6月28日付け日本経済新聞朝刊2面に「歳出入改革、焦点は消費税上げ幅に、自民税調が予防線、「1―2%」独り歩き懸念」の記事。
記事は、最大14兆3千億円の歳出削減案が決まったことで、政府・与党の歳出入改革論議が税制など歳入面に焦点が移り、23年度の基礎的財政収支の黒字化に必要な財源額から歳出削減分を引いた2兆―5兆円をすべて消費税率上げで賄えば上げ幅は1―2%となるが、自民党税制調査会がこの数字が独り歩きするのを懸念して、予防線を張り始めたと報じる。7月上旬の骨太方針2006の決定に向けて攻防が激化しそうと記事は伝える。27日の自民税調正副会長・顧問会議〔インナー〕で、伊吹文明小委員長は「2%で終わりみたいな感覚を国民に与えることは払拭しないといけない」と、政府・与党の歳出削減案から予想される消費税率の上げ幅に不満を漏らしたとか。政府・与党案では23年度の基礎的財政収支の黒字化に必要な金額は16兆5千億円、歳出削減で11兆4千億―14兆3千億円を賄い、残りを増税などで穴埋めするとしており、同案作りを主導した自民党の中川秀直政調会長は26日夜に「最大でも1―2%の(消費税)増税で済む」と述べているが、
23年度に基礎的財政収支が黒字化しても債務残高が減らなければ財政再建への道は遠く、伊吹氏の発言は上げ幅を最大2%で縛れば、債務残高圧縮のための増税論議ができなくなることを懸念したもので、税調内には歳出削減案について「必要額と削減額を楽観的にはじいている」との不信感もあると記事は伝える。税調顧問の町村信孝前外相は27日の講演で「
消費税率を上げるときは(5%から)10%にすべきだ」
と指摘したとか。増税などの増収措置を巡っては、26日に決定した歳出削減の最終案では調整中という位置づけで、自民税調は週内にも最終案を修正し、骨太方針に盛り込む内容を固める考えだが、消費税率の上げ幅や実施時期などの具体化は盛り込まれない見通しで、本格論議は来年以降に先送りされる公算が大きいとのこと。