財政再建への動き

破綻しかけている日本の財政を何とかしようという動きを見届ける
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自民党に「特定財源見直しに関する合同会議」
 自民党サイトの「ニュース」に11月22日の記事として「特定財源見直しに関する合同会議」が掲出された。
 記事は、特定財源見直しに関する合同会議(座長・石原伸晃衆院議員)が22日に初会合を開いたと報じるもので、同会議は、これまで特別会計見直しについて議論し、さきに「基本方針」をまとめた「特別会計見直しに関するプロジェクトチーム」を引き継いだかたちで、特別会計の見直しについては党行政改革推進本部が整理合理化の方向で検討していて、今後は、特別会計の中でもとくに特定財源を持つ会計について、その財源のあり方などについて議論するとのこと。石原座長は12月上旬までにはなんらかのとりまとめができるよう進めるとの方向性を示したとか。この日は「電源開発促進対策特別会計」と「石油及びエネルギー需給構造高度化対策特別会計」について、資源エネルギー庁から説明を受け議論したとのこと。
特別会計小委の案に対する諮問会議民間議員の案
 11月23日付け日本経済新聞朝刊5面に「特別会計改革、歳出削減に数値目標――諮問会議、見直し手法に力点」の記事。
 記事は、特別会計の整理合理化を巡って、政府内の調整が本格化してきたと報じる。22日の経済財政諮問会議では、民間議員が財政制度等審議会がまとめた合理化案について「さらなる切り込みが必要」と指摘し、歳出削減の数値目標の設定や事業の担い手を官民の競争入札で決める市場化テストの導入を提言したとのこと。政府・与党が年内にまとめる工程表も財制審の5年程度を3年程度に短縮することも求めたとか。会議では、小泉純一郎首相が「特会改革でどれだけお金が浮き、どれだけ増税せずに済むのかを示してほしい」と指示したとも。谷垣禎一財務相が報告した財制審の合理化案は、31ある特会を民営化か独立行政法人化、一般会計への吸収、類似した特会の統合の3段階で見直し、ほぼ半減させる内容で、その判断基準や手法には言及しておらず「後は政治に委ねる」(財務省)としたため、民営化を明確に打ち出した特会は一つもなかったが、今回の民間議員の提言は、逆に具体的な再編案にこそ踏み込まなかったが、財制審案に欠けている見直しの手法について力点を置いたと記事は伝える。最大の特徴は再編の前提として、特会が手がけるすべての事業を対象に、官民のどちらが効率的にできるか競争入札で決める「市場化テスト」の実施を求めた点で、「民営化・独立行政法人化(非公務員型)の可能性を徹底的に追求」したうえで、残った特会について原則廃止し、一般会計に吸収する方針とか。
川崎市が指定管理者制度導入で6億円の削減
 11月22日付け日本経済新聞地方経済面26面に「指定管理者制度導入、6億円経費削減へ――川崎市、12月議会に条例案」の記事。
 記事は、川崎市が21日、2006年4月から「指定管理者制度」を導入する160施設についての選定結果を発表したと報じる。83施設でこれまでと同じ団体が指定管理者に選ばれたが、公募選考による効果で経費は約6億円削減できる見込みとか。今月28日開会の12月定例市議会に関係議案を提出するとのこと。経費削減幅が最も大きいのは市の直営だった養護老人ホーム「恵楽園」で約1億2千万円で、これまでの管理者と変更のない身体障害者療護施設「れいんぼう川崎」でも約5千万円の削減効果が見込まれているとか。市は全施設について公募をしたが、選定委員会のメンバーは全員が市職員で、市総務局は「市の責任で選ぶため職員だけの構成とした。選定では外部専門家の意見も参考にした」(行財政改革室)としているが、選に漏れた応募者からは「透明性に欠ける」との指摘も出ていると記事は伝える。
財制審が18年度予算について建議
 共同は11月21日に「聖域なき歳出改革を提言 財政審が予算建議提出」を配信。
 記事は、財政制度等審議会が21日、18年度予算編成の指針となる建議を了承して、谷垣禎一財務相に提出したと報じる。建議は、18年度予算は将来の消費税増税を視野に入れた歳出・歳入一体改革を進める「土台固め」になると強調し、聖域なき歳出改革を断行すべきだと提言しているとのこと。個別分野では、増大する医療費などの社会保障地方財政公務員人件費の3分野に重点を置き、制度見直しによる歳出抑制を強く求めているとか。建議は政府の経済財政諮問会議が12月上旬にまとめる予算編成の基本方針に反映させると記事は伝える。財務省は建議を踏まえ各省庁と大詰めの折衝に入り、12月20日をめどに06年度予算の財務省原案をまとめたい考えとのこと。