財政再建への動き

破綻しかけている日本の財政を何とかしようという動きを見届ける
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法人の申告所得総額が50兆円を超えた
 読売は10月26日に「法人の申告所得総額50兆円超、14年ぶりの高水準」を配信。
 記事は、今年6月までの1年間に税務申告した企業など法人の申告所得総額が50兆3974億円(前年比16・7%増)に上ったことが国税庁のまとめで分かったと報じる。申告所得総額が50兆円を突破したのは、バブル期の3年度以来、14年ぶりで、黒字申告だった法人の割合も31・9%と前年を0・4ポイント上回り、3年連続で増加したとのこと。持続的な景気回復を反映した企業業績の順調ぶりが、税務申告からも裏付けられたと記事は評する。申告所得総額はバブル崩壊後、10年度には33兆円にまで落ち込んでおり、ITバブルがあった12年度に42兆円に伸びたが、その後は30兆円台で推移していて、景気回復を受け15年度からようやく上向き始め、16年度に43兆円に達していたとか。一方、申告内容に疑問があり、国税当局が調査したのは14万3000件あり、うち10万4000件について計1兆6654億円(前年比11・7%増)の申告漏れを指摘していて、その中の2万9000件に、仮装や隠ぺいを伴う悪質な所得隠しが見つかり、追徴税額は計3953億円(同9・8%増)だったとのこと。
「成長なくして財政再建なし」の主張を裏付けるOECD報告
 10月19日付け日本経済新聞朝刊3面に「「成長なくして財政再建なし」、7割の国で確認――OECD24ヵ国分析」〔パリ=野見山祐史〕の記事。
 記事は、経済協力開発機構(OECD)が「景気回復で民間部門の成長ペースが速くなった国は、増税に頼らなくても歳入の伸びが高まり、財政が改善に向かう」という加盟国経済の分析結果をまとめたと報じる。調査対象の24カ国のうち、米英など7割で2004年から05年にかけてこの傾向を確認したとのこと。安倍晋三首相が掲げる「成長なくして財政再建なし」の主張を裏付けるような結果になったと記事は伝える。調査は加盟国の税収、社会保険料など公的部門の歳入の国内総生産(GDP)に対する比率を算出して分析したもので、歳入の伸びがGDPの伸びを上回ればこの比率は上がるが、04年から05年にかけてデータがとれた24カ国中、17カ国で比率が上昇し、財政状況の改善を示したとのこと。この間、社会保険料と税金を合わせた国民負担が増えた国〔←「増収措置を講じた国」の意か?〕はなかったとか。比率上昇の首位はアイスランド(3.7ポイント)で、米国(1.3ポイント)、英国(1.2ポイント)と続いたとか。米国は現在も01年11月を谷とする戦後最長の景気拡大局面にあり、国営の通信会社や金融機関を民営化し法人税を引き下げたアイスランドは04年下半期に前期比3%超成長し、05年中もプラス成長を保ったとか。OECDはこうした財政好転の背景について「民間部門の収益力向上により、経済全体の伸びを上回って企業の利益が増え、税収増につながった」と分析しており、政府が増税を急がなくても成長重視の政策で財政改善につなげられることを示したと記事は伝える。米国では1995年から2000年にかけても歳入のGDP比が上がっており、OECDは「この時期も税制の変更より景気回復が寄与した」(税制分析センター)とみているとか。景気回復が続く日本も04年の同比率が26.4%と、03年に比べ0.7ポイント上昇しているとも。ただ欧州連合(EU)内で財政赤字の大きいドイツ、イタリアをみると景気が回復したにもかかわらず伊の比率が05年に0.1ポイント低下し、独は横ばいにとどまっており、ドイツが付加価値税の引き上げを予定するなど、成長だけで財政を立て直せるとは限らない例もあるとも記事は伝える。
公的部門が資金余剰に転換
