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産経新聞が2月25日に配信した「みんなの党、予算修正案まとめる 行革で歳出大幅カット」は、みんなの党が25日、子ども手当廃止や国会議員と公務員の人件費削減などで歳出を大幅にカットした平成23年度予算案と予算関連法案の修正案を発表したと報じる。政府案が一般会計総額92兆4千億円に対し59兆8千億円の緊縮予算で、国債発行額も政府案の44兆3千億円に対し17兆7千億円に縮減したとのこと。現行40%の法人税率を20%まで引き下げて経済成長を目指すとか。
公表資料:予算組み替え動議、提出
J−CASTニュースが1月17日に掲出した「高橋洋一の民主党ウォッチ 菅、枝野、与謝野それに総理夫人 財務省キャンペーンに屈した面々」は、菅総理が与謝野馨氏を経済財政担当大臣にしたことについて、与謝野氏が、財政収支均衡を最優先し、その手法は増税というコテコテの財政至上主義者であり、財務省の主張そのものと説く。そして、世論調査で、増税容認が多いことについて、「これまで菅政権で、何度ともなく増税が必要、必要と繰り返してきたので、あきらめの早い日本人は仕方ないかなと思ってしまうだろう。もちろん、これは財務省が周到に仕組んだ増税キャンペーンである。菅総理のみならず伸子夫人も「洗脳」されたようだ。」として、マスコミも各社の経済部エリートを財研クラブ(財務省の記者クラブ)に配していて、その中はサラリーマン記者が多いために財務省からの増税キャンペーンを垂れ流していると説く。そして、「霞ヶ関埋蔵金」を取り上げて、「毎年結局は出てくるのに、いつも当初は「ない」という報道ばかりだ。予算編成の年末になると、それまでの報道とは一転して出てくる。昨10年末にも鉄道建設関連の埋蔵金が出てきた。これで5年連続累計40兆円以上だ。ところが、新しい年になると、また「ない」と報道される。」と称している。しかし、例示されている「鉄道建設関連の埋蔵金」は、「それまでの報道とは一転して出てきた」ものではない。制度上残余金は国庫に返納することとされている金であり、余剰基調であることは一昨年に会計検査院が報告していて報道もされている話だ。これを、見付かっていない財源を示す「埋蔵金」と称することは、「私は知らなかった」と言っているだけのことだ。「社会保障費自然増1兆円というが、その程度なら名目経済成長率を1%上げれば確保できる。こんなことも分からない人たちに国を動かされているなんて、滅多にないくらい悲惨なことだが、あまりに悲惨なだけに長くは続かないだろう。」と語っているが、名目経済成長率が1%上げれば、連動して社会保障費も更に上がることを脇へ置いた議論だ。いずれにせよ、減税と借金による公共投資増大の小渕路線が失敗し、構造改革(端的には郵政改革)と公共投資削減と社会保障費抑制による財政収支改善の小泉路線が成功したという経験を無視した議論はいかがなものか、という気がする。
時事が1月11日に掲出した「消費税、17年度に17%=19年度に財政黒字化―同友会が提言」は、経済同友会が11日、日本の経済・社会の再活性化に向けた提言「2020年の日本創生」を発表したと報じる。提言は、社会保障制度の財源確保と財政再建のため消費税率を段階的に引き上げ、29年度に17%とするよう改めて要求しており、また、税財政・社会保障制度の改革と並行して成長戦略に取り組むことで、31年度に基礎的財政収支の黒字化が可能と訴えているとのこと。桜井正光代表幹事は同日のインタビューで、消費増税を含む税制改革について「(国民に必要性を)説明する政権でなければ、これからは駄目だ」と述べ、菅直人首相に指導力の発揮を促したと記事は伝える。
公表資料:2020年の日本創生 −若者が輝き、世界が期待する国へ−
東京新聞が12月9日に掲出した「環境税 来年10月導入へ 政府税調」は、政府税制調査会が8日、全体会合を開き、地球温暖化対策税(環境税)を来年10月から導入する方針を決めたと報じる。二酸化炭素(CO2)の排出量に応じて石油や石炭など輸入段階ですべての化石燃料に課税するもので、導入に伴う一般家庭の世帯当たりの税負担は、年に1207円増えるとのこと。環境税は増税による価格上昇で地球温暖化につながる化石燃料の消費を抑制することを狙っており、石油石炭税の税率を3〜4年かけて段階的に上げ、最終的には現在より5割増税して、増収分を環境税と位置付けるとのこと。税収は最終的に年2400億円を見込んでおり、これを前提に試算すると、一般家庭の税負担は電気代が世帯当たり月34円、ガソリンは一リットル当たり0.79円増加し、産業向けは原油が一キロリットル当たり790円、石炭は一トン当たり700円の増税とか。ガソリン税と軽油引取税にかかる旧暫定税率は23年度、現行の税率水準を維持するとのこと。民主党は環境税導入で、間接的に軽油やガソリン価格が上昇するのを防ぐ措置を講じるよう提言したが、政府税調は具体策を示さず、党内から反発が出る可能性もあると記事は伝える。
