財政再建への動き

破綻しかけている日本の財政を何とかしようという動きを見届ける
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政府・与党で地方単独事業の削減の方向
 5月29日付け日本経済新聞朝刊1面に「地方単独事業、5年で5兆円減、政府・与党検討――交付税圧縮狙う」の記事。
 記事は、政府・与党が歳出・歳入一体改革の歳出削減策の一つとして、地方自治体が自ら決められる地方単独事業費(18年度予算で23兆6千億円)を19年度から5年間で5兆円以上削減する方向で検討に入ったと報じる。国が地方に支給する地方交付税(18年度予算で14兆6千億円)の圧縮にもつなげるとのこと。政府・与党の財政・経済一体改革会議で議論し、6月にまとめる「骨太方針2006」で目標を明示する方向と記事は伝える。地方単独事業は地方債や地方交付税などを財源に自治体が任意に決める事業で、道路、公園の整備や清掃事業などにも使われており、13年の小泉政権発足後の5年間で5兆2千億円を削減したが、なお削減の余地は大きいと政府・与党はみているとか。政府・与党は国と地方で18兆8千億円の公共事業費を毎年3%以上削減する目標も検討中で、23年度に18年度比で2兆7千億円の削減を見込んでいるとのこと。地方単独事業の4割強を占める投資的経費は公共事業費と重複するため、重複分を除く公共事業と地方単独事業の歳出削減効果は6兆円程度と記事は解説する。
財務大臣も19年の消費税率アップを断念?
 FujiSankei Business i は5月27日に「消費税上げ 先送り強まる 財務省」を掲出。
 記事は、谷垣禎一財務相が26日の閣議後会見で、消費税率引き上げ問題について「スケジュールも大事だが、歳出・歳入一体改革を進めていく上で一番大事なのは国民の理解をどう得ていくかだ」と述べ、目標として繰り返し示してきた「19年の税率引き上げ法案提出」に言及しなかったと報じる。自民党税制調査会幹部からは「消費税を上げるとしても19年から動かすということはなかなか難しい」(伊吹文明小委員長)などとして、今年の年末に決める19年度税制改正での税率引き上げ決定は実務的に困難との意見が出ており、谷垣財務相が19年の法案提出に必ずしもこだわらない姿勢を示したことで、消費税率引き上げ決定を来年に先送りする声が強まりそうと記事は伝える。財務相はまた、基礎年金の国庫負担比率引き上げについて「21年度までに(3分の1から)2分の1へ引き上げていくと明確にスケジュールが書いてある」と説明した上で「あまり時間的余裕があるわけではない」と述べるにとどめたとのこと。
短期楽観、長期悲観
 5月26日付け日経金融新聞2面に「財政に思わぬ“援軍”法人税――短期楽観も油断は禁物(ポジション)」〔編集委員 滝田洋一〕の記事。
 記事は、自民党税制調査会が19年度税制改正で、消費税の税率引き上げを見送る公算が大きくなっているが、債券市場は意外に冷静で、その背景として、税収増があると伝える。62年度まで見渡した日銀内部の試算「わが国財政の長期見通し」によると、歳入の名目国内総生産(GDP)比は、16年度の29.4%が、23年度に32.4%へと、構造改革と経済財政の中期展望(改革と展望)の予測より2.8ポイントも大きくなるとのこと。背景は税収増で、名目GDPが1伸びた際に税収がどれだけ増えるかを示す弾性値は、18年度には3.85、19年度も2.63にのぼる見込みとか。これは、法人税収増が効いており、上場企業が過去最高益を更新する中で、赤字企業が減り、黒字企業が増えていて、黒字企業の税引き前利益総額に対する赤字企業の損失総額の比率が、8年度までの平均である20%に低下すると前提に立ち、課税対象となる黒字企業の利益総額が18年度から22年度までに年平均5%増加すると予測しているとか。