道真〕の記事。
 記事は、財政状態や経済力を示す指標から全国8百市区の総合ランキングを作成したところ、ワースト5位までを歌志内市、赤平市など北海道の市が独占し、逆に上位10位には東京都の区と愛知県の市が四つずつ入るなど、地域で明暗を分けたと報じる。記事は、歌志内市と赤平市の状況を紹介し、総合ランキングのワーストにはこうした問題山積の自治体が並ぶとしている。ランキング算定で、債務水準に一時借入金と債務負担行為支出限度額を加えたのは、夕張市が粉飾の手口として使っていたからとのこと。夕張市の場合は北海道が借金を肩代わりし、民間からの一時借入金は金利減免やリスケジュールといった事態を免れたが、北海道自身、都道府県のワースト1位で余力は乏しく、道内で財政破綻が相次いだとき、支援を続けられる保証はないと記事は締め括っている。
自然体の見通しを示さない内閣府試算
 2月5日付け日経金融新聞2面に「「内閣府試算は無責任」―財務省、楽観論に不満(霞が関風速計)」の記事。
 記事は、内閣府が1月の経済財政諮問会議に提出した今後5年間の経済財政見通しについて、財務省内で、試算で示したのシナリオが楽観と悲観にかたよっていて「自然体」の見通しがないという意見が出ていると報じる。財務省にとって財政問題の深刻さはいくら強調しても十分ではなく、楽観シナリオが広がることへの警戒もあってか、「内閣府の試算は無責任」という声も聞こえてくると記事は伝える。内閣府は経済運営の中期方針「進路と戦略」の参考試算として、「成長率」と「歳出削減効果」の項目で高いケースと低いケースを想定し、シナリオを作成しており、高い経済成長が続いて歳出削減の効果も最大限に発揮された場合、国と地方を合わせた基礎的財政収支は「23年度までに黒字化できる」と見込んでいるが、内閣府が提示したのはあくまでも今後“起こりうる”シナリオで、閣議決定の対象にもなっておらず、想定より経済成長が鈍化したとしても、政府が責任を追及されることはなく、財務省ではこのシナリオへの不満が渦巻いているとのこと。「政府の中期試算で自然体の見通しを出さない国は日本くらいではないか」といった声もあるとか。同省は現状の政策を前提に、国の財政について「自然体」の見通しを試算し、成長率が高い場合でも22年度に国債の新規発行額が再び30兆円台に達すると結論づけているとか。内閣府は消費税論議を回避したい与党や首相官邸の風向きを無視できず、一方、財務省は将来の増税の必要性をにじませたいという思惑があり、「シナリオ問題」にはそんな立場の違いも透けてみえると記事は評する。
消費税増の酒税が減
 2月2日付け日本経済新聞朝刊5面に「12月、法人税好調、税収3.5%増加」の記事。
 記事は、財務省が1日に発表した18年12月の税収実績によると、一般会計税収が前年同月と比べ3.5%増の3兆446億5300万円で、法人税が19.0%増の約2600億円と好調を維持したほか、所得税も3.0%増えていて、年度初めからの累計は、ほぼ前年度並みの26兆9千億円で、補正後予算案に対する進ちょく割合は53.2%だったと報じる。所得税収の増加は定率減税縮小の影響が出ているためで、法人税収は企業業績の伸びを背景に増加基調が続いているとのこと。ただ、企業数が多い3月決算法人の税収が確定していないため、進ちょく率は半分以下の39%にとどまっているとのこと。その他の税目では消費税は2.7%増の6200億円、酒税は3.8%減の1200億円だったとか。
財務省の今年の試算は成長率が金利を上回っている
 2月2日付け日本経済新聞朝刊5面に「財務省、「金利と成長」論争封印―最優先の消費税、今国会は雌伏(底流)」〔S〕の記事。
 記事は、財務省が、中期的な国の財政の姿を描いた試算を衆院予算委員会に提出し、これによると、例年通り財政赤字や債務残高の深刻さを強調していて、新味は乏しいようにも見えるが、試算の前提となる経済成長率と長期金利の見通しは昨年と微妙に異なっていると報じる。昨年は「名目成長率は2%で一定」とし、長期金利について2%と3%の二つを想定して、金利が成長率よりも一%高くなることも想定したが、今年は金利は2.3%とし、成長率を(1)2.2%から3.2%まで徐々に上昇、(2)2.2%で一定、として試算しているとのこと。「金利が成長率を大きく上回る」事態を考慮の外にしたのがミソと記事は評する。財務省にとって利払い費の増大は心配の種で、一年前は谷垣禎一前財務相や与謝野馨前経済財政担当相が金利上昇で利払いが増え、財政が厳しくなることを訴え、「将来の増税の必要性」も指摘し、これに強く反発したのが当時政調会長だった中川秀直自民党幹事長や竹中平蔵前総務相で、「日銀が金融緩和を続ければ成長率より金利を低くできる」などとして、「利払い費増加↓増税」の思惑をけん制した経緯がある。今は谷垣・与謝野両氏も閣外に去り、現政権は中川幹事長を筆頭に成長重視が鮮明で、参院選を前に増税論の広がりに神経質になっているからで、1年前の「成長率・金利論争」は影をひそめている。そんな中で財務省が増税にこだわれば、与党に官僚たたきの口実を与えかねず、次官OBの処遇も関係する政府系金融機関民営化の法案審議もこれからで、財政見通しの試算の前提をひっそり変えた背後に「与党を刺激したくない」との思惑も見え隠れすると記事は伝える。とはいえ、財務省の本音は消費税増税をいかに実現するかにあり、首相の施政方針演説には「19年度をめどに消費税を含む税体系の抜本改革を実現させるべく取り組む」との表現を盛り込み、論議の種火は残したと時治は伝える。