財政再建への動き

破綻しかけている日本の財政を何とかしようという動きを見届ける
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消費税増税を回避する分析
 時事が12月26日に配信した「財源不足9.5兆円に縮小=基礎収支黒字化で−内閣府試算」は、内閣府が26日、23年度の基礎的財政収支(プライマリーバランス)の黒字化目標に関し、これまで16.5兆円としてきた財源不足額が9.5兆円に縮小するとの試算を経済財政諮問会議に提出したと報じる。19年度予算案で税収が想定以上に拡大することや、歳出削減を進めた結果を反映したもので、これにより、計算上は23年度の目標達成に向け歳入面で対応すべき不足額がほぼ解消することになり、今後は消費税率引き上げ論議などに影響が出ることも予想されると記事は伝える。

公表資料:財政健全化の中期的目標及び平成19年度予算案との関係について(内閣府)(PDF:162KB)
国の借金は827兆円
 12月26日付け日本経済新聞朝刊5面に「「国の借金」827兆9166億円、9月末、最大更新」の記事。
 記事は、財務省が25日、国債や借入金などを合計した「国の借金」が9月末時点で過去最大の827兆9166億円だったと発表したと報じる。統計の発表は3カ月ごとで、6月末からの増加額は1218億円と小幅にとどまったとか。税収増などで国債の新規発行を抑えていることなどが影響しており、国民一人当たりの借金は6月末とほぼ同額の約648万円とのこと。国の借金の約8割を占める国債の残高は674兆9506億円と6月末に比べて6兆1308億円増えており、前回発表の6月末が国債の償還が多かったことなどから、統計を開始した8年以来、初めて3カ月比で減少に転じていたものの、9月末は再び残高が積み上がる形となったと記事は伝える。財投債などを除く普通国債の残高は6月末比5兆8199億円増の532兆7297億円で、また、地方の長期債務は約2百兆円あるため、国と地方の借金は重複分を除いても約1千兆円あるとのこと。
消費税率引き上げ容認が減少
 12月26日付け日本経済新聞朝刊2面に「消費税率上げ「容認」48%、8月調査比6ポイント低下(本社世論調査)」の記事。
 記事は、日本経済新聞社が12月22―24日に実施した世論調査で、消費税率の引き上げを容認する人は48%となったと報じる。同様の質問をした8月の調査と比べると6ポイント低下したとのこと。「現在程度の税率を維持すべきだ」は30%で6ポイント上昇し、「消費税は廃止すべきだ」も11%で2ポイント上がったとか。消費税率引き上げへの厳しい見方が増えていると記事は伝える。税率引き上げ容認派の内訳は「財政再建のためやむを得ない」が13%で6ポイントの低下、「年金の財源などに限定するならやむを得ない」は35%で横ばいだったとか。日経リサーチが乱数番号(RDD)方式により電話で調査したもので、1634世帯に調査を依頼し、有効回答947件、回収率58.0%との由。
19年度予算政府案が閣議決定
 12月25日付け日本経済新聞朝刊1面に「来年度予算政府案決定、一般歳出3年ぶり増、社会保障費膨らむ」の記事。
 記事は、政府が24日午前の臨時閣議で19年度予算案を決めたと報じる。景気回復と定率減税の全廃を背景に、税収は53兆4670億円と18年度当初予算に比べて16.5%の大幅増となっており、これを追い風に新規国債発行額は過去最大の減額とするが、政策経費の一般歳出は1.3%増と3年ぶりの増加に転じたとのこと。財政健全化路線は堅持したが、高齢化で膨張する社会保障費など歳出面での切り込みに課題を残したと記事は評する。政府は19年度予算案を18年度補正予算案とともに、年明けの通常国会に提出し、3月末までの成立を目指すとか。税収の大幅増を受け、予算の規模を示す一般会計総額は4.0%増の82兆9088億円と2年ぶりに増加し、新規国債発行は過去最大の4兆5410億円減らして25兆4320億円にとどめたとのこと。