財政再建への動き

破綻しかけている日本の財政を何とかしようという動きを見届ける
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実質公債費比率の意義
 8月30日付け日本経済新聞朝刊1面に「地方債、2割超、自由起債できず――市区町村総務省調べ、財政健全化が急務」の記事。
 記事は、総務省が29日に発表した、自治体の財政健全度を示す新しい財政指標「実質公債費比率」の市区町村の算定結果(今年度の速報値)によると、地方債の発行に国と都道府県の許可が必要な自治体は406と全体の2割超に達し、地方財政の深刻な実態が明らかになったと報じる。同省は財政健全化に向けた是正措置を早期に促すとのこと。都道府県別にみると、地方債発行に国などの同意が必要となる自治体の割合は島根が最も高く、21市町村のうち18市町村で、青森、石川も自治体の半数を超えたとか。実質公債費比率は地方債発行に関する国の関与を薄めたのに伴い、同省が今年度から導入した指標で、自治体の収入に占める実質的な借金返済の割合を示し、18%以上になれば債務削減計画の策定が義務付けられるとのこと。さらに25%以上になると、財政破綻の危険があるとされ起債が制限されるとか。同省は25%以上の自治体数は公表していないが、個別の自治体について調べたところ、北海道の歌志内市が40.6%に達するなど、少なくとも25自治体が25%以上とか。同省は「十年後までに地方債発行を完全自由化する」としており、18%以上の自治体などは、市場の信用力を得るためにも財政再建が一層の急務となりそうと記事は評する。都道府県と政令市の実質公債費比率は7月に既に公表されていて、4道県と8市が18%以上とか。
 同紙5面の「自治体、財政健全度調査――実質公債費比率18%以上の市町村、3県、5割上回る」は、総務省が29日に公表した市町村の財政健全度を示す指標「実質公債費比率」は、地方自治体の財政健全化が待ったなしの状況であることを改めて裏付けたと解説する。東北や山陰など産業基盤に乏しく人口減少が進む地域で深刻な財政が目立っており、財政破綻を未然に防ぐ再建法制の見直しなどが急務と記事は説く。実質公債費比率は公営企業なども含めた自治体の実質的な債務負担を示すもので、今回の調査では、全市町村の22%が地方債起債に都道府県の許可を必要とする18%以上となったとか。これらの自治体は債務削減の見通しを示す計画策定を義務付けられ、財政に黄信号がともった状態とのこと。実質公債費比率が一八%以上の市町村の割合をみると、青森、石川、島根の3県で5割を上回ったほか、北海道、長野、高知など10道県で3割を超えたとか。いずれも地方圏に集中しているとのこと。
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国債残高の伸びが鈍化した
 8月29日付け日本経済新聞朝刊1面に「国債残高、伸び鈍化、税収増・消却拡大で――7月は4.7%、13年ぶり水準」の記事。
 記事は、税収増と歳出削減で新規発行額が抑えられていることに加え、財務省が市場などからの買い入れ消却を増やしているため、国の借金である国債の残高の伸びが鈍化していると報じる。景気回復にもかかわらず長期金利が低い水準で安定している一因にもなっており、景気の持続性をより高める好循環が生まれており、このまま国債残高の伸びが低く抑えられれば、深刻さを増す財政悪化に一応の歯止めがかかると記事は評する。今年7月の国債残高の伸び率は前年同月比で4.7%増にとどまっており、これは5年11月以来、ほぼ13年ぶりの低い伸びで、17年2月(13.4%増)を直近のピークに、伸び率が急低下しているとか。背景には景気回復に伴い税収が増えていることがあり、17年度は所得税や法人税が増え、税収総額は49兆円と当初予算を5兆円上回り、これによって同年度の新規国債発行額は当初計画より約3兆円減少した経緯がある。引き続き堅調な税収が見込まれることから、政府は18年度予算では新規の国債発行額を5年ぶりに30兆円以下に抑えており、税収が上振れすれば、さらに発行を減らす可能性もあるとか。財務省が強化している国債管理政策の効果もあり、発行済みの国債を償還期限前に同省が買い取って需給を調整する「買い入れ消却」が柱で、今年4―7月の消却額は約4兆2千億円と前年同期の約6倍に増加しており、同省は消却のために財政融資資金特別会計から12兆円を原資として調達していて、今年度の消却額は過去最大になる見通しとか。税収増などで17年度決算で発生した約9千億円の純剰余金も半分以上を国債償還にあてることになっているとのこと。