財政再建への動き

破綻しかけている日本の財政を何とかしようという動きを見届ける
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18年度税収は50兆円超え
 毎日サイトは11月22日に「<税収>6年ぶりに50兆円回復 国債2兆円削減へ」〔古田信二〕を掲出。
 記事は、18年度の国の一般会計税収が、当初予算より4兆円強多い50兆円に達する見通しになったと報じる。来月中旬に編成する18年度補正予算案に反映させ、新規国債発行額を当初予算の29兆9700億円から2兆円規模で削減し、また、補正予算案に盛り込む「再チャレンジ」や「経済成長戦略」に関連した歳出の財源に充てると記事は伝える。18年度当初予算の税収見積もりは45兆8780億円で、景気の回復による法人税収の増加などで税収が当初見積もりを大きく上回る見通しとなり、12年度の50兆7125億円以来6年ぶりに50兆円を上回ることが確実になったとか。年末に編成する19年度予算案では、定率減税の全廃効果なども見込めることから、税収見積もりは52兆円規模に達する可能性も出てきたとのこと。安倍晋三首相は18年度補正予算案の編成を財務省に指示しており、災害対策費や学校の耐震化工事費、社会保障関係の義務的経費の追加分などが計上され、また、19年度予算に向けて各省庁が要求している経済成長戦略や地方活性化対策費など安倍政権が重視する政策の一部を前倒しで予算化することも検討するとのこと。ただ、景気刺激的な補正予算案ではなく「財政再建に主眼を置く」ことを強調したい考えで、税収増分のうち地方交付税と災害対策費などに回した残りの大半は新規国債発行の減額に充てるとか。補正予算で新規国債を減額するのは17年ぶりに減額した17年度補正に続いて2年連続になり、小泉純一郎政権での財政再建路線を継続する姿勢を示すとのこと。また財務省は、17年度決算で余った9009億円の剰余金について、18年度補正予算案で全額を国債整理基金に繰り入れる方針で、剰余金の全額を同基金に繰り入れるのも17年度補正に続いて2年連続になるとか。
19年度予算編成に向けた財制審建議
 11月23日付け日本経済新聞朝刊7面に「財制審建議、交付税抑制で、国債発行縮小――財制審建議の要旨」の記事。
 記事は、財政制度等審議会が22日に19年度予算編成に向けた建議(意見書)を尾身幸次財務相に提出したと報じる。18年度当初予算で29兆9730億円だった新規国債発行について、19年度予算での「大胆な縮減」を提言しており、税収増に伴って増える地方交付税も、法定税率以下に抑えて国債残高の抑制に回すべきとの姿勢を示したとか。建議では毎年の財政赤字について「財政運営の常軌を逸している事態」と厳しく批判し、景気回復に伴う税収増を巡っては「税収の変動で歳出削減等の取り組みをゆるめることは厳に避けるべき」とし、安易な歳出増や減税の動きを強くけん制したとのこと。来年度予算編成の焦点に挙がっている地方交付税の抑制に関しては、国税の増収に伴ってその3割程度が自動的に増額配分されるため「財源余剰が見込まれる」と指摘し、「特例的に減算するなどで国債発行の縮小に充てるべき」と求めたとか。交付税特会の借入金の償還に宛てるのが筋ではないのかな。社会保障では、失業時に給付する雇用保険の国庫負担について「廃止を念頭に抜本的な改革を行う」と示したほか、生活保護に関しても20年度予算編成までに生活扶助基準の見直しや母子加算の原則廃止をするよう強く求めたと記事は伝える。道路特定財源を巡っては「一般財源化の実現を図るべき」と求めたものの、西室泰三会長が当初明言していた「全額一般財源化」という文言は入らず、実現の時期や範囲、手法には踏み込まなかったとか。消費税率引き上げに関しても、具体的な言及は避けたとのこと。

公表資料:「平成19年度予算の編成等に関する建議」〔財政制度等審議会 財政制度分科会、歳出合理化部会及び財政構造改革部会 合同会議の配付資料〕
夕張市は事業見直し年8億7000万円削減のつもり
 11月21日付け日本経済新聞地方経済面1面に「夕張市、事業見直し年8億7000万円削減(窮迫地方財政)」の記事。
