財政再建への動き

破綻しかけている日本の財政を何とかしようという動きを見届ける
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3月末の借金は924兆円

 中日新聞が5月10日に掲出した「国の借金、3月末924兆円に 過去最高を更新」〔共同〕は、財務省が10日、国債と借入金、政府短期証券を合わせた国の借金が3月末時点で924兆3596億円となり、過去最高を更新したと発表したと報じる。前回発表の昨年12月末時点から5兆2084億円の増加であり、借金を国民1人当たりに換算すると、約722万円となる計算とか。東日本大震災の復旧に向けた23年度第1次補正予算では、国債増発は回避したものの、さらに規模の大きい2次補正では財源問題は避けて通れず、国の借金が一段と拡大する可能性もあると記事は伝える。3月末時点の借金の増加は、社会保障関係費の増大などで膨らんだ予算を国債増発で賄ったことが主な要因で、建設国債や赤字国債などを合わせた普通国債の残高は、8兆1559億円増の636兆3117億円に達したとか。財政投融資の財源に使う財投債なども含めた国債全体では4兆7610億円増え、758兆5690億円に達したとの由。国債以外では、民間金融機関などからの借入金が502億円減の55兆58億円、政府の一時的な資金不足を穴埋めする政府短期証券が4977億円増の110兆7847億円だったとか。

大震災のために再建論議がかすんでいる

 毎日jpが4月27日に掲出した「税と社会保障:集中検討会議、きょう再開 給付抑制、焦点に 医療、財政再建…配分は」〔鈴木直、谷川貴史〕は、東日本大震災で中断していた、税と社会保障の一体改革に関する政府の集中検討会議(議長・菅直人首相)が27日に議論を再開するが、「復興経費は10兆円を超えることが確実」との予測を前に、震災以前に聞かれた「社会保障の機能強化」との声は影を潜め、議論の基調は「給付費抑制」へと傾きつつあると報じる。国家財政のさらなる悪化も予想される中、限りある財源を復興、社会保障、財政再建にどう配分するのかを巡っても政府は難しい選択を迫られていると記事は評する。地震発生から2週間後の3月26日に、財政再建に執念を燃やす与謝野馨経済財政担当相が非公式会合を再開し、財務、経済産業など5省からヒアリングを実施したが、各省は医療費や介護費の自己負担増、年金の支給開始年齢引き上げなど、次々と社会保障削減案を提示し、細川律夫厚生労働相不在の中で進む議論を聞いていた厚労省幹部は「震災前後で空気ががらっと変わった」とため息をついたとか。震災前、検討会議の議論は「社会保障の機能強化」を旗印とするものが目立っており、政府の本音、消費税増税の実現には「社会保障目的税」化することが最も国民の理解を得られると踏んでのことだったが、震災後は一変し、検討会議の委員からも「社会保障に向けられる財源は厳しくなっており、重点化、効率化が一層大事になる」(吉川洋東大大学院教授)といった意見が強まり始めたとのこと。中でも風当たりが強いのが医療分野で、厚労省は当初、一体改革を通じ、市町村の国民健康保険(国保)の財政基盤強化や、65〜74歳の医療費への年間4000億円程度の税金投入を検討しており、この背景には、とりわけ加入者の4割が無職の国保が21年度で実質赤字が2633億円に上っていて、「ほころびが広がれば国民皆保険が崩れかねない」(保険局幹部)との危機感があるとの由。しかし震災後、こうした巨額の財源を要する議論は、「医療の効率化」を求める声に押されており、厚労省も年金改革では、自ら高所得者の基礎年金減額案を提示せざるを得なくなっているとか。集中検討会議は、5月に社会保障改革案をまとめ、必要な財源の規模を示す予定であり、これを受け、政府税制調査会(会長・野田佳彦財務相)が税制の抜本改革を議論し、6月中の一体改革の政府案作りを目指しているが、東日本大震災により、総額で10兆円以上と見込まれる復興予算の財源確保策として臨時国債「復興再生債」(仮称)を発行し、将来の増税で返済する考えを政府・与党が示したために、状況が大きく変わっているとか。少子高齢化に伴って、毎年1兆円超増え続ける社会保障費を賄うには、「最低でも5%の消費税増税が必要」(財務省幹部)との見方が根強いが、これに復興債返済のための増税が加われば、国民負担は一気に膨らみ、与党内の一部から出ている反発が一層高まりかねず、このため、政府内では「消費税増税分を社会保障費に充てる」との一体改革の当初方針を転換し、「増税分は3年程度は復興に使い、その後、社会保障に回す」案も浮上しているとのこと。さらに、震災や原発事故の被害の大きさから、増税そのものへの抵抗が与党内で強まるのも必至であり、一体改革論議は再開するものの、「国民や政治家の関心は復興に集中していて、『マッチング』して考えられる環境にない。社会保障費の財源確保が置き去りにされるのでは」(財務省幹部)との懸念も出ていると記事は伝える。

公務員給与5%カットの方針

 時事通信が3月30日に配信した「公務員給与5%カット検討=東日本大震災の復興財源―民主」は、東日本大震災の復旧・復興財源をめぐり民主党内で、国家公務員の給与を5%カットする案が浮上していると報じる。23年度で約1500億円を捻出するもので、人事院勧告に基づかない給与引き下げは極めて異例だが、全体で10兆円を超えるとされる震災復興費用の財源確保のためにはやむを得ないと判断したと記事は伝える。同日成立した23年度予算に計上されている国家公務員の給与費総額は3兆7642億円で、6月以降に引き下げた場合、約1500億円が捻出できる見通しで、がれき撤去などの災害支援策を盛り込む23年度第1次補正予算案の財源に充てるとの由。民主党案では、月給などを特例的に5%削減する給与法改正案を通常国会へ提出するとか。

