1月22日付け日本経済新聞朝刊3面に「財務省、09年度試算、国の基礎収支赤字7兆円、社会保障費増で悪化」の記事。
記事は、財務省がまとめた19年度以降の財政状況の推計によると、税収増で大幅に改善した国の基礎的財政収支が再び悪化し、21年度で6兆9千億―7兆8千億円の赤字になることが分かったと報じる。3%の名目成長率を見込んでも、少子高齢化に伴う社会保障費の自然増などが財政を圧迫するとみているとのこと。財務省の試算は19年度予算案を前提に将来の財政状態を展望したもので、25日召集の通常国会に資料として提出するとか。財務省の試算は国の財政だけを分析対象にしているが、経済財政諮問会議が18日にまとめた今後5年間の財政見通しは、地方や特別会計を含めており、高めの成長が続けば国と地方合計の基礎的収支の赤字は縮小し、23年度には黒字転換するとしており、国の収支と地方を含めた収支とのズレは大きいと記事は評する。長期金利を2.3%、名目経済成長率は3%と2.2%の二通りで算出しており、ある程度の成長を前提とし、骨太方針2006で定めた公共事業や政府開発援助(ODA)などの歳出削減を反映させたとしても、政策的
経費である一般歳出は19年度の47兆円から21年度には初めて50兆円台に膨らみ、この結果、政策的経費を借金なしで賄えるかどうかを示す国の基礎収支の赤字幅も大きくなり、景気回復に伴う税収増を背景に19年度予算案では4兆4千億円と前年度よりも7兆円近く縮小したが、21年度には赤字幅が大きく膨らむとのこと。地方交付税の増加も国の収支悪化要因となるとか。19年度予算案で25兆4千億円だった新規国債発行は、新たに増税をしなければ、成長率2.2%の前提で21年度に30兆3千億円まで拡大すると指摘しており、21年度には基礎年金の国庫負担割合の2分の1への引き上げに2兆4千億円程度の財源が必要になり、増税で手当てしなければ、国債発行で賄うしかないとみているとのこと。