もうひとつ。黒字企業の課税を少なくしていた繰越欠損金も、17年度以降減少しつつあり、課税対象となる企業所得は、22年度にかけて年率7%で増える見通しとか。まだ満足に法人税を払っていない金融法人も税金を納め出すことも考慮すると、22年度の法人関連税収はバブル期の8割にのぼる見込みとのこと。法人部門の回復が追い風となるので、消費税率の引き上げなしで、2010年代初頭にかけて名目GDP比で3ポイント程度の歳入増加が実現できそうで、こうした歳入増により、一般政府の基礎的財政収支は、16年度の名目GDP比4.3%の赤字が23年度には0.2%の赤字とほぼ均衡化するとのこと。一般政府から社会保障基金を除いた国と地方の基礎的収支は20年度には0.3%の黒字に転じる見込みで、黒字達成時期は「改革と展望」より3年も早いとか。以上の試算を、日銀は担当者の「個人的見解」と断っており、分析は幅を持ってみる必要があるが、それでも、消費税を引き上げなくても財政が直ちに破綻することはなさそうで、経営者や投資家はホッと一息だろうと記事は評する。事実、米格付け会社スタンダード・アンド・プアーズは日本国債の格付け見通しを「安定的」から「ポジティブ」に引き上げているとか。もっとも、それは比較的短期の話で、高齢化に伴って医療費や介護給付金を中心に歳出が増えるため、長期のシナリオは決して楽観を許さず、一般政府の基礎的収支は23年度以降悪化し、37年度には1.4%の赤字となり、37年度以降はさらに大変で、62年度には基礎的収支の赤字は8.9%にも達する見通しとか。新顔の50年国債に投資家は二の足を踏みかねないと記事は評する。かくて短期楽観、長期悲観の未来図が導き出され、最善の対応策は、短期の税収増に気を緩ますことなく、医療、介護などの歳出抑制に力を注ぐことであり、小泉後継政権にその覚悟があれば、金融市場は歓迎するが、半面で、税収増をばら撒きにつかうようだと、文字通り日本沈没となると記事は伝える。
7月のFB発行を減額
 5月25日付け日本経済新聞朝刊5面の「財務省、FB発行を減額」は、財務省が24日、政府短期証券(FB)の発行を減額すると発表したと報じる。国庫金の管理を効率化する一環で、徴収した税金や年金などが一時的に国庫に滞留している間は不必要な資金調達を抑制するとのこと。具体的には7月からFB3カ月物の発行を減額し、一時的な不足は2カ月物を8月から隔月で発行して補うとか。
行政減量・効率化有識者会議が基本的方向を答申
 毎日は5月23日に「<行政減量>有識者会議「基本的方向」、小泉首相に提言」を配信し、政府の行政減量・効率化有識者会議が23日、独立行政法人のあり方をめぐり、民間や他の公的機関で実施できる事務や事業の廃止など見直しの「基本的方向」を取りまとめ、小泉純一郎首相に提言したと報じる。政府は提言をもとに来月にも基本方針を閣議決定し、今秋に各法人ごとの業務縮小や効率化にとりかかると記事は伝える。
相続税増税の方向
 読売は5月23日に「相続税課税強化で政府税調一致、番号制度検討も確認」を配信。
 記事は、政府税制調査会(首相の諮問機関)が23日に開いた総会で、将来に向けて相続税の課税を強化していく方向で一致したと報じる。納税者1人ずつに番号をつけて所得を把握しやすくする「納税者番号制度」の検討を進めることも確認したとも。中・長期的な税制改革のあり方を示す今秋の中期答申に盛り込むと記事は伝える。相続税は昭和63年以降減税を繰り返していて、現在は被相続人100人のうち約4人しか課税対象になっておらず、政府税調は中期的に相続税の課税最低額(法定相続人1人の場合、6000万円)を引き下げて課税ベースを広げる方向で、この日の総会では委員から「世代間をまたぐ富の集中は排除すべきだ」「経済格差を固定化するのは良くない」などと、相続税の増税を求める意見が相次いだとのこと。