新規国債の内訳は、歳入不足を補う赤字国債が4兆2880億円減の20兆2010億円で、建設国債は公共事業の3.5%削減を受けて5兆2310億円と30年ぶりの低水準とか。歳出面で一般会計総額が膨らんだ主な理由は、国債費の増加であり、国税の一部を地方に配分する地方交付税で、不足分を補ってきた交付税特別会計の借入金(総額53兆円)のうち約19兆円を一般会計に移し、国債費から約2兆円を返済に充てるとのこと。国税の伸びに連動して地方交付税は2兆円増加し、交付税総額は2.6%増の14兆9316億円に膨らんだとか。財務省は来年度予算案について、税収増を新規国債の減額と「隠れ借金」といわれる交付税特会の債務返済に回したと説明しており、尾身幸次財務相は閣議後の記者会見で「(税収の)自然増を無駄に使わず、財政健全化に使えた」と述べたとのこと。閣議では19年度の財政投融資計画も決め、総額は5.6%減の14兆16222億円で、15兆円を下回るのは昭和53年度以来、29年ぶりとのこと。
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特別会計改革法案
 朝日サイトは12月25日に「特別会計の剰余金、財政再建に 31を17に統廃合」を掲出。
 記事は、特別会計(特会)の改革に関する法案について、現在31ある特会を23年度までに17に統廃合するほか、剰余金を財政再建に回す統一ルール導入や、借入金や積立金の透明化などが柱となっていると報じる。19年度の特会の歳出総額は、重複分を除く純計で175兆円で、18年度から約50兆円減るものの、まだ一般会計総額(82.9兆円)の2倍以上の規模があり、19年度予算政府案では、7特会から剰余金など計1.8兆円を一般会計に繰り入れて財政再建に活用するが、その9割は、政府が持つ外貨資産の運用益から出た剰余金で、特会の無駄遣いを改善する結果とは言えないとか。法案は来年の通常国会に提出し、4月施行をめざしており、柱の一つである統廃合では、19年度は厚生保険と国民年金の両特会が統合して「年金特会」に、電源特会と石油特会は統合で「エネルギー対策特会」になり、20年度には「道路整備」「治水」など公共事業関連の5特会を「社会資本整備事業特会」にまとめるとのこと。特会の運用見直しでは、資金の出入りを透明にし、財政健全化に寄与するようにし、特会が外部から借り入れをする場合は、使途や限度額、返済計画などの国会提出を義務づけ、剰余金を積み立てる際も理由や明細の公表を求めるとか。やむを得ない積立金や繰越金を除く剰余金は、一般会計に繰り入れて財政再建に回せるようにするとのこと。
国と地方合わせた長期債務残高は19年度末には773兆円
 12月21日付け日本経済新聞朝刊8面に「特集――財政・行政改革ポイント解説、「小さな政府」へ手探り、財政構造」の記事。
 記事は、安倍晋三首相が19年度予算編成で、日本経済の成長力強化に向けた構造改革の加速を基本方針に据えており、20日内示された財務省原案では税収増を追い風に財政の健全化が進展、財政収支は大きく改善しているが、特別会計の改革が中途半端なほか、国と地方の関係の見直しも遅れており、行財政改革を通じた「小さな政府」への取り組みは道半ばと評する。財務省原案が、税収増を追い風に新規国債発行額を25.4兆円にとどめたことで、財政の健全性を示す指標が大きく改善しており、歳入総額に占める国債発行額の割合を示す国債依存度は、今年度より6.9ポイント低下して30.7%に改善し、3年連続の低下となって改善幅は過去2番目の大きさとか。15―17年度に40%を超えていたことを考えれば、大きな改善で、1990年代後半に大型景気対策を実施する前の水準に近づきつつあるとのこと。国の単年度の基礎的財政収支も大幅に改善し、赤字額は4.4兆円と今年度の11.2兆円から縮小して、15―16年度に20兆円近くに達したのに比べて大幅な縮小となったとのこと。ただ、収支は改善しても債務残高の増加が止まったわけではなく、国と地方合わせた長期債務残高は19年度末には773兆円(国と地方の重複分を除く)に達する見通しで、国内総生産(GDP)比では150%近くなるとか。普通国債残高は19年度末で547兆円となる見通しで、国の税収の10年分に相当し、国民一人あたり428万円の借金を抱えている状態とか。
