9月18日付け日本経済新聞朝刊1面に「国の税収、法人税依存が鮮明に、2006年度、所得税と逆転へ」の記事。
記事は、好調な企業業績などで法人所得が大きく伸びているとして、国の税収の企業依存が鮮明になってきたと報じる。18年度の法人税収(一般会計)は13兆円を大きく超え、昭和63年度以来、18年ぶりに所得税収を上回る可能性が出てきたとのこと。景気回復に伴う自然増収が財政の下支えに寄与していることを示すものだが、税収に占める法人税の割合は国際水準より高く、経済界で負担軽減を求める声が強まりそうと記事は伝える。法人税収が大きく伸びているのは、企業業績が好調を維持しているのが背景にあり、日本経済新聞社の調べによると、19年3月期決算の上場企業(金融など除く)の連結経常利益は前期比1.5%増の28兆円余りとなり、4年連続で過去最高を更新する見込みで、法人企業統計でも足元の4―6月期業績は過去最高水準となっているとか。さらに、法人が各年度の税額を計算する際に、所得から差し引ける過去の繰越損失(欠損金)も減少傾向で、デフレ期に企業が不良債権処理を迫られたことから、法人全体の欠損金は一時90兆円台に達し、所得が縮小する要因になったが、企業業績の回復で欠損金は16年度には72兆円強まで減少しており、繰越損失が大きくて、これまで法人税を払っていなかった銀行などでも今後は欠損金が解消に向かい、納税に転じる例が出てくる見通しとか。この結果、政府は18年度予算で法人税収を13兆1千億円と見積もり、18年ぶりに所得税収(12兆8千億円)を上回ると算定したとか。18年度予算の法人税収は17年度実績とほぼ同じで、慎重な見積もりとなっているが、
今年4―7月累計では4500億円と前年同期の1.5倍に達しているとのこと。17年度も法人税収は当初見積もり(11兆5100億円)を大きく上回って最終的には13兆2700億円に達しており、政府内では「18年度も目標を少なくとも数千億円規模で上回る」との見方が出ているとか。一方、法人税収と並ぶ税収の柱である所得税収(一般会計)は4―7月の累計で前年同期を下回っており、これは、株主への配当にかかる税金などは増える見通しだが、利益を人件費などにどれだけ回したかを示す
労働分配率が大企業を中心に低下傾向にあり、給与が伸びず、所得税が法人税ほど増えないとされる背景になっていると記事は伝える。17年度の税収は49兆円と当初見積もりに比べて約5兆円増えており、18年度税収も当初見積もりより大幅に膨らめば、「成長に伴う税収の自然増こそ財政再建に役立つ」との声が強まる可能性があるとか。
法人税収が膨らんだ場合、国と地方の税収全体に占める法人課税の割合は25%程度になる見通しだが、欧米主要国はおおむね10%以下で、経済界からは「国際的な水準にあわせるべきだ」と声が高まるのは必至で、今年末に議論する19年度税制改正論議の焦点に浮上することも考えられると記事は評する。