免除手続をとって納付率向上
 5月23日付け日本経済新聞朝刊5面に「大阪・長崎社保事務局、保険料無断で免除・猶予、納付率向上へ4万人分」の記事。
 記事は、大阪社会保険事務局が22日、府内の国民年金保険料の免除対象者ら3万7406人について、勝手に保険料を免除したり納付猶予を承認する通知書を送ったと発表したと報じる。同局は「国民年金法に違反しており、勇み足だった」と陳謝しており、関係者の処分を検討するとのこと。長崎社会保険事務局も同日、約5200人の加入者に同様の手続きをしていたと発表し、両事務局合わせると対象は4万2千人を超えることになる。猶予や免除の手続きを取った場合は未納扱いにならないので、計算上、納付率が改善し、一方、加入期間が短くなる分、将来の給付は少なくなるため、本人の同意なしに手続をすることには問題があると記事は解説する。大阪社会保険事務局の菅原昭局長は「個々の事務所の判断で手続きミスをしたが、組織的と言われても仕方がない」としており、同局によると、今年3月までの約5カ月間、局内16の社会保険事務所で、職員が約6万3千人の未納者に保険料免除や納付猶予を申請するための案内文を送付し、うち約2万5千人は申請したが、回答のなかった残りの未納者分については本人の同意が必要にもかかわらず無断で免除にしたとのこと。
第三のビール対策も効果なし
 5月20日付け日本経済新聞朝刊5面に「「第3のビール」増税、値上げせず――「転嫁」通達に小売店そっぽ(底流)」〔A〕の記事。
 記事は、原料に麦芽を使わず低税率が適用になる「第三のビール」の増税を盛り込んだ酒税法改正の施行から3週間弱が経過したが、大手スーパーなどは小売価格を据え置いており、ビールとの価格差を縮め、第三のビールに奪われた需要をビールに戻して税収増につなげるという政府のシナリオが早くも崩れていると報じる。国税庁は3月末にビールメーカーや小売店へ「税率の見直しは原則、販売価格を通じて適正に転嫁されるべきだ」とする通達を出し、「価格は企業の自主的な判断」という文言は入っているものの、増税分を小売価格に転嫁するよう迫ったとか。国税庁は「メーカーが優越的地位を利用して中小の流通業者に増税分を肩代わりさせないようにするため」と言うが、小売価格の見直しを促すことで、第三のビールをより売れないように、ビールをより売れるようにする思惑があると記事は伝える。酒税の年間税収は1兆7千億円で、酒税法改正後の税額はビールが350ミリリットル缶当たり77円、これに対して第三のビールは増税しても28円で、価格転嫁が進まなければ、消費がビールから第三のビールに一段と移り、税収はさらに落ちてしまうため、異例の要請に踏み切ったとか。ところがイオンやイトーヨーカ堂が価格転嫁を見送り、食品スーパーでも値上げを避ける動きが目立っているとか。増税幅が小さく流通コストの圧縮で吸収できた面もあり、店頭での価格差はほとんど縮まっていないとのこと。スーパーなど量販店が台頭する1980年代ごろまでは、アルコール飲料は定価販売が主流で「増税分を上乗せすれば、そのまま小売価格に反映された」(流通関係者)が、もはやそんな時代ではなく、メーカーだけで価格を決められず、主導権が小売店に移っていることはもはや常識であり、「税収狙いの通達なぞは市場の前では無力だ」と記事は締めくくっている。
米軍再編の財源捻出のために中期防を見直しへ
 読売は5月20日に「中期防、正面装備など削減へ…米軍再編の財源確保で」を配信。