23年度のPB回復目標の前倒しには不安も
 12月21日付け日本経済新聞朝刊3面に「予算財務省原案―好転財政、先行きは難路、基礎収支、特殊要因が寄与」の記事。
 記事によると、19年度予算の財務省原案で、国の一般会計ベースの基礎的財政収支(プライマリーバランス)が大幅に改善する見通しになったとのこと。財政危機が続いてきたなか、税収増などで予想外のペースでの好転で、政府は国・地方の基礎収支の黒字化目標を23年度から前倒しする方向で検討に入ったものの、19年度の改善には特殊要因も働いており、このまま財政健全化が進むかは不透明と記事は評する。財務省原案では、19年度の国の基礎収支(一般会計ベース)は4兆4千億円の赤字で、18年度当初予算の11兆2千億円から6割の大幅減であり、一方、地方財政計画からはじいた19年度の地方の基礎収支は5兆4千億円の黒字で、18年度より黒字が1兆円程度広がるが、政府が財政健全化の目標としているのは国と地方を合わせた基礎収支(国民経済計算ベース)の黒字化で、巨額赤字を抱える国の特別会計や独立行政法人の収支なども合算しなければならないとのこと。内閣府が年明けに示す国民経済計算ベースでの最新の19年度基礎収支予測は、18年度見通し(約14兆円の赤字)に比べて改善するものの、まだ赤字がかなり残るとの見方が大勢とか。19年度に国の基礎収支赤字が大幅に減るのは、景気拡大で税収が18年度当初予算に比べ7兆6千億円程度も増えるのが主因だが、1兆2千億円程度は来年1月の定率減税の廃止に伴う増収で、交付税特別会計の借入金を1兆7千億円程度返済する特殊要因も含まれているとか。
19年度予算の政治力学
 12月21日付け日本経済新聞朝刊2面に「予算財務省原案―「果実」は小粒、官邸、歳出削減路線を堅持」の記事。
 記事は、安倍政権として初となる19年度予算の財務省原案が、小泉純一郎前首相の歳出削減路線を基本的に踏襲する内容となったと評する。安倍晋三首相は新規国債発行の「過去最大の減額」で財政規律を維持する姿勢をアピールし、自民党は地方や企業への配慮に注力し、公明党は少子化対策で存在感を示し、大盤振る舞いは控えながら、景気回復に伴う税収増の「果実」を少しずつ分け合ったと記事は伝える。首相は過去最大の新規国債発行の減額にこだわり、その理由を「まず財政規律を守っていくことを世界に示す必要がある。わかりやすいメッセージでないといけない」としていたとか。内閣支持率が下がる中、予算編成で首相官邸主導を印象づける狙いもあったと記事は伝える。自民党は来夏の参院選を意識して、地方交付税を大幅削減する財務省の主張を退け、税制改正でも減税先行型として中小企業に配慮し、片山虎之助参院幹事長は19日、都内で開いた地方6団体との意見交換会で「自民党は地方の党だ。我々は地方を守る党なんだ」と勝利宣言したとのこと。公明党の斉藤鉄夫政調会長は20日、記者団に「我々の主張が盛り込まれたことを非常に評価している」と語り、得意の社会保障分野で乳幼児(3歳未満)の児童手当拡充で主導権を発揮し、基礎年金の国庫負担額の積み増しで、首相の財政再建路線に配慮して当初要求の半分(約1100億円)で折り合ったものの、定率減税全廃に伴う増収分を確実に年金財源に回す道筋をつけて、野党などの増税批判に先手を打ったと記事は伝える。20日朝に衆院第1議員会館で開いた与党予算合同会議では、数人が意見を述べただけで公明議員の発言はゼロとか。会議室の席はほぼ埋まったが熱気はなく、原案は淡々と了承されて、目玉不足の予算編成を印象づけたと記事は伝える。