国債のうち、市場での流通利回りが長期金利の指標となる十年債で伸びの鈍化が目立っており、今年7月には0.2%増まで低下しており、財務省は国債が大量に償還時期を迎える「2008年問題」解消のため十年債を積極的に消却していて、償還期間が20、30年の超長期債に発行をシフトしていることも影響しており、十年債では近く残高減に転じる可能性もあるとか。市場関係者の間では、景気回復にもかかわらず十年債の流通利回りでみた長期金利が1.7%近辺で安定している理由として、残高の伸び鈍化を指摘する声があるが、長期金利は金融政策や経済政策の指標となるうえ、個人の住宅ローンや企業の設備投資を左右し、低位で安定すれば景気回復を後押しする効果があり、十年債残高が減少する意味は大きいと記事は評する。内閣府の見通しでは18年度の名目成長率は2.2%で、国債残高が抑制され、年率の伸びが名目成長率以内にとどまれば、国内総生産(GDP)比で世界最悪の水準まで膨らんだ日本の債務悪化に歯止めがかかるが、国債は新規発行が続き、残高はなお積み上がっており、国と地方を合わせた長期債務の残高は名目GDPの1.5倍以上に達していて、財政を健全化するためには一段の歳出削減など改革努力が必要と記事は評する。
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夕張市が給与削減に乗り出した
 8月19日付け日本経済新聞朝刊5面に「夕張市が給与条例案可決」の記事。
 記事は、自治体の破綻にあたる財政再建団体入りを表明した北海道夕張市が、財政再建団体移行に伴う歳出削減策の一環として、18日の臨時市議会で、市長や職員の給与を減額する給与改正条例案を可決したと報じる。市長の基本給を50%、助役は40%、職員は15%減額するとのこと。9月1日から実施し、18年度に2億8千万円の削減効果を見込むとか。
公務員給与の準拠事務所の拡大で940億円の歳出削減
 朝日は8月8日に「官民給与の比較方法見直しで940億円の歳出削減効果」〔東京 8日 ロイター〕を配信。
 記事は、財務省が8日、18年度の人事院勧告に関して、官民給与の比較方法の見直しに伴って940億円の歳出削減効果が発生するとの試算を発表したと報じる。人事院が勧告にあたって比較する民間企業の人員規模や役職要件を変更して対象を拡大したためで、8日に国会と内閣に提出された人事院勧告は18年度の実施所要額が初のゼロとなったとか。国家公務員の給与は16年度以来の据え置きとのこと。具体的な見直し内容は、これまで比較対象企業を従業員規模100人以上としていたが、今回から50人以上に拡大したほか、本省課長クラスに相当する民間企業の部長の要件についても、部下の数を30人以上から20人以上に引き下げたとか。規模の小さい企業を対象に加えたことで、「全体の賃金の平均値も下がる」(財務省幹部)こととなり、従来基準で算出した場合に比べて国庫負担が軽減されたもので、従来基準では、景気回復に伴って民間企業の賃金が引き上げ方向にあることもあり、月例給で1.12%増、ボーナスで0.05カ月増の勧告が必要だったとか。財務省によると、これは一般会計で900億円程度、特別会計で90億円程度、一般会計繰り入れ分を除いた純計で940億円程度の歳出削減効果に相当するとのこと。また、同様の基準で総務省が行った試算では、地方公務員給与など地方負担分の歳出削減効果は2490億円程度になるとか。
骨太2006の削減幅の詳細は非公式文書に
 8月12日付け日本経済新聞朝刊1面に「地方単独事業、最大2.8兆円削減、骨太方針の詳細判明」の記事。
 記事は、政府が「骨太の方針2006」で定めた今後5年間の歳出削減計画の詳細について、最大で14兆3千億円にのぼる削減額のうち、地方自治体が国の補助なしで自ら決定できる地方単独事業が最大2兆8千億円、防衛費が今後の増加を4千億―6千億円抑制する計画と報じる。財務省はこれらの目標額を基本とし、計画初年度の19年度予算から歳出削減に取り組むとのこと。7月上旬に決めた骨太方針では19―23年度で国・地方合わせて歳出を11兆4千億―14兆3千億円削減する計画を明記しており、社会保障と人件費、公共投資については削減額を示したが、その他の分野については、関係省庁や議員の反発に配慮して具体的な額を盛り込まなかったものの、詳細が骨太方針決定時に財務省などが作成、与党と交わした非公式文書に盛り込まれていると記事は伝える。中でも地域の関心が高い地方単独事業(18年度予算で23兆6千億円)は、23年度に18年度予算比で1兆5千億―2兆8千億円削減する方針で、このうち、一般行政経費(13兆5千億円)は18年度予算比で据え置きから3千億円増の範囲とし、公共事業関係に充てる投資的経費(同10兆1千億円)が1兆8千億―2兆8千億円削減とか。防衛費(約4兆8千億円)は、削減しなければ23年度に5兆円強まで増えると想定し、これを4千億―6千億円抑制するが、在日米軍基地の再編で巨額の財政負担が必要なため、最終的な削減額は流動的とか。このほか文教予算は2千億―4千億円、農林水産と政府開発援助(ODA)は2千億―3千億円、自然増をそれぞれ抑制する方針を示していると記事は伝える。