 記事は、夕張市が、財政再建計画の基本的枠組みに関し、福祉などの事業縮小・廃止によって年間8億7千万円の経費削減効果を出せるとの試算を明らかにしたと報じる。これは17年度実績と19年度見通しとの比較であり、職員減や給与見直しによる人件費削減を加えれば効果は15億円前後になると見られるが、道や国との調整が難航しているため一部の公開にとどめたとのこと。内訳は、高齢者のバス移動支援など独自事業廃止で9千万円、旅費や消耗品費などの節減で4億円、公共施設の維持費削減で1億6千万円などで、同時に、市民税など税負担額の引き上げで9400万円の増収を見込むとか。基本的枠組みでは20年程度かけて負債360億円を解消するとしており、単純計算では年に18億円の返済が必要で、返済原資を確保する具体策は、12月中をメドにまとめる再建計画素案で公表するとのこと。
法人税率引下げは新政府税調が積極的
 朝日サイトは11月20日に「法人税下げ、明記を検討 政府税調07年度答申」を掲出。
 記事は、政府税制調査会(会長・本間正明阪大教授)が、法人税率を引き下げる必要性について、12月にまとめる19年度税制改正答申に明記する方向で検討していると報じる。20年度以降の大幅な企業減税に道筋をつける文言の盛り込みが検討されているとのこと。法人税率の引き下げについては来年度以降の検討課題として、19年度答申には盛り込まないとみられていたが、足元の税収増を追い風に攻勢を強める経済界の意向に沿う形で論議を前倒しするとのこと。政府税調は現在、19年度税制改正に向けた議論を続けており、12月初めに安倍首相に答申の形で提出する予定であり、その19年度答申には企業減税の第1弾として、減価償却制度の見直しによる19年度中の減税が盛り込まれる見通しで、これだけでも5000億円規模の減税につながるが、さらに、日本経団連の御手洗冨士夫会長は今月13日、地方税分を含む39.54%(標準税率)の法人実効税率を「(アジアや欧州並みの)30%をめどに考えるべきだ」と述べたとか。法人税率を10%引き下げることで、減価償却の見直しによる減税のほかに4兆円を上回る規模の企業減税の実施を要望したもので、この経済界の要望に沿った内容の文言が政府税調の答申に盛り込まれれば、与党などが19年に論議する20年度の改正で、大規模減税の具体案が議論されることになるとか。記事は、そのツケは消費税の増税幅のかさ上げという形で国民負担に跳ね返ってくる可能性があると煽るが、それ以前に、経済界の要望と表現することに問題があるのではないか。法人税率軽減の恩恵が行くのは経営者と株主だけだ。したがって、経営者団体の要望というなら分かるが、経済界というのは妙だ。まだしも財界か。
財務省が人脈構築関連経費を問題視
 読売サイトは11月18日に「領収書不要の外交官「人脈構築費」、支給廃止を検討」を掲出。
 記事は、海外の日本大使館など在外公館勤務の外交官に無条件で支給されている、領収書の要らない「人脈構築関連経費」について、財務省が、19年度から一律の支給を廃止する方針を外務省に打診していると報じる。人脈構築関連経費は、任地の政府関係者などとの交流に充てるのが目的で、領収書の提出を伴う通常の交際費の補助的な役割を果たすとされており、在外公館自体の経費である外交機密費と異なり、職員個人に支給されるとか。支給額は、「海外勤務者に支給される在勤基本手当と配偶者手当の合計額の21%相当」と定められており、18年度の予算は総額約171億円に上るとのこと。職種にかかわらず、大使から一般職員まで月額約5万〜18万円が支払われており、支給対象職員の3〜4割は、対外業務にかかわらない公館内勤職員とか。財務省は、支給対象を、対外業務にかかわる職員に限定する方針で、さらに、必要に応じて1人当たりの支給額にメリハリをつけ、不透明な人脈構築関連経費を大幅に縮小する方向で検討しているとのこと。これに対し、外務省は、一律支給の廃止に抵抗しているとか。
17年度の一般会計剰余金は全額国債整理基金特会へ
 11月17日付け日本経済新聞朝刊1面に「昨年度剰余金、全額国債償還に――2年連続、財務省方針、今年度補正で9000億円」の記事。
