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日経電子版が2月2日に掲出した「財務省、特会の資産監査へ 未利用地など洗い出し」は、財務省が、各省が所管する計17の特別会計について、23年度から新たに未利用地などの資産洗い出しを目的とした監査を実施する方針を決めたと報じる。特に公共事業や空港整備を目的とした社会資本整備特会などには、買収後の事業凍結や計画変更などで未利用となっている土地が多く眠っているとみていると記事は伝える。現在、特別会計の普通財産は管轄する各省庁が財務省に書面で届け出ているが、書面だけでは実態が把握できないと判断し、財務省は4月から土地や建物の現地監査に乗り出すとのこと。同時に各特会の普通財産を財務省が一元的に管理・売却できる制度も新たに整えるとか。特会の土地が道路に面していないなど、単独での利用が困難な場合には隣接する一般会計の国有地と合わせて集約し資産価値を向上させ、売却や貸し付けをしやすくするとも。政府は昨年6月に決定した「新成長戦略」で、国有財産の有効活用を掲げているが、13年度には台帳価格で1兆4338億円あった未利用国有地は財源難による相次ぐ売却で21年度には3789億円にまで減っているとのこと。政府は一般会計の国有財産に代わる新たな「埋蔵」財源として活用する考えだが、監査でどれだけ資産価値を持つ未利用地が洗い出せるかは不明であり、「財源が枯渇する中での苦肉の策」(内閣府幹部)との声も出ていると記事は伝える。
ロイターが12月22日に掲出した「外為特会の剰余金、中期財政フレーム期間は一般会計に全額繰入も」〔東京 22日 ロイター〕は、財務省が22日、外国為替資金特別会計(外為特会)において外貨資産の運用などで発生する剰余金の取り扱いについて、23─25年度の中期財政フレーム期間は、厳しい財政事情に配慮し、一般会計への全額繰り入れも含めて検討する、とのルールを定めて公表したと報じる。行政刷新会議の「事業仕分け」の評価結果を踏まえたもので、外為特会の財務の健全性を確保することが目的とか。現在、外為特会の積立金は、保有外貨資産の約30%を中長期的に確保することが必要とされているが、ルールでは、「当分の間、毎年度の剰余金の30%以上を外為特会に留保し、積立金の保有外貨資産に対する割合を中長期的な必要水準に向け高めていく」ことを基本としつつ、「外為特会の財務状況や一般会計の財政状況も勘案して一般会計繰入額を決定する」としたとか。ただ、現行の中期財政フレーム期間については、外為特会の内部留保額を段階的に増やしていくことをめざすものの、一般会計の財政事情に「最大限」配慮し、「剰余金の一般会計への全額繰入も含めて検討する」ことを明記したとの由。これを踏まえ、23年度予算編成において、同特会の剰余金の全額を一般会計に繰り入れるとか。
公表資料:外国為替資金特別会計の剰余金の一般会計繰入ルール
東京新聞が12月25日に掲出した「公共事業 削減の一途 文教費と初の逆転」〔木村留美〕は、23年度予算案で、公共事業が今回創設する一括交付金に回った分を含めた合計で、5・1%減の5兆4799億円と2年連続して減少しており、ピークだった9年度当初予算と比べ4割以上減っていて、現在の歳出分類となった昭和30年度以来、初めて文教費を下回ったと報じる。民主党が掲げる「コンクリートから人へ」が予算の上で実現した格好であり、さらに自治体向け補助金の一部を一括交付金化することにより地方財政の裁量を高めるなど、「質の転換」も模索していると記事は評する。国土交通省関連は、4・2%減の4兆6556億円で、前年度にも国交省は公共事業費を15・2%削減していることから、馬淵澄夫国交相は「昨年マニフェストに約束した予算削減を果たしている」と、さらなる削減に反対したものの、最終的には農林水産省の4・2%減と同水準で決着したとの由。