今回の建議は、金利上昇で高まる財政の危険性を強調したのが特徴で、大量の赤字国債発行に依存した財政は「将来世代の負担を増加させ、世代間の不公平を拡大している」と批判し、新規国債発行額を30兆円程度へ抑制するよう要請し、また、日銀にも「適切な金融政策運営」を求めているとか。焦点の医療制度改革では70歳以上の高齢者の自己負担を、現役並みに所得がある人は3割に、一般的な人も2割に引き上げるよう要求し、診療報酬は相当規模の引き下げを求め、児童手当の慎重な検討も要請したとのこと。地方財政では地方財政計画の歳出縮減や歳入増の努力を通じた地方交付税の抑制を求め、国と地方財政の三位一体改革については「4兆円の補助金改革、3兆円規模を目指した税源移譲を確実に実現する」としたほか、地方公務員の給与水準や手当の適正化を要求したとか。道路特定財源は「税負担水準を維持しつつ一般財源として活用」と明記したとのこと。

公表資料:平成18年度予算の編成等に関する建議(2005.11.21)
特別会計小委員会の報告書
 11月19日付け毎日新聞東京朝刊に「財政審:特別会計、改革案を正式発表 「検討」多用、配慮にじむ」〔町田明久〕の記事。
 記事は、財政制度等審議会の特別会計小委員会(委員長・富田俊基中央大教授)が18日、無駄遣いの温床と批判が強い国の特別会計(特会)の改革案を正式発表したと報じる。剰余金の一般会計への繰り入れや統廃合で、現在は31ある特会を半減させることなどが柱だが、改革案には「検討」といった表現が多用され、特会を維持したい所管省庁への配慮もにじむ内容になったと記事は評する。改革案は「道路整備」「治水」「港湾整備」「空港整備」の公共事業関連4特会の統合、800億円超の剰余金を抱える「電源開発促進対策特会」で剰余金を一般会計に吸収することなどを求めているが、小委の改革案が出たことで、所管省庁や族議員が、特会維持に向けて動き出すとみられると記事は評する。小委が各省庁を対象に行ったアンケートなどでは、すべての省庁が、現状維持を求めており、富田委員長はこうした省庁の姿勢を「国民の目線から見れば問題がある」と批判したとのこと。

公表資料:特別会計の見直しについて−制度の再点検と改革の方向性−
新潟県が県有不動産を不動産証券化で売却
 朝日は11月17日に「県有不動産を「証券化」 新潟、まず都内の職員住宅」を配信。
 記事は、財政難に直面する新潟県が17日、県有財産の売却に「不動産証券化」という手法の導入を決めたと報じる。不動産を購入する事業者にとっては、証券を発行して幅広く資金が調達できるため、高額な不動産でも「値引き」せず処分できるメリットが県側にあるとみているとのこと。県は「都道府県レベルでは初の取り組み」としており、売却で得た資金は新規事業に活用するとか。県は事業者から売却代金を得るが、事業者は証券発行を通して購入代金を回収し、投資家には家賃収入や駐車場収入の一部が配当される仕組みで、県は「証券化」を前提に事業者を公募し、土地や建物の活用方法などの提案を受けて、来年度に選定する予定と記事は伝える。適用第1号の物件は東京都北区にある県職員住宅で、単身者向け6階建てと家族向け4階建てマンション2棟、土地約2600平方メートル、最寄り駅まで徒歩約5分、東京駅まで乗り換えなしで約20分という好立地とか。土地の固定資産税課税標準額は約3億3000万円で、実勢価格はそれ以上と見込まれ、県は立地条件などから資産価値が高いとみており、事業者にとっても投資家を募りやすいと期待しているとのこと。新潟県の借金にあたる県債残高は2兆4000億円で、厳しい財政の中、新たな手法で新規事業に回す資金を得ることにしたとか。国では旧大蔵省が12年度、東京都内の国有財産を売却する際、証券化を条件に競争入札をしたことがある。この時は、相続税代わりの物納財産の早期換金が目的だったとのこと。
道路特定財源の方向性は未だ見えず
 11月17日付け日本経済新聞朝刊5面に「改革攻防06予算(上)首相VS.省庁、時間との戦い――「改革継続予算」どう布石」の記事。
 記事は、小泉純一郎首相が手掛ける最後の予算編成について、特別会計と特定財源見直しや医療改革など歳出に加え、歳入面でも19年度以降も見据えた税制改革など課題が多いものの、衆院選で圧勝した首相にとって、来年度予算編成は官邸主導で小さな政府に道筋をつける好機であり、その成否は後継首相選びや消費増税の行方にも大きな影響を与えるとして、いろいろな動きを伝える。16日午前の谷垣禎一財務相との会談で北側一雄国土交通相は道路特定財源について「どこまで一般財源化するかも論点ではないか」と口にしたとか。選挙圧勝を機に首相は「暫定税率を上乗せした今のままで一般財源化するよう検討せよ」と指示したが、「全額とは限らない。一部は特定財源に残せるのではないか」というのが国交省の解釈で、国交相の会談での発言は、その解釈を確認する意味合いがあったと記事は解説する。見直しの段取りもあやふやで、首相は年末までに検討しろと指示したが、来年度予算の政府案を決定する12月下旬までほんの1カ月となった現在でも、「本格的な取りまとめは来年」(国交省首脳)との声が漏れてくると記事は伝える。