 記事は、財務省が、今年度の補正予算で17年度決算の剰余金9009億円を全額、国債償還のための国債整理基金に繰り入れる方針を固めたと報じる。拍手剰余金を全額繰り入れるのは2年連続で繰入額は過去3番目の規模とか。18年度末時点での基金残高は過去最高となる見通しで、補正予算での税収増も災害対策などを除きできる限り今年度の国債発行の減額に回す方針とのこと。結構なこと。記事によると、剰余金は財政法6条で、2分の1以上を国債などの償還財源に充てることが決まっているが、小泉純一郎政権下の昨年度の補正予算では、昭和55年度の補正予算以来、25年ぶりに剰余金の全額を国債整理基金特別会計に繰り入れ、国債償還に回したとか。今年度の補正予算でも、堅調な景況を背景に4兆円程度の税収増が見込まれ、安倍晋三首相は、歳出面で竜巻や豪雨被害などの災害対策以外の政策的な支出をできる限り抑え、財政健全化路線を引き継ぐ方針と記事は伝える。このため、財務省は剰余金の全額を基金に繰り入れ、今後の国債償還に充てるとともに、税収増のうち、今年度の国債発行(当初予算で29兆9730億円)の減額に回す分もできる限り増やす方針とか。国債整理基金の17年度末の残高は過去最高の11兆1353億円となる見込みで、18年度末は今年度の当初予算で10兆5295億円と見込んでいたが、補正予算で剰余金の全額を充てれば、11兆4千億円程度となり、年度末ベースで基金残高は過去最高を更新する見込みと記事は伝えるが、国債整理基金が負っている負債との差額を示さないとミスリーディングさせることになる。
18年度補正予算の編成指示が降りる
 11月15日付け日本経済新聞朝刊1面に「国債発行を減額補正、首相、編成を指示、税収増、災害対策も」の記事。
 記事は、安倍晋三首相が14日、尾身幸次財務相らを首相官邸に呼び、18年度補正予算案を編成するよう指示したと報じる。今年度の税収が当初見積もりより3兆―4兆円程度上回る見通しになったためで、竜巻や豪雨被害など災害対策費を盛り込むとともに、今年度の国債発行(当初予算で29兆9730億円)の減額に回すとか。追加歳出はできるだけ抑える方針だが、自民党などから圧力が強まる可能性もあると記事は評する。首相は財務相に「補正を組むが、さらに歳出削減努力をする」と語ったとか。補正による国債減額は17年度に続き2年連続になるとのこと。首相は同日夕、記者団に「どういうものが必要か、党ともよく議論をしなければならない」と述べ、歳出内容を与党側と調整する考えを示しつつ、「財政再建に向けて無駄遣いをなくしていく方針にいささかも変わりはない」とも強調したとのこと。
 同紙5面の「国債減額幅が焦点―補正予算編成へ、歳出増額の圧力も」は、安倍晋三首相が18年度補正予算案の編成を指示したことで、今後の焦点は税収増を原資に18年度の新規国債発行額をどれだけ減らせるかに移るとし、景気回復を背景に今年度税収が当初見積もりから3兆―4兆円程度増額修正される見通しで、これに加えて補正予算では、今年7月の17年度決算で確定した純剰余金約9千億円のほか、税外収入の増加分も歳入増要因として見込め、増えた税収から自動的に地方交付税に回る分や義務的な経費の増加分を除いて、2兆―3兆円の原資を今年度国債発行の減額と国債償還のための特別会計への繰り入れ、追加歳出に振り向けることができる見込みと伝える。財務省は大半を国債減額に充てたい考えだが、首相指示の災害対策に加え与党内では地域再生や経済活性化に絡めて事実上の公共事業の増額を期待する向きもあり、政府・与党内の綱引きも予想されるとか。17年度補正予算では3年連続で「経済対策」は盛り込まず、災害対策(約5700億円)やアスベスト対策(約1800億円)に追加歳出を限定し、新規国債発行を約9200億円減らして、約1兆2千億円の純剰余金も全額を国債償還のための特別会計に繰り入れていて、財政健全化を重視した経緯がある。
雇用保険の国庫負担
 11月12日付け日本経済新聞朝刊29面に「2兆8032億円、雇用保険料の積立金残高(2005年度末)(NEWSな数字)」の記事。
