10月19日付け日本経済新聞朝刊3面に「「成長なくして財政再建なし」、7割の国で確認――OECD24ヵ国分析」〔パリ=野見山祐史〕の記事。
記事は、経済協力開発機構(OECD)が「景気回復で民間部門の成長ペースが速くなった国は、増税に頼らなくても歳入の伸びが高まり、財政が改善に向かう」という加盟国経済の分析結果をまとめたと報じる。調査対象の24カ国のうち、米英など7割で2004年から05年にかけてこの傾向を確認したとのこと。安倍晋三首相が掲げる「成長なくして財政再建なし」の主張を裏付けるような結果になったと記事は伝える。調査は加盟国の
税収、社会保険料など公的部門の歳入の国内総生産(GDP)に対する比率を算出して分析したもので、歳入の伸びがGDPの伸びを上回ればこの比率は上がるが、04年から05年にかけてデータがとれた24カ国中、17カ国で比率が上昇し、財政状況の改善を示したとのこと。この間、社会保険料と税金を合わせた国民負担が増えた国〔←「増収措置を講じた国」の意か?〕はなかったとか。比率上昇の首位はアイスランド(3.7ポイント)で、米国(1.3ポイント)、英国(1.2ポイント)と続いたとか。米国は現在も01年11月を谷とする戦後最長の景気拡大局面にあり、国営の通信会社や金融機関を民営化し法人税を引き下げたアイスランドは04年下半期に前期比3%超成長し、05年中もプラス成長を保ったとか。OECDはこうした財政好転の背景について「民間部門の収益力向上により、経済全体の伸びを上回って企業の利益が増え、税収増につながった」と分析しており、政府が増税を急がなくても成長重視の政策で財政改善につなげられることを示したと記事は伝える。米国では1995年から2000年にかけても歳入のGDP比が上がっており、OECDは「この時期も税制の変更より景気回復が寄与した」(税制分析センター)とみているとか。景気回復が続く日本も04年の同比率が26.4%と、03年に比べ0.7ポイント上昇しているとも。ただ欧州連合(EU)内で財政赤字の大きいドイツ、イタリアをみると景気が回復したにもかかわらず伊の比率が05年に0.1ポイント低下し、独は横ばいにとどまっており、ドイツが付加価値税の引き上げを予定するなど、成長だけで財政を立て直せるとは限らない例もあるとも記事は伝える。