片山氏は一挙の税率アップを提唱
 8月7日の毎日新聞に「<片山参院幹事長>消費税率引き上げは「いっぺんに」」〔西田進一郎〕の記事。
 記事は、自民党税制調査会顧問の片山虎之助参院幹事長が7日に東京都内で講演し、消費税率引き上げについて「3%ないし5%いっぺんに上げたらいい」と述べ、現在5%の税率を数年以内に8または10%に一気に上げるべきだとの考えを示したと報じる。消費税率については、ポスト小泉候補の谷垣禎一財務相が政権構想で2010年代半ばまでに2段階で10%以上への引き上げ方針を掲げているが、片山氏はこれに対し「2年や3年でちまちま上げるとくたびれる。コンピューターのシステムなど全部変えないといけなくなり、手間がかかる」と述べ、段階的引き上げは適当でないとの考えを示したと記事は説く。
17年度の法人税は前年度比16%増
 8月1日付け日本経済新聞朝刊5面に「昨年度一般会計、剰余金9009億円、半分以上、国債償還に」の記事。
 記事は、財務省が31日に発表した17年度の国の一般会計の確定値について、歳入が景気回復による税収増で、補正予算での見積額より2兆234億円多い49兆654億円となり、歳出で低金利で国債の利払い費が8843億円余るなど1兆5275億円の使い残しが発生した結果、純剰余金が9009億円となったと報じる。このうち半分以上を国債償還に充てるとか。税収増をけん引したのは所得税と法人税で、所得税は配当課税収入の増加などで16年度決算額から6.2%増えと15兆5859億円、法人税は前年度比16%増の13兆2736億円と昭和63年度以来の伸びとのこと。消費税も好調で、前年度比6.1%増の10兆5834億円とか。景気回復を背景に税収が伸びたことで、3年連続で当初・補正予算の想定をともに上回る結果となったと記事は伝える。
消費税増税を明確にしている総裁候補者は谷垣氏だけ?
 8月1日付け日本経済新聞朝刊2面に「自民総裁選、消費税で対立鮮明、安倍氏、税率・時期示さず」の記事。
 記事は、9月の自民党総裁選の争点となる消費税率引き上げ論議について、谷垣禎一財務相がいち早く10%への引き上げや社会保障目的税化に踏み込む一方、安倍晋三官房長官は31日の記者会見で具体的な税率や見直し時期の明示は適当ではないと強調しており、候補者の立場の違いが明確になってきたと報じる。安倍氏は記者会見で消費税率の引き上げについて「『まず消費税』ではなく、歳出削減の努力を徹底し国有財産の売却も進めていく。さらに成長力を高めて自然増収を図っていくことも大切だ」と指摘し、総裁選中に具体案を示す状況にはないとの考えを明確にしたとのこと。年末の来年度税制改正での本格的な消費税論議に関しても「まだ早いような気がする」と表明し、谷垣氏が主張する社会保障目的税化には「目的税にすることによって硬直化するとの議論もある。国民の納得を得る時に議論すべき課題ではないか」と語ったとか。消費税率を巡っては、谷垣氏が7月27日の出馬表明の記者会見で「2010年代半ばまでのできるだけ早い時期に、少なくとも10%の税率とする必要がある」と表明しており、その後、2回に分けて増税する「2段階論」に言及し、食料などへの軽減税率は「10%程度の税率なら不要」との認識を示し、地方に回す財源分を除いた「全額の社会保障目的税化」などの具体論にも踏み込んだとか。政府が先に決定した「骨太方針2006」は、23年度の基礎的財政収支(プライマリーバランス)黒字化に必要な歳入増は2兆―5兆円と想定しており、安倍氏に近い中川秀直政調会長は、消費税で賄う場合は「機械的には1―2%」と指摘しているが、安倍氏は現状では、基礎的財政収支の黒字化に必要な消費税率の上げ幅にも触れていないとか。一層の歳出削減や経済成長を念頭に、増税幅を最小限にとどめる努力を続けるべきだとの立場からで、麻生太郎外相も「法人税などの伸びを見極めて消費税の話に入るのが正しい」と安倍氏に近い考えを示しているとのこと。