 記事は、景気回復に伴う失業者の減少により、失業手当などに充てる雇用保険の財政が急速に改善しており、財務相の諮問機関、財政制度等審議会が10月末の会合で、雇用保険への国庫負担を全廃すべきとの考えで一致し、これが実現すれば雇用保険制度が創設された昭和22年以来(49年までは失業保険)、初めてと報じる。バブル崩壊後の長期不況で失業手当の受給者はピークの平成13年度には月平均110万人に達したが、その後は減り続け、17年度は月平均63万人にとどまっており、6年度から赤字に陥っていた失業給付の単年度収支も、15年度以降は黒字が続いているとのこと。この結果、14年度末には4064億円まで減少した保険料の積立金残高は、17年度末には2兆8032億円へと急回復し、18年度末には3兆3800億円を超えるとか。保険料率が現行のままだと19年度末には4兆3400億円と、過去最高だった4兆7500億円(5年度末)に迫る見通しとか。財政が急回復した背景には制度改正の影響もあり、13年度から17年度にかけて、労使で折半している失業手当の保険料率を月収の0.8%から1.6%へ引き上げたほか、国庫負担率も給付額の14%から25%に引き上げたとのこと。財政改善を受けて、厚生労働省は来年度から保険料率を1.4%に下げる方針だが、財務省によれば、主要国で失業給付に国庫負担をつけているのはドイツくらいで、財制審は財政再建を進めるため国庫負担の全廃を打ち出したが、経済界や労働組合には反対の声もあり、激しい議論になりそうと記事は評する。
市町村と税務署が公式に連携できるようになった
 11月12日付け日本経済新聞朝刊3面に「固定資産税徴収、市町村と税務署連携―総務省指示、償却資産把握急ぐ」の記事。
 記事は、総務省が全国の市町村に対し、固定資産税の取りこぼしを防ぐため税務署と連携を強めるよう指示したと報じる。18年度税制改正で税務署が持つ固定資産税関連の資料を市町村が閲覧できるようになったことを受けた措置で、市町村は税務署と協議し、実態がつかみにくかった企業の機械設備など償却資産の把握を急ぐと記事は伝える。固定資産税は市町村が徴税する地方税で、土地・建物や機械設備などにかかり、国税の徴税組織である税務署と市町村の連携はこれまで、住民税や事業税に関する事項に限定されており、中小企業などの償却資産は、自主的な申告に任せることも多かったが、今後は、(1)市町村への申告と税務署が持つ資料の比較、(2)飲食業や理容業など開業情報の共有、(3)未申告者への指導強化、などを進めるとのこと。固定資産税は市町村税の約4割を占める基幹税目で、取りこぼしを防ぐことで税収確保につなげる考えと記事は伝える。
経財相は民間4議員との連携を重視
 11月11日付け日本経済新聞朝刊5面に「社会保障、始動した「大田経財相改革」――民間議員と同盟、高コストにメス」〔編集委員 大林尚〕の記事。
 記事は、大田弘子経済財政担当相が就任時に公約した構造改革の計画づくりが動き出し、10日の経済財政諮問会議が、社会保障と公共投資について民間議員が4人連名で19年度から5年間の抑制目標を示すよう担当閣僚に求める舞台となったと評する。来年は統一地方選に参院選が重なる選挙イヤーで、景気拡大の持続で税収の伸びは想定を上回り、歳出削減のタガは緩みがちになり、経財相はそれを見越して4議員との同盟戦略に打って出ていて、成果が表れたのが社会保障改革と記事は解説する。バブル後の社会保障改革は国民負担の引き上げと給付抑制の連続で、高齢者を中心とする負担増と給付抑制の組み合わせは、世代間格差を縮める有力な手段だが、医療に関していえば、窓口負担を操作して患者の受診行動を制限しようとしても限界があり、4議員が厚生労働相に高コスト構造にメスを入れるよう迫ったのは、そうした問題意識が背景にあると記事は伝える。診療報酬の定額払い制と重複・不要検査の解消は、患者よりも医療機関や医療従事者の行動を変えることを狙っており、自治体病院の高コスト構造に言及したのは、聖域視されていた職員の人件費抑制を念頭においたものとか。市場化テスト法(公共サービス改革法)も活用して病院経営に民の風を送り込むことは公務員制度改革にもつながるとか。列挙した対策はどれも厚労省が取り組んでいるものだが、医療関係団体の反対は岩盤のように硬く、圧力団体の常として政治家が動員され、矢面に立たされる同省は漸進主義にならざるを得ない状況で、4議員はその背中を押す役割を買って出たと記事は評する。構造改革を成功させるには期限と手順を具体的に示す必要があるというのが経財相の持論で、5年間に一般会計で1兆1千億円の社会保障関係費を削る具体策は厚労相の仕事になり、来年度の公共事業費の3%抑制は国交相の責務になったとか。医療改革の重点は医療界に潜む無駄のあぶり出しに移りつつあり、大切なのは無駄を削り効率化を進めても、医療の質は落ちず、患者本位はいささかも揺るがないという事実であると記事は締め括っている。