財政再建への動き

破綻しかけている日本の財政を何とかしようという動きを見届ける
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政府税調が動き出している
 1月27日付け日本経済新聞朝刊5面に「消費税上げ議論開始、政府税調、中期答申へきょうから――富裕層の課税強化検討」の記事。
 記事は、政府税制調査会が27日の総会で、税制の将来像を示す中期答申に向けた議論を始めると報じる。消費税率の引き上げや相続税の課税強化などを検討し、高所得者への所得税の増税策も課題となるが、ただ、政府・与党が消費税の増税で一致しているわけではなく、ポスト小泉に向けた政治の動きをにらみつつ、慎重に議論を進める考えとのこと。中期答申はほぼ3年に1度のペースでまとめ、中長期的な税制改正の方向性を提言するもので、通常ならば6月に首相に提出することになる。これまでは家族構成の変化などに応じて所得控除を見直すなど税制のゆがみを是正することが主眼だったが、今回の中期答申は財政再建に向けた政府の「歳入・歳出一体改革」を後押しすると記事は伝える。焦点は消費税引き上げをどう答申に盛り込むかで、税収の使い道を社会保障費に限定する「目的税化」の是非も議論するが、税率の上げ幅もポイントであるものの、財務省内でさえも「具体的な数値を示すのは時期尚早」との声が少なくないとか。政府税調内には、税率を大幅に上げた場合、相対的に低所得者層に負担が重くなる「消費税の逆進性」を緩和する措置が不可欠との声もあり、このため、税率が10%を上回れば食料品など生活必需品の税率を軽減する制度の導入が必要だと提言する見通しとか。富裕層向けの課税強化策も議論し、相続税の課税最低限(遺産相続人が配偶者と子供3人の場合で9千万円)を下げる案を示す可能性があると記事は伝える。一方、所得税は低所得者に減税すると同時に最高税率(現行37%、19年から40%)の適用範囲の拡大などで累進性を高め、「所得の再配分を図るべきだ」と石会長は言っているとか。ただ所得税の増税には与党は慎重とも。
プライマリーバランスは19年度から悪化する
 1月26日付け日本経済新聞朝刊5面に「基礎的財政収支、2007年度から再び悪化、財務省試算、衆院委に提出」の記事。
 記事は、財務省が25日、18年度予算案を踏まえた財政の中期試算を衆院予算委員会に提出したと報じる。財政の健全度合いの指針である基礎的財政収支(プライマリーバランス)は16年度から改善してきたが、歳出削減などを織り込まない今回の試算では19年度から再び赤字幅が拡大し、来年度予算案で30兆円を下回った国債の新規発行額も30兆円台に乗るとのこと。基礎的財政収支は国債発行額を除いた税収などの歳入と、国債の元利払い費(国債費)を除いた歳出の差で、18年度予算案では11兆2千億円の赤字と17年度当初に比べ4兆7千億円改善したが、試算によると赤字幅は19年度に1兆円増えて12兆3千億円となり、その後も毎年3千億円ずつ膨らむとか。試算は来年度以降の名目経済成長率と想定金利をいずれも2.0%に設定しており、国債費は来年度予算案で18兆8千億円だが、21年度に20兆6千億円に拡大し、金利が1%上がると19年度には20兆4千億円、5%になると21年度には33兆1千億円に達するとのこと。
財務相が基礎年金国庫負担割合引き上げに合わせて消費税率アップ
 1月26日付け日本経済新聞朝刊5面に「消費税上げで財務相、「年金国庫負担上げ踏まえて」」の記事。
 記事は、谷垣禎一財務相が25日午前に都内のホテルで日本経団連の奥田碩会長らと意見交換した際、消費税率の引き上げ時期について「21年度までの基礎年金の国庫負担割合の引き上げや経済情勢を踏まえて考えないといけない」と述べたと報じる。奥田氏は「(今年六月の)歳出・歳入一体改革の中心的な議論になる。政治的なリーダーシップで適切に判断してほしい」と強調したとのこと。
金利と名目成長率が同じでも国債費の伸び率が大きい
 1月25日付け日本経済新聞朝刊5面に「国債費の増加額、税収増の2―3倍――財務省が中期試算、増税不可避にじます」の記事。
 記事は、財務省が、長期金利上昇に伴う国債の元利払い費(国債費)の増加額が、税収額の伸びの2―3倍に達するとの中期試算をまとめたと報じる。景気が回復しても、名目成長率の伸びが金利の伸びを大幅に上回らない限り、国債費増が税収の自然増を打ち消すとしており、増税が不可欠との議論への誘導をねらった内容といえそうと記事は評する。近く衆院予算委員会に提出するとのこと。来年度予算案の国債費は前年度比1.7%増の18兆7600億円で、一般会計歳出総額(79兆6800億円)の4分の1近いが、試算ではまず名目成長率と長期金利をいずれも2%に設定し、これを基にそれぞれが3―5%に上昇した場合に税収と国債費がどう増えるか見積もったところ、例えば、19年度の税収は成長率2%で48兆8千億円、国債費は18兆9千億円で、名目成長率が1%上がるごとに税収はおよそ5千億円ずつ増えるが、金利が1%上がると国債費は3倍の約1兆5千億円ずつ増えるとのこと。