東京新聞が12月1日に掲出した「消費増税含め税制改革を提言 社会保障財源で民主調査会」〔共同〕は、民主党の「税と社会保障の抜本改革調査会」(会長・藤井裕久元財務相)が1日、年金や医療など社会保障の安定的な財源として消費税が「非常に重要」とする政府への提言の素案を取りまとめたと報じる。消費増税を含めた税制の抜本改革の必要性を事実上強調した内容で、民主党が惨敗した参院選以降、封印されてきた消費増税論議が活発化しそうと記事は伝える。素案は、社会保障の安定化のためには「安定的な財源を確保する必要がある」として、消費税を含めた税制改革に一刻も早く着手する必要性を強調しており、税率を引き上げた場合、低所得者ほど負担感が重くなる「逆進性」への対策に取り組む方針を盛り込んでいるとか。ただ、調査会としては税率の引き上げ幅や時期は明示しない考えと記事は伝える。現在の消費税収では、基礎年金、高齢者医療、介護の3経費に対し約10兆円の財源不足があることや、毎年1兆円超のペースで社会保障関係費の自然増が見込まれる現状を指摘し、不足分を国民全体で負担する観点から消費税の利点を重視し、引き上げの際には社会保障目的税化することも示しているとか。
グーサイトに6月15日に掲出された「日本は本当に公的債務問題を抱えているのだろうか?」(フィナンシャル・タイムズ 2010年6月13日初出 翻訳gooニュース)〔マーティン・ウルフ。翻訳・加藤祐子〕は、「日本はどうしようもない公的債務問題を抱えているというのが、日本自身と欧米における通説だ。これは実に説得力のない話だと、私は思っている。日本はせいぜい3%程度のインフレ期待を作り出せば、それで公的債務問題など雪のように消えてなくなってしまうのだ。しかし対応を遅らせれば遅らせるほど、最後には大きな調整が必要となる。」として具体策を次のように提示している。
まず第一に、国債の平均残存期間を現在の5.2年から少なくとも15年に延長するのだ(政府は驚くほど低い長期金利で借り入れができるのに、そんな短期の国債を認めてしまった責任者は、全くの無能だ)。そうすれば日本の国債の平均満期は、英国の13年という遥かにまともな水準をさらに上回ることになる。
第二に、インフレ創出の方法を知っている中央銀行総裁を雇うのだ。たとえばアルゼンチン人の。中央銀行総裁たるもの誰しもそれなりにその気になれば、インフレを作り出せるはずだ。それなりの規模で政府と民間の資産を直接買い上げればいいのだから。政府は国債の満期期間を延長した後に、インフレ目標を3%に設定して日銀を支援すべきだし、同時に、この目標を2年以内に実現できなければ日銀政策委員を全員ばっさりみじめにクビにすると通告するのだ。
第三に、インフレが実際に3%に達したとする。そうすれば日本の国債の利率は5%に上がる。ほかの条件が同じなら、残る公的債務の市場価値は40%下落するはずだ。ここで日本政府は残る債務をこの時点の市場価格で買い直し、公的債務の額面総額をGDP比40%減らすのだ。さらに、インフレ状態の経済環境で日本人は、自分たちが抱える巨額の現金預金の実勢価値がどんどん目減りしていくことに気づく。なので日本人は貯金する代わりに実物資産や消費財を買うようになり、ついに経済は旺盛に拡大するようになるというわけだ。
第四に、こういう状態になって初めて政府は増税と支出削減を実施し、プライマリーバランス(基礎的財政収支)の小幅な黒字化を実現する。政府の借り入れ額は借金の借り換え分だけで充分で、債務比率は安定すると仮定する。どの程度のプライマリーバランス黒字が必要かは、実質金利と経済成長率との関係性で決まることになる。
第3段階の「公的債務の買い直し」ができれば苦労はしない。その財源がないのだ。現在の1.4%の低金利ですら、税収の10%程度17%(20年度決算。22年度予算では26%)が利払いに消えている。もし債務全体の金利が3倍になれば、税収の30%半分程度が利払い(金持ち(小金持ちを含む。)への移転支出)に消えることになり、公債依存度が更に悪化する。したがって、「公的債務の買い直し」は国債発行で賄うことになるが、それにどんな意味があるのか。さらに、年金財政破綻の予想から貯蓄率が上がり、ますます消費が減少することになる。 何より、40%下落した国債は満期保有目的になることが確実であり、誰も「買い直し」に応じない、ということがある。最大の保有者であろう「ゆうちょ」が損出しをしたら国が持たない。