21年度以降が心配
 12月20日付け日本経済新聞朝刊1面に「基礎収支、黒字化目標、前倒し検討――国の一般会計、税収増で国債減額」の記事。
 記事は、政府が、国と地方の基礎的財政収支(プライマリーバランス)について、歳出・歳入の一体改革などで示した23年度に黒字化という目標を1―2年前倒しする方向で検討に入ったと報じる。国債の新規発行の減額により、来年度の国の一般会計では基礎収支の赤字が今年度に比べて6割程度減るためで、景気回復による税収増と歳出抑制路線が定着すれば、財政の健全化が着実に進みそうと記事は伝える。基礎収支は国債や地方債など公債の発行分を除いた歳入と、公債の元利払いを除いた歳出の差で、収支が均衡していれば、行政サービスに必要な政策経費を毎年の税収で賄っていることになり、将来世代への赤字のつけ回しが止まることを意味する。国と地方を合わせた基礎収支は、国の一般会計、特別会計に加え、地方分の収支を加味して内閣府が試算しているもので、18年度は16兆5千億円程度の赤字とか。財務省は20日、国の一般会計ベースの基礎収支を含め、19年度予算の原案を内示するが、来年度、地方の基礎収支は今年度に比べて約1兆円増の5兆4千億円程度の黒字となる見通しで、国の一般会計の赤字は今年度の11兆2千億円から4兆4千億円に縮小するものの、特別会計の収支は赤字幅の拡大要因となるため、国と地方を合わせた基礎収支は来年度はまだ赤字とみられるとのこと。内閣府は来年1月にまとめる新しい中期経済見通しで数値を公表し、黒字化目標の前倒しを盛り込むと記事は伝える。来年度に国の一般会計の基礎収支が大きく改善する背景には、定率減税の廃止による1兆2千億円程度の税収増のほか、交付税特別会計の借入金のうち1兆7千億円を返済するといった特殊要因が働いているとか。21年度以降は、基礎年金の国庫負担割合を2分の1に引き上げるために2兆5千億円程度の財源を国が調達する必要があり、その分は基礎収支の悪化要因となるとのこと。赤字幅の縮小ペースも鈍る可能性が高く、黒字化目標の前倒しは1―2年にとどまる見通しとか。基礎収支の黒字化の前倒しは財政健全化の足取りが速まった証しといえるが、国・地方を合わせた長期債務残高は、18年度末で8百兆円近くの見通しで、基礎収支が黒字化しても、債務残高の増加に歯止めをかけるにすぎず、抜本的な財政再建には債務残高を減らす必要があると記事は説く。持続的な成長と歳出削減の徹底が前提となるほか、来年秋の消費税引き上げ論議や、債務残高を国内総生産(GDP)比で引き下げる具体的な目標数値を掲げることなどもカギとなりそうと記事は評する。
公益法人に補助金で造成した基金からの戻入は1700億円
 読売サイトは12月19日に「公益法人基金見直し、1700億円国庫返納へ」を掲出。
 記事は、政府・与党が18日、公益法人などの基金の見直し問題で、19年度に土地改良負担金対策資金など33の基金から計約1700億円を国庫に返納させる方針を固めたと報じる。19年度に国庫に返納する公益法人の基金としては、厚生労働省所管の緊急雇用創出特別基金から約700億円を乳幼児加算の公費負担の財源などにすることが既に決まっているが、このほか、〈1〉農林水産省所管の土地改良負担金対策資金の約600億円、〈2〉経済産業省所管の特定中堅企業金融円滑化特別基金の約70億円、〈3〉国土交通省所管の民間都市再生基金の約60億円、などの返納が固まったとか。これらの基金は、国からの補助金を原資に創設され、公益法人が運用益などを使って事業を実施してきたが、自民党行政改革推進本部(中馬弘毅本部長)の独立行政法人化委員会(増原義剛委員長)が「役割を終えた事業も多い」として、基金額の見直しを所管省庁に求め、19年度の国庫返納額が固まったと記事は伝える。行革推進本部は20年度以降も、400億〜500億円の国庫返納の上積みを求める方針とか。