2月7日付け日本経済新聞朝刊1面に「自治体「子会社」借金16兆円、50%以上出資の公社・三セク、地方税収4割分」の記事。
記事は、全国の地方自治体が50%以上出資して運営する地方公社や第三セクターの債務が、17年度末で合計15兆9千億円に上ることが明らかになったと報じる。これは地方税収の約4割に当たり、出資対象を50%未満まで広げると17兆円強に膨らむとのこと。総務省はこうした「隠れ借金」が自治体の財政破綻を招きかねないと判断し、このほど17年度決算分から公社・三セクを含む債務を一括開示するよう各自治体に
指示〔?〕したと記事は伝える。自治体の外郭団体が抱える債務は総務省のデータを基に日本経済新聞が集計したもので、約16兆円のうち11兆8千億円が金融機関などからの借入金と社債で、残りは自治体からの融資とか。50%以上出資する法人の債務合計が最も多かったのは東京都の1兆4千億円弱で、都債残高の11.6%に上っているとか。昨年破綻した東京臨海副都心建設など3社は、金融機関から2千億円超の債務免除を今年1月に受けており、これを除いても地方債を含めた都の「連結」債務は13兆円を超える計算とのこと。福岡県や横浜市では公社・三セクの債務が税収を上回っているとか。自治体負担に直結するのは、北海道夕張市のように三セクや公社に債務保証か損失補償をしているケースで、自治体による債務保証は全国で6兆円、損失補償は同じく3兆3千億円に上っているとか。こうした点を踏まえ、総務省は三セクや公社まで含めた総合的な財政情報を17年度決算にさかのぼって公表するよう自治体に指示しているとか。自治体財政の悪化度合いを測る指標としては、「実質収支比率」や「実質公債費比率」があるが、公社・三セク分は含まれておらず、政府が今通常国会に提出する地方財政健全化法案(仮称)には、公社・三セクを含む連結ベースの開示充実が盛り込まれるものの、適用が20年度分からなので、総務省は前倒しでわかりやすい情報開示を促し、自治体の財政健全化につなげたい考えとか。具体的には各自治体のホームページ上で、三セクなどに対する貸付金や損失補償など財政支援も含めて開示させるとのこと。
同紙5面の「自治体子会社の05年度末借金、都市高速担う公社で膨らむ」の記事は、全国に9千超ある地方公社・第三セクターのうち、17年度末に民間からの借入金・社債が最も多かったのは名古屋高速道路公社の6891億円で、愛知県と名古屋市が50%ずつ出資しているとのこと。福岡県と福岡市、北九州市が出資する福岡北九州高速道路公社が6287億円でこれに続いており、いずれも都市高速道路の建設・管理を手掛け、自治体の別動隊という色彩が濃いと記事は伝える。名古屋高速道路公社の場合、借金は全額、愛知県と名古屋市が債務保証をしていて、貸付金も合計2741億円あり、自治体の与信額は9600億円を超すとのこと。一種の公共事業なので、料金収入で投資を回収できなければ自治体の負担になるが、こうした潜在的なリスクは現在の財政指標には表れないと記事は評する。このほか、債務が多かったのは東京都住宅供給公社や横浜市土地開発公社など、いわゆる特別法に基づいた地方3公社だったとか。一方、公社・三セクのうち、17年度末に債務超過だった法人が431あり、破綻処理が進み、1年前より21減っているものの、最終損益が赤字の法人は3038と全体の3分の1を占め、むしろ増えているとか。