  記事は、政府が19日、巨額の在日米軍再編関連経費の財源を確保するため、現行の中期防衛力整備計画(17〜21年度、総額24兆2400億円)を見直し、正面装備の予算などを削減する方針を固めたと報じる。見直しの対象は、19年度予算から3年間とするか、20年度から2年間とするかで調整しているとか。米軍再編の最終報告の内容を実施するために近く閣議決定する際、中期防見直しに言及する方向と記事は伝える。米軍再編経費としては、在沖縄海兵隊のグアム移転費102億7000万ドル(06年度予算の換算レートで1兆1400億円)のうち、日本側負担が60億9000万ドル(6760億円)で、そのうち直接の財政支出が28億ドル(3108億円)、出資金が15億ドル(1665億円)となっており、一方、国内の基地再編費は「地元振興策を含め1兆5000億〜2兆円程度」(防衛庁幹部)として、総額で2兆円を超すとの見方があり、この場合、再編を10年程度で完了するには、年間平均2000億円以上を要する計算になるが、これらの経費について、防衛庁は、沖縄施設・区域特別行動委員会(SACO)関係経費と同様、防衛庁予算の「別枠」を設け、政府全体で財政措置を講ずるよう求めているのに対し、財務省は防衛庁予算の枠内で処理するよう主張し、対立しているとのこと。ただ、防衛庁も、中期防を見直し、正面装備などを一定程度削減することには理解を示しているとか。
社会保障給付の長期推計
 5月19日付け日本経済新聞朝刊1面に「2025年度、社会保障負担7割増――厚労省推計143兆円、抑制へ改革継続必要」の記事。
 記事は、厚生労働省が18日、年金や医療、介護など社会保障給付に必要な税や保険料の負担が、一連の制度改革の効果を勘案しても、37年度には現在より72%増の143兆円に膨らむとの推計をまとめたと報じる。国民所得に対する割合では4.5ポイント高い26.5%になり、負担増を抑えきれず、財政赤字などを加えた潜在的国民負担率も50%を超えるとか。将来推計は社会保障の一体的見直しを検討している「社会保障の在り方に関する懇談会」(官房長官の私的諮問機関)が政府に作成を要請したもので、今国会中にも成立する医療改革法案の負担削減効果を織り込んでまとめたとのこと。歳出入一体改革を検討する際の基礎資料とするとか。年金、医療、介護サービスなどのために国民が負担する税と保険料の総額は18年度で82兆8千億円、37年度まで年間約3兆円ずつ膨らむ計算で、高齢者人口の増加で年金給付や医療費、介護費が膨らむ一方、現役世代は少子化で先細りになり、負担が重くなると記事は伝える。国民所得に対するすべての税負担と社会保障負担の比率である国民負担率は現在の37%から約47%に上昇し、これに国と地方の財政赤字も加えた潜在的国民負担率は37年度には約53%となって、政府が「50%程度」にとどめるとしてきた政策目標を上回ることになるとのこと。
 5面の「社会保障費、厚労省推計――負担膨張止まらず、「骨太方針」策定に影響も(解説)」は、長期推計について、現在の制度のままでは社会保障負担の膨張を抑えきれない実態を浮き彫りにしたもので、政府が6月に決定する骨太の方針2006の取りまとめにも影響しそうと報じる。37年度で143兆円の負担について、推計は16年度から医療、年金、介護の3分野にわたる改革を実施したことで、従来見通しの165兆円から大幅に減らし、単純な国民所得比では30.5%から26.5%に下がった計算だが、それでも18年度の国民所得比の負担率である22%より4.5ポイント高いとか。また推計は出生率や経済成長率など変動可能性が高い経済指標を前提にしており、若い世代が増えなかったり経済が停滞したりすれば負担がさらに膨らむとのこと。こうした中で、医療費の一定額以上を保険適用外とする「免責制度」や、検査や投薬の回数に関係なく同じ病気なら1日当たりの診療報酬を同額とする「定額払い制」拡大などの議論も始まっており、推計には織り込まれていないが、消費税を引き上げて社会保障財源にする議論も自民党内などに広がっていて、今回の推計は、負担抑制に向けた追加策の必要性を裏付けたかたちでもあると記事は評する。