11月15日付け日本経済新聞朝刊1面に「国債発行を減額補正、首相、編成を指示、税収増、災害対策も」の記事。
記事は、安倍晋三首相が14日、尾身幸次財務相らを首相官邸に呼び、18年度補正予算案を編成するよう指示したと報じる。今年度の税収が当初見積もりより3兆―4兆円程度上回る見通しになったためで、竜巻や豪雨被害など災害対策費を盛り込むとともに、今年度の国債発行(当初予算で29兆9730億円)の減額に回すとか。追加歳出はできるだけ抑える方針だが、自民党などから圧力が強まる可能性もあると記事は評する。首相は財務相に「補正を組むが、さらに歳出削減努力をする」と語ったとか。補正による国債減額は17年度に続き2年連続になるとのこと。首相は同日夕、記者団に「どういうものが必要か、党ともよく議論をしなければならない」と述べ、歳出内容を与党側と調整する考えを示しつつ、「財政再建に向けて無駄遣いをなくしていく方針にいささかも変わりはない」とも強調したとのこと。
同紙5面の「国債減額幅が焦点―補正予算編成へ、歳出増額の圧力も」は、安倍晋三首相が18年度補正予算案の編成を指示したことで、今後の焦点は税収増を原資に18年度の新規国債発行額をどれだけ減らせるかに移るとし、景気回復を背景に今年度税収が当初見積もりから3兆―4兆円程度増額修正される見通しで、これに加えて補正予算では、今年7月の17年度決算で確定した純剰余金約9千億円のほか、税外収入の増加分も歳入増要因として見込め、増えた税収から自動的に地方交付税に回る分や義務的な経費の増加分を除いて、2兆―3兆円の原資を今年度国債発行の減額と国債償還のための特別会計への繰り入れ、追加歳出に振り向けることができる見込みと伝える。財務省は大半を国債減額に充てたい考えだが、首相指示の災害対策に加え与党内では地域再生や経済活性化に絡めて事実上の公共事業の増額を期待する向きもあり、政府・与党内の綱引きも予想されるとか。17年度補正予算では3年連続で「経済対策」は盛り込まず、災害対策(約5700億円)やアスベスト対策(約1800億円)に追加歳出を限定し、新規国債発行を約9200億円減らして、約1兆2千億円の純剰余金も全額を国債償還のための特別会計に繰り入れていて、財政健全化を重視した経緯がある。