 10月18日付け日本経済新聞朝刊5面に「公的部門、資金余剰に転換、1―6月、税収増と支出抑制で」の記事。
 記事は、中央政府と地方自治体、社会保障基金(公的年金)を合わせた日本の「公的部門」が今年上半期(1―6月)に実質的な資金の流出超過に転じたと報じる。税収の増加と支出の抑制により、この間の国債の発行額が抑制されたことなどが背景とか。公的部門が資金余剰に転じるのは統計でさかのぼれる10年以降で初めてとか。日銀の資金循環統計では、政府、企業、家計など部門別の資金の出し入れを把握でき、一定期間内の金融負債の増加額が金融資産の増加額を上回るとその部門は資金不足、逆の場合は資金余剰とみなされるが、今年1―6月に公的部門は6556億円の資金余剰となり、旧統計(年度ベース)と比較すると3年度以来の資金余剰への転換とか。中央政府は依然、6兆1418億円の資金不足となったが、不足額は過去最小で、国債の発行抑制により4―6月期には、統計開始以来初めて発行額を償還額が上回ったとのこと。国の債務残高はなお増加しているものの、フローベースでは改善が見られ、市場環境の好転で運用益が増えたことも公的部門の金融資産増加に貢献したと記事は伝える。日本では従来、民間の企業部門が最大の資金の使い手で、家計部門の貯蓄などを吸収してきたが、バブル崩壊後は企業部門が資金余剰に転換し、余ったおカネを税収の減少に悩む政府部門が国債発行などの形で吸い上げる構図が続いてきたとか。
財務省が地方公務員の給与について厚遇ぶりを指摘
 10月14日付け日本経済新聞朝刊5面に「財制審会長、「交付税の削減必要」、地方公務員給与下げも」の記事。
 記事は、財政制度等審議会(財務相の諮問機関)が13日、来年度予算編成に向けた議論を始め、国家公務員や民間に比べて平均で2割前後割高な地方公務員給与について、引き下げが必要との認識で一致したと報じる。西室泰三会長は会議後の記者会見で地方交付税交付金について「削る方向でいくべきだ」との考えを強調したとか。地方交付税は国の所得税、法人税、消費税、酒税、たばこ税の一定割合(法定税率)を自動的に地方に配分するもので、国税の増収に伴って増えるが、西室氏は「法定税率で機械的に試算される金額をそのまま認められない。あまりに増えるなら、何らかの方策が必要」と指摘し、地方歳出の無駄を排除し、地方交付税を法定配分以下の水準に抑える必要性も訴えたとか。同日の会議では地方公務員給与の具体例として、運転手や給食の調理師など「技能労務職」の17年4月時点での給与について財務省が報告し、同等の職務の国家公務員の場合、平均月給は31万6千円(平均年齢は48.1歳)なのに対し、山口と鳥取の2県を除く45都道府県では37万2千円(同47.1歳)と国より17%高かったとのこと。財務省は一般行政職の地方公務員給与に関する調査も報告し、民間企業に比べて平均21%も高いとの内容で、抑制が必要との認識を確認した。


財制審が抑制基調
 10月5日付け日本経済新聞朝刊5面に「財制審、財務相「国債発行30兆円以下」、「生ぬるい」批判続出」の記事。
 記事は、財政制度等審議会が4日、尾身幸次財務相の就任後の初会議を開き、財務相が19年度予算編成で国債の新規発行額を18年度当初予算と同じ30兆円以下に抑える方針を示したことに対して「生ぬるい」などの声が続出したと報じる。地方交付税と社会保障関係費を2本柱に歳出削減を徹底し、国債発行額も一段と抑制すべきだとの考えで一致したとか。30兆円枠については「税収増を考えて、さらに低いところを狙うべきだ」「その程度では国民は納得しない」などの指摘が相次ぎ、委員の一人からは「25兆円ぐらいを狙うべきだ」との発言も出たとのこと。来年度予算への建議に関しては、7月の「骨太の方針2006」で、今後5年間の歳出の伸びを11.4兆―14.3兆円抑制する計画を決めたことを受け、「(計画の最大値である)14.3兆円の初年度という考えで臨む」(西室泰三会長)との方針を確認したとの由。
