財政再建への動き

破綻しかけている日本の財政を何とかしようという動きを見届ける
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社会保障費の管理の話が出てきた
 28日付け日本経済新聞朝刊5面に「社会保障給付抑制、管理指標策定を――諮問会議で首相が指示」の記事。
 記事は、政府の経済財政諮問会議が27日、医療、介護など増え続ける社会保障給付費の抑制策について議論し、議長である小泉純一郎首相が「何らかの管理の指標は必要だと思う。厚労相もよく検討してもらいたい」と発言として給付の伸び抑制を視野に議論を急ぐよう指示したと報じる。同日の会議では民間議員が高齢者増加数を加味した「高齢化修正GDP(国内総生産)」の伸びで社会保障給付費を管理する方法を提案し、尾辻秀久厚労相は反対したが、小泉首相は管理指標の必要性に言及したとのこと。民間議員提案に沿った試算では、37年度の名目GDPに占める社会保障給付費の割合は18%程度で、厚労省試算(21%強)よりも抑えられるとか。民間議員は新指標を6月に閣議決定する「骨太方針2005」に盛り込むよう求めたと記事は伝える。

 会議後の竹中大臣の記者会見では、総理の発言を次のように紹介している。
 こうした議論を踏まえまして、総理から次のようなお話がございました。
 国会等でも、どうしても社会保障に関しては、給付は厚く負担は薄く、という議論が出てくる。これは、物事は何でも両面あるんだと。だからこそ、何らかの管理の指標が必要だと思うと。ここは、厚生労働大臣におかれても、よく検討してもらいたいというお話がございました。何らかの管理をしていこう、これからプライマリーバランスの回復に向けて、いろんな議論が出てくるけれども、社会保障の管理が一番重要で難しいところである、しっかりやっていこう、というようなお話が総理からございました。
IT投資減税打切りが政治課題に
 22日付け日本経済新聞朝刊5面に「法人減税、延長論が浮上――「IT投資」「研究開発」年6000億円」の記事。
 記事は、年間6千億円に上る法人税の減税措置を廃止するか延長するかが18年度税制改正の焦点に浮上してきたと報じる。IT(情報技術)投資費用や研究開発費の一定割合を法人税から税額控除する仕組みが17年度末に期限切れとなるのをにらみ、経済産業省は期限延長を求める見通しだが、政府税制調査会(首相の諮問機関)や財務省には「所得税を増税するのに法人減税だけ継続できない」との意見があり、今後、法人の税負担論議が活発になりそうだとのこと。争点となるのは、15年度に導入された企業向けの最大の減税措置である二つの税制で、その一つである「研究開発促進税制」は、大企業の場合、1年間に投資した研究開発費の最大12%を法人税から差し引いて企業負担を軽減する制度だが、このうち10%分は恒久減税だが、15年度末に残り2%分が期限切れとなるとのこと。もう一つはIT投資をした企業を対象とする「IT投資促進税制」で、購入したコンピューターソフトウエアやインターネット設備の取得価格の10%を税額控除できるが、期限が切れる減税の規模は研究開発が1千億円程度、IT投資が5千億円程度とされているとか。経産省の試算によると15年度から17年度までの3年間で研究開発減税が3.4兆円、IT減税は2.7兆円、実質国内総生産(GDP)を押し上げる効果があるとしており、同省は、このほど経済財政諮問会議にこの試算を提示して、景気浮揚や企業の国際競争力の強化、対日投資に役立ったと強調し、18年度改正で期間延長を求める姿勢をにじませたとか。産業界にも減税継続を求める声が根強く、これまで減税の恩恵を受けたのは安定的に多額の法人税を納付している企業だけだが、業績が回復し法人税の納付額が増えつつある企業が少なくないため、「減税を継続すれば効果が一段と高まる」(大手銀行)と見ているとか。しかし、政府税調や財務省がすんなり期間延長を認めるかどうかは微妙であり、特にIT減税については「新規投資の需要が一巡し、役割を終えた」との見方が強まっているとか。定率減税の縮小・廃止など個人の税負担が増えるなかで、企業だけ優遇するわけにはいかないとの判断もあるとの由。このため、関係者の間では早くも期間は延長するが、減税規模を大幅に縮小するのが落としどころとの観測が出ていると記事は伝える。もっとも、諮問会議の民間議員などには国際競争力を一段と高めるため、期間限定の減税措置ではなく法人税率(現在は国税と地方税で約40%)そのものを引き下げるべきだとの意見がくすぶっており、結論はまだ見えないと記事は評する。
財制審は21世紀ビジョンを疑問視
 共同は21日に「楽観的過ぎると批判続出 財政審、21世紀ビジョンに」を配信。
 記事は、経済財政諮問会議に報告された政府の「日本21世紀ビジョン」の財政予測について、財政制度等審議会(財務相の諮問機関)の21日の会合で、「あまりにも楽観的すぎる」「もっと現実を直視すべきだ」と各委員から批判が相次いだと報じる。ビジョンの財政予測は、大幅な増税をしなくても、24年度に基礎的財政収支(プライマリーバランス)の黒字化が可能とした内閣府の試算を前提としており、この前提について、財政審では「どのような特効薬があれば、このような試算が描かれるのか」との反発が続出し、24年度の基礎的財政収支の黒字化は「現状のままでは非常に難しい」との意見が大勢を占めたとのこと。ビジョンでは、消費税率を5%余り引き上げることで30年度までに国債残高や基礎的財政収支が改善するとしたが、ほとんどの財政審委員から「消費税率を大幅に引き上げることが不可欠」「もっとしっかりした絵を描くべきだ」などの不満が出されたとか。財政審は、ビジョンへの不満を踏まえ、2010年代初頭の基礎的財政収支黒字化に向けた具体策を別途まとめ、6月に示す来年度の予算編成方針に盛り込む方針と記事は伝える。
平成23年度に単年度黒字が可能?
 共同は22日に「財政健全化法の制定を 経済同友会が提言」を配信。
 記事は、経済同友会が22日、財政破たんを回避するために、歳入歳出の均衡目標時期や財政規律を定めた財政健全化法の制定などを求める提言を発表したと報じる。財政健全化法では財政収支の均衡目標のほか、国民負担率(国民所得に占める租税と社会保障負担の割合)の上限目標や社会保障給付の伸び率の設定、景気悪化時には一時的に歳出削減を猶予することも規定し、財政再建の取り組みについて責任を明確化するとのこと。目標が達成できない場合には民間企業と同様に、公務員の人件費を削減することも法で定めるとしているとか。提言は、これまでに同友会が提案した、年金目的消費税による税方式の新基礎年金など、社会保障制度の一体改革を前提に歳出を大幅に削減し、結果として23年度に基礎的財政収支の黒字化、26年度で財政赤字が解消すると試算していると記事は伝える。年金の税方式化で保険料負担が減り国民負担率は40%程度に抑制できるとか。
経財諮問会議も消費税アップを前提とした長期試算
 NHKは14日に「歳出削減怠れば消費税10%超に 経済財政諮問会議」を配信して、経済財政諮問会議が、今後の経済財政運営の指針となる「21世紀ビジョン」に、国の財政を建て直すためには、まず消費税を数%引き上げる必要があり、さらに徹底した歳出の削減を続けなければ2030年には消費税を今の倍の10%以上に引き上げなければならなくなるとした試算を盛り込むことになったと報じた。

 政府組織も足並みをそろえつつある。