21年度では名目成長率が5%になると税収は5兆1千億円増えるが、国債費は約2.5倍の12兆5千億円増え33兆1千億円に達するとか。ただ、税収の見積もりはかなり慎重で、野村証券金融経済研究所の木内登英シニアエコノミストは「株や不動産など資産価格の上昇を考えればもう少し税収の伸びは高まる可能性もある」と話しているとか。名目成長率と金利の関係を巡っては、与謝野馨経済財政担当相とその前任者である竹中平蔵総務相の意見が対立しており、「長期金利が名目成長率を下回るケースが日常的に起こるわけではない」とする与謝野氏に対し竹中氏は反発しているが、今回の試算は、経済活性化で成長率が高まっても、大幅な歳出削減か増税が必要との見方で与謝野氏の考えに近いと記事は評する。
18年度の潜在的国民負担率は43.9%
 1月25日付け日本経済新聞朝刊5面に「税・社会保障、国民負担率37.7%に――2006年度、3年ぶり改善」の記事。
 記事は、財務省が24日、所得に占める税と社会保障費の割合である国民負担率が18年度は37.7%と17年度補正後の実績見込みに比べ0.1ポイント低下するとの見通しを発表したと報じる。国と地方を合わせた税負担が実額で1.8%増えるものの、景気回復で国民所得が2.1%増えるためで、社会保障負担は医療制度改革などで横ばいとか。国民負担率の改善は3年ぶりとのこと。37.7%の内訳は、社会保障負担14.7%、国税と地方税を合わせた租税負担率23%で、経済協力開発機構(OECD)加盟国のうち比較できる27カ国中23番目の大きさとか。将来の国民負担となる財政赤字分を加えた「潜在的国民負担率」については、来年度は同1.2ポイント低下の43.9%と4年連続で改善するとのこと。18年度予算案で新規国債発行額が5年ぶりに30兆円を下回るなどにより、財政赤字の国民所得比が前年度の7.3%から6.1%に改善するためとか。政府の経済財政諮問会議は潜在的国民負担率を50%程度に抑える目標を掲げており、財務省は「今後の社会保障給付費の増加に伴う国民負担率の増加は避けられない」(幹部)とみていると記事は伝える。
横浜市が着実に財政再建
 1月24日付け日本経済新聞地方経済面26面に「市債発行額、元金償還額下回る、「隠れ借金」返済に1069億円」の記事。
 記事は、横浜市が18年度予算案で、職員定数の削減や事業・補助金の見直し、民間委託を進め、過去最大となる198億円の経費を減らすと報じる。市債発行額を前年度比8%減にする方針も踏襲し、15年に示した市債発行額を元金償還額の範囲内に抑える目標を達成したとのこと。特別会計や公営企業会計、外郭団体の借入金のうち市税などで償還せざるを得ない「隠れ借金」の返済には17年度並みの1069億円を投入し、一般会計の市債残高は2年連続で減少するとか。ただ人件費、行政運営費などを合わせた経常的経費の削減幅は18年度までの3年間で3.6%にとどまり、10%の目標に届かなかず、これについて、外郭団体の横浜国際平和会議場への百六十億円の貸付金計上など「予定外の費用がかさんだため」(中田宏市長)としていると記事は伝える。
小泉首相は19年の消費税率改正法案提出はないと言明
 1月21日付け日本経済新聞朝刊2面の「首相「法案来年提出ない」」は、小泉純一郎首相が20日夜に首相官邸で記者団の質問に答えて、消費税率の引き上げ時期に関連して「来年に法案を出す状況にはならない。政治家としてそう判断している」と述べ、関連法案の早期提出に改めて慎重な考えを示したと報じる。同時に「任期中は消費税を上げないと明言している。歳出削減に全力であたるのが責務だ」と強調したとか。
谷垣財務相の財政演説
 1月20日付け日本経済新聞夕刊2面に「財政演説、谷垣財務相――「債務残高減、断固たる姿勢」、税制抜本改革、議論深める」の記事。
 記事は予定を告知するもので、谷垣禎一財務相が20日午後の衆参両院本会議で財政演説し、18年度末に国・地方合わせて775兆円に達する見込みの長期債務残高の削減など財政構造改革に向けて「政府の断固たる取り組み姿勢を示す必要がある」と表明すると報じる。消費税など税制の抜本的改革については「歳出・歳入一体改革の一環として国民的な議論を深めていきたい」との考えを示すとか。日本経済について「過剰雇用、過剰設備、過剰債務という三つの過剰は解消したが、四つ目の過剰ともいえる政府の債務は極めて厳しい状況にある」と強調し、「財政の持続可能性への懸念が金利上昇につながる恐れがある」として当面、2010年代初頭の基礎的財政収支(プライマリーバランス)黒字化を目指す意向を示すとのこと。歳出・歳入一体改革では、債務残高の対GDP(国内総生産)比の引き下げなどが論点となると指摘し、今年半ばにできるだけ具体的な改革の選択肢や工程表を提示し、18年度内に結論を得る方針を示すとのこと。18年度予算案は新規国債発行額が29兆9700億円となり、一般会計の基礎的財政収支も3年連続で改善したと説明し、「歳出改革路線を堅持・強化し、歳出・歳入一体改革の議論の土台固めを行うことができた」と強調するとのこと。「弱肉強食の社会ではなく、家族や地域社会のきずなの中で支え合っていく社会であることを示していく必要がある」との考え方も示すとか。
