3月8日付け日本経済新聞朝刊2面に「諮問会議民間議員、国から地方への財政支援、5兆円圧縮案提示――総務相らは反発」の記事。
記事は、政府の経済財政諮問会議が7日、歳出削減の柱となる地方財政と社会保障を巡り議論し、同会議の民間議員が国の財政収支を改善するため、国から地方に渡す補助金などを5兆円程度、減らす案を示したが、民間議員主導の改革案づくりに竹中平蔵総務相らは反発して結論は出ず、「小泉改革総仕上げ」の柱となる歳出改革の難しさが浮き彫りになったと報じる。7日の諮問会議では国から地方に補助金や交付税などの形で33兆円(16年度)もの資金が流れている点を民間議員が問題視し、地方への支出は約80兆円となる国の歳出のほぼ3分の1を占め、国は赤字を国債発行などで穴埋めせざるをえないため、23年度に国と地方の基礎的財政収支を黒字にするには、増税しない場合で20兆円の歳出削減が必要で、地方への財政支援の圧縮を、社会保障費や公務員人件費の抑制とあわせ歳出削減策の柱とするのが民間議員のシナリオとのこと。民間議員は与謝野馨経済財政担当相と連携しており、与謝野氏は会議後の記者会見で「地方財政は複雑でわかりにくい。国と地方に財政の不均衡が生じている」と述べ、地方財政改革に取り組む決意を強調したが、収まらないのは竹中氏で、民間議員案のたたき台が各省に示された6日夜から事務方と調整し、7日午後に急きょ開いた記者会見で竹中氏は「地方財政は歳出削減で国より改善している」とまくしたてたとか。昨年末、国と地方の税財政改革(三位一体改革)に伴う補助金削減で激しく対立した「国と地方」「財務省と総務省」の争いが再燃しそうな気配と記事は伝える。対立の芽はまだあり、与謝野大臣が7日、社会保障の給付削減を軸とする中長期的な国民負担水準を複数案つくる考えを表明し、呼応するかのように民間議員が同日の会議で社会保障の規模を経済指標に基づいて示す方法を提起したが、その内容は、国内総生産(GDP)の伸び率を参考に社会保障費を抑える「総額管理」を想起させるものとか。「総額管理」は昨年、厚生労働省などの反対で頓挫した経緯があり、諮問会議の動き次第では自民党厚労族議員らも巻き込んだ対立に発展する可能性もあると記事は評する。