馬淵国交相は24日の記者会見で「野田財務大臣からは国交省に泣いてもらったという発言があったが怒っていると伝えた」と不快感をあらわにしたとか。一方、財務省側は公共事業に関し「財政が厳しい中、めりはりをつけて編成した」と説明しており、空港整備分野の予算を36・4%減にあたる412億円削った財源で、国内線の航空機燃料に課す航空機燃料税の減税(255億円)を実施し、国内航空会社の経営支援にあてたとしているとか。日本のハブ(拠点)としての機能を求められる羽田と成田の両空港の整備には、特別枠として25・2%増の83億円を予算措置しており、国際コンテナ戦略港湾(ハブ港湾)にも94・8%増の316億円を計上したとのこと。一括交付金は23年度に都道府県へ計5120億円を配分し、地方自治体の裁量で使い方を決められるお金を増やすと記事は伝える。
ロイターが12月15日に掲出した「10年度国債「約44兆円以内」で規律配慮、特会見直し焦点」〔東京 15日 ロイター〕(ロイターニュース 伊藤純夫 吉川裕子 志田義寧)は、政府が15日午前の閣議で正式決定した22年度予算編成の基本方針について、新規国債発行額について「約44兆円以内に抑えるものとする」とし、44兆円を上限と位置づけることを断念したものの、数値を明記したことで、かろうじて財政規律への配慮を示した格好と評する。一方で、財源捻出に際しては、特別会計を聖域なく見直すことで税外収入を最大限予算に活用する方針を打ち出し、今後は具体的な見直し対象や手法が焦点になると記事は伝える。22年度の国債発行額をめぐっては、税収減など厳しい歳入事情とマニフェスト(政権公約)の主要政策実現のはざまで、「44兆円以下」を主張してきた鳩山首相の発言が微妙に修正されるなど、基本方針策定に向けた政府・与党の迷走が表明化し、14日の最終段階でも、特別会計への明確な切り込みを主張する国民新党とのあいだで3回の調整を余儀なくされて、同党が主張する「特別会計の聖域なき見直しの断行」と「最大限活用した予算編成」を明記することとセットで折り合ったとか。菅直人副総理兼国家戦略担当相は、基本方針の決定を受け、国債発行額の表現について、景気に配慮した積極財政と国債市場の信認確保のバランスの中で、ギリギリの判断だったと指摘し、藤井裕久財務相は、基本方針の表現が「約44兆円以内」に後退しても、44兆円以下を「断固貫く」とあらためて強い決意表明したとか。特会見直しへの強い言及を主張した国民新党の亀井静香代表(郵政・金融担当相)は、「(財源を特別会計から)出せることが先だ。その上で(国債によって)借銭するということでないと国民が納得しない」と特会の見直しありきとの考えを強調したが、この点について平野博文官房長官は、「特別会計でどれだけ財源が明示できるか、そこにもっと努力しろというのが首相の強い意志だ」と語ったとか。もっとも、特会見直しについて対象や手段は明らかになっておらず、基本方針にも具体的な言及はなく、藤井財務相は15日の会見で、所管の外国為替資金特別会計の積立金取り崩しの可能性を問われ、「外為(特会の積立金)の中には、外貨資産の損失を補てんする役割がある」と述べるにとどめ、その上で、特会の見直しで捻出した財源を継続的な政策に活用することによる財政規律への懸念に対し、「特別会計の中にはフローとストックがある。フローとしての埋蔵金は(財政規律懸念とは)少し違う」と述べ、主要政策実現などの財源にはフローの部分の見直しが中心となることを示唆しているとの由。予算編成の基本方針決定を受け、政府は予算編成作業に本格的に着手するが、藤井財務相は予算編成のタイミングについて「年内編成が至上命令」とあらためて強調したものの、亀井担当相は、日本経済を異常事態と位置づけて「これに対応する思い切った予算を編成すべき。(予算総額は)結果だ」と主張しており、概算要求段階の95兆円からの圧縮を図る政府とのあいだで、規模や財源をめぐって意見対立が再び表面化する可能性があると記事は伝える。