主計官が予算の削減振りを競っている
 財務省サイトは1月17日に、12月27日に開催された財政制度等審議会 財政制度分科会 歳出合理化部会及び財政構造改革部会 合同会議の議事録を掲出。
 当日の議題は18年度予算であり、議事録には各主計官が担当した予算について説明している。興味深いのは、予算のメリハリがキーワードになっていること。ハリの部分はもとより、メリの部分も誇らしげに説明している。特に面白かったのは、防衛担当主計官の次の説明部分。
 一番上の表、防衛関係費、18年度の予算は4兆8,139億円ということで、17年度に対しまして▲424億円、▲0.9%、4年連続のマイナスとなります。今年の予算編成は、円安、あるいは油価格の高騰等の予算増要因がある中での編成でございまして、その下の矢印にございますように、例えば燃料購入費の増要因、プラス125億円を除いた実質削減幅というのは▲1.1%ということで、昨年の▲1%よりは、さらに実質切り込んだ形になっております。
 それで、その下、後年度負担、これは今後、歳出化経費を生み出す原因となっております債務残高でございまして、建議の中でも各年度予算の圧迫要因となっているというご指摘を受けた部分でございます。
 後年度の中の新規の部分を見ていただきますと、18年度で1兆7,943億円ということで、対前年度では+0.4%という数字になっております。下の矢印にちょっと書いておりますけれども、この1兆7,943億円の中には、今年から新たに始めました将来の負担軽減のためのITの複数年度化契約による後年度負担291億円が入っております。これは何かと申しますと、現在防衛庁でレンタルをしておりますパソコン等のIT関係の機器は、単年度でレンタルして、毎年更新するという契約をしているものですから、借料が割高になっている部分がございます。これを国庫債務負担行為をとりまして、複数年度契約にすると毎年の借料が下がるということで、こういうタイプの国庫負担行為を入れております。これは、新たな負担の追加ということではなくて、むしろ、毎年の借料を下げるということで、これを除いた実質ベース、つまり今後新たな負担要因になる部分、これが表の一番右側、18年の実質でございますけれども1兆7,653億円ということで▲1.2%という姿になります。ただ、既定分の後年度負担が+3.2%ございますので、合計でみますと2兆9,995億円ということで+0.6%になります。これは、去年の後年度負担の伸びの1.1%に比べますと下がってはいるのですけれども、やはり予算がマイナスになる中で、ここが増えると持続可能性上、問題ということで、ここについては今後とも取組んでいく必要があるかと思っております。

 前任者(小泉チルドレン)への対抗意識が露骨に出ているように思える。こういう競争意識は結構なことだ。
改革と展望2005
 1月19日付け日本経済新聞朝刊7面に「諮問会議「改革と展望」――基礎的収支黒字化1年前倒し、改革路線加速打ち出す」の記事。
 記事は、政府の経済財政諮問会議が18日に経済運営の指針となる「改革と展望」2005年度版を決めたと報じる。記事は、国と地方の基礎的財政収支の黒字化の時期は1年前倒しして23年度としたと報じるが、展望なので、「前に倒す」と表現する性格のものではないはず。記事によると、改革と展望は政府・日銀の一体となった取り組みで「18年度には物価がプラスに転じその後プラスに定着する」と指摘していて、小泉純一郎首相は「改革と展望の方針に沿って改革を加速していきたい」と述べたとのこと。今回の焦点は、経済財政運営の前提となる経済成長率と金利の関係をどう見通すかだったが、05年度版は、23年度になっても名目成長率は3.2%にとどまると昨年度よりも低く試算し、23年度には4%に達すると見通した04年度版から予想を引き下げたとのこと。
 7面の「諮問会議「改革と展望」――経財相、増税検討に含み」は、今回の見通しでは23年度に基礎的財政収支を黒字化するためにどのくらい歳出削減が必要かを試算しているが、与謝野馨経済財政担当相は18日の記者会見で「十五兆円の歳出削減はやさしい道ではない」と指摘し、増税も検討する必要があるとの考えをにじませたとのこと。

 改革と展望は20日に閣議決定された。
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