移行する政管健保の都道府県格差
 時事は11月16日に「保険料率7.6%〜8.7%=政管健保、県ごとに格差−厚労省試算」を配信。
 記事は、厚生労働省が16日、中小企業の従業員らが加入する政府管掌健康保険について、21年度から設定を計画している都道府県別保険料率の試算を公表したと報じる。15年度のデータを基に機械的に計算すると、北海道の8.7%が最高で、長野県の7.6%が最低とか。政管健保は現在、社会保険庁が運営し、保険料率も全国一律で8.2%となっているが、20年10月からは新設する公法人が運営主体になり、また18年医療制度改革は、都道府県が中心となって地域の医療費適正化に取り組む考え方が柱となっていて、都道府県単位で財政運営を行い、保険料率にも差を付けることにしているとのこと。
自民党財政研の方向に変化
 朝日は11月16日に「自民の財政改革研、歳出削減重視に転換 消費税増税批判」を配信。
 記事は、自民党が15日に、消費税増税を前提とする中間報告を10月にまとめた党の財政改革研究会について、歳出削減と経済成長による財政再建を重視する路線へと転換する方針を固めたと報じる。与謝野経済財政担当相に代わり、15日付で同研究会の会長となった中川秀直政調会長が主導してのこととか。財政改革研究会の中間報告は、当時の政調会長だった与謝野氏と、政調会長代理だった柳沢伯夫氏(現・党税制調査会長)らがまとめたものだが、与謝野氏を継いで政調会長になった中川氏は、谷垣財務相が消費税率引き上げ法案を19年通常国会に提出する考えを示したことに対し、真っ先に「拙速だ」と批判の声をあげた党幹部の一人で、「税全体を議論して見直すのが党の方針」などと谷垣氏の発言に理解を示す与謝野氏とも立場が異なるとか。党政調幹部は同日、来年5月までにまとめる研究会の最終報告について「中間報告と同じ色合いにはならない」と強調したとのこと。研究会は、デフレ脱却のあり方と、政府の資産・負債管理のあり方を考える二つのプロジェクトチームを新設し、財政再建の手法として政府資産の圧縮などによる「小さな政府」化と経済成長を重視する中川氏の発案で、今後は歳出削減策を先行して議論することになりそうだと記事は伝える。もともと研究会は、与謝野氏や柳沢氏が「財政再建に関する政府の取り組みは甘い」などとして2月に発足させたもので、当初から消費税増税は不可避という立場から議論を進め、消費税を社会保障目的税化して大幅に税率を引き上げる内容を柱とする中間報告を10月下旬に作成しており、当時、党内では、政府の消費税引き上げ論議を地ならしする内容と受け止められたとか。財政再建の道筋や消費税増税をめぐっては、政府・与党内で意見の違いが顕在化しているが、自民党の片山虎之助参院幹事長は15日の記者会見で「消費税を上げなくてはいけないというのはみんな同じ。(違いは)いつどういう形で上げるかということ」と語ったとも記事は伝える。
国債30兆円以内の前提
 11月16日付け日本経済新聞朝刊3面に「首相、国債30兆円指示――減税廃止なら4兆円増収、景気持続など課題多く」の記事。
 記事は、小泉首相が再び打ち出した30兆円への国債発行抑制について、今年度の新規国債発行額は当初予算で34兆4千億円で、仮に30兆円台に抑えるとすると、歳入増と歳出抑制で4兆円程度を確保する必要があり、最大の追い風は税収増だが、歳出削減との両立なしには目標達成はおぼつかないと評する。国の一般会計税収は今年度当初予算額44兆円で、企業業績改善などにより今年度上半期の税収は前年同期比で約3%増えていて、今年度の実際の税収額は46兆円を超える公算が大きく、こうした税収の自然増に加え、定率減税の半減(約1兆2千億円)や企業減税の撤廃(約1兆円)が実現すれば、来年度の税収は少なくとも48兆円程度になるというのが財務省などの見方とか。今年度予算比で4兆円の税収増になり、これだけで4兆円の国債発行を減らせる見通しとなるが、税収の自然増は景気回復持続が大前提であり、また、企業減税は柳沢伯夫・自民党税制調査会長が縮小の考えを示したが、撤廃には慎重とか。仮に4兆円程度の税収増が実現しても、歳出面では今年度で82兆2千億円の予算規模を横ばい以下に抑えなければならず、年金、医療費などの社会保障費が現状のままなら毎年1兆円程度増えるとのこと。また、今後、金利が上昇すれば、国債の利払い費用が膨らむ恐れがあり、現在の低金利を継続することも前提となると記事は評する。