地方より国が苦しいと財務省
 10月4日付け日本経済新聞朝刊5面に「2004年度決算財務省試算、長期債務返済の平均期間、地方2―3.5年/国18年」の記事。
 記事は、全国の地方自治体が長期債務を毎年の収入で返済するには何年かかるかを16年度決算の数値で試算したところ、平均で2―3.5年であることが財務省の調査で明らかになったと報じる。国の場合は18年に達しており、財務省は国の方が地方よりも財政状況が深刻と指摘し、試算を地方に協力を求める材料にしたい考えと記事は伝える。試算は都道府県と市区、町村別に算出しており、長期債務残高が地方税収や地方交付税などの「一般財源」の何倍に当たるかを計算したもので、全都道府県の長期債務残高の総額は、16年度の一般財源の総額の3.5倍に当たるため、返済には3.5年かかる計算となり、市区では2.1年、町村では2年程度だったとか。最も指標が悪い自治体を見ても、都道府県の場合は北海道、新潟、兵庫の4.2年、市区は4.4年、町村では6.1年だったとか。借金にかかわる歳出入を除いて、政策経費と税収などの収入の差を算出した基礎的財政収支を見ると、都道府県の場合は、一般財源に対して2.3%の赤字で、市区は4.1%、町村は3.2%の黒字で、共に単年度の収入で政策経費を賄えていたとのこと。国の場合は、地方交付税などで地方に回る分を除いて計算すると、64.4%の赤字とか。
税収は対前年度4.2%増
 10月3日付け日本経済新聞朝刊5面の「累計税収3.4%増――今年度、8月末時点」は、財務省が2日に発表した8月末の税収実績によると、一般会計税収は18年度初からの累計で約10兆3千億円となり、所得税の地方移譲の影響を除けば前年同月比3.4%増加したとか。定率減税の縮小で実質増税となった所得税や、好調な企業業績を受けて法人税の税収が増えており、予算額に対する進ちょく割合は前年度並みの22.5%とか。8月の一般会計税収は4.2%増の約4兆円で、夏のボーナスが好調だった所得税(11.511.5一一・五%増)や法人税(七・五%増)が全体の伸びをけん引した。消費税は一・七%減。増税前の駆け込み需要の反動が出たたばこ税は三七・六%の大幅なマイナスとなった。



17年度地方税収は都道府県5.1%増、市町村2.5%増
 9月30日付け日本経済新聞朝刊5面に「都道府県、歳出削減1.2%――昨年度、公共事業など5.6%減」の記事。
 記事は、総務省が29日まとめた地方自治体の17年度決算(速報値)によると、歳出総額が特殊要因を除くと都道府県が16年度比1.2%、市町村が0.9%それぞれ減少したと報じる。公共事業は減少したものの、生活保護や地方債の利払いなどにかかる義務的経費が増えており、都道府県と市町村で26団体が赤字決算を計上し、そのうち9団体は前年度よりも赤字額を増やしたとか。普通会計の歳出と歳入は都道府県が7年連続、市町村は4年連続で減っており、歳出項目では公共事業などの投資的経費の減少が目立っていて都道府県は5.6%減、市町村は6.6%減、人件費は都道府県、市町村とも1.4%減、歳入では景気回復を受けて地方税収が好調で、都道府県は5.1%増、市町村は2.5%増だったとか。地方債残高などから積立金を差し引いた将来にわたる財政負担は高止まりが続いており、都道府県は過去最高となる約80兆7600億円、市町村はやや減ったものの57兆円だったとか。一般財源に占める人件費や公債費の割合を示す経常収支比率は都道府県は92.6%、市町村は90.2%で、総務省は八〇%未満が望ましいとしているが、全都道府県と約9割の市町村が80%を上回ったとか。従来赤字決算の大阪府に加え、北海道が新たに赤字団体になり、赤字の市町村は24で、このうち、北海道小樽市や青森県黒石市、奈良県桜井市、徳島県小松島市など9団体で赤字額が前年度よりも拡大したとのこと。