国会議員が歳費を4割カット

 毎日新聞が3月29日に配信した「<東日本大震災>国会議員歳費4割削減 半年計300万円、民自公幹事長同意」〔岡崎大輔〕は、民主、自民、公明3党の幹事長が28日、国会内で会談し、東日本大震災を受け、国会議員歳費を半年間、1人当たり毎月50万円、計300万円を削減することで合意したと報じる。震災対応で多額の財政出動が見込まれるなか、国会議員も身を切る必要があると判断したもので、削減額は、国会議員の歳費月額129万4000円の4割近くに当たると記事は伝える。3党は共同で国会議員歳費・旅費・手当法改正案をまとめ、他党にも協力を呼びかけて年度内の成立を目指すとか。削減額は衆参両院で約22億円になり、全額を被災地対策に充てるとのこと。共産党の市田忠義書記局長は同日の記者会見で「歳費カットはいいことだ」と法案に賛成する考えを示した上で、共産党が交付申請していない「年間320億円の政党助成金も、当然返上すべきだ」と指摘したとか。

所得税増税案が財務省で浮上

 時事通信が3月23日に掲出した「難航必至の復興財源確保=所得増税案も浮上―政府・与党」は、東日本大震災の復興財源の確保について、政府・与党が子ども手当などマニフェスト(政権公約)施策の一部撤回に踏み切る方針だが、それだけでは「10兆円規模」(民主党幹部)ともされる必要額に遠く及ばず、新規国債の大量発行による財政の一段の悪化を避けるため、所得増税など時限的な特別増税案も浮上していると報じる。政府・与党は復興のため複数回にわたる補正予算の編成を検討するが、4月中にもがれき撤去や仮設住宅の建設など災害支援を中心とした23年度第1次補正予算案を編成し、その後、港湾や道路などの復旧を含めた本格的な補正予算を組むとのこと。財源に充てるため、23年度予算案で2兆2000億円を計上した子ども手当の見直しが検討されているが、3歳未満への7000円の上積みを撤回しても2000億円が浮くだけであり、子ども手当を撤回して自公政権下の児童手当に戻せば、約1兆8000億円を復興財源に回せるものの、「所得税・住民税の年少扶養控除を廃止したため、多くの世帯が実質負担増となってしまう」(政府関係者)という問題があるとか。さらにマニフェスト施策では高速道路無料化(予算額1200億円)が中止の方向だが、高校無償化(同4000億円)や農家の戸別所得補償(同6000億円)の見直しには政府・与党内に慎重意見が強いとのこと。一方、財務省は財源確保のため国債発行に踏み切る際は、その償還財源として所得税など特別増税が必要とみており、震災による景気減速が懸念される中での増税には各方面での反発が予想されるものの、財政規律を守るためには避けられないとしていると記事は伝える。

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国債の日銀引き受けの動き

 MSN産経ニュースが3月18日に掲出した「10兆円規模「復興国債」発行へ 全額日銀が引き受け
」は、東日本大震災を受け、政府が、復旧・復興のための補正予算編成に向け、主要財源として日銀が全額を直接引き受ける「震災復興国債」を緊急発行する方針を固めたと報じる。複数の政府筋が明らかにしたもので、発行額は10兆円を超す見通しとか。日銀や与党と早急に調整に入り、野党も含めた合意を目指すと記事は伝える。政府は、震災復興対策の新たな財源確保を目指し、平成23年度予算案で計上した子ども手当や高速道路無料化などの財源を全額充当することを検討したが、3兆3千億円程度にしかならず、有効な対策は打てないと判断し、新規国債の発行も検討されたものの、国債を市場に大量流通させれば財政事情が悪化する上、国債の格付けが下がり長期金利の上昇をもたらす危険性があり、このため、震災復興国債を日銀に引き受けさせる案が急浮上したとの由。日銀による国債引き受けは財政法5条で禁止されているが、同条のただし書きに「特別の事由がある場合において国会の議決を経た金額の範囲内ではこの限りでない」と規定されており、今回の震災は「特別な事由」にあたると判断したとか。日銀は日銀法で独立性を担保されており、難色を示す可能性もあるが、与野党に政府の関与を強める日銀法改正の動きがあることから最終的に引き受けに応じるとみられていると記事は伝える。平成7年の阪神大震災の復興対策では3度の補正予算で計3兆3800億円が計上されたが、今回の震災ははるかに規模が大きいことから「10兆円や20兆円では足りない」(亀井静香国民新党代表)との声もあるとのこと。一方、自民党の谷垣禎一総裁は時限増税を提案したが、菅直人首相は「日本経済をさらに悪化させかねない」として否定的な考えを示しているとのこと。政府・与党が目指す復興対策の平成23年度補正予算編成では、23年度予算案に計上された子ども手当(2.2兆円)や高速道路無料化(1千億円)、高校授業料無料化(4千億円)、農業戸別所得保障制度(6千億円)などに充てる予定だった財源を振り分け、残りを震災復興国債で賄う方針で、道路や橋梁、港湾などについて建設国債発行も検討されているとか。

 日経電子版が3月18日に掲出した「震災復興国債の日銀引き受け 財務相ら否定」は、野田佳彦財務相が18日午前の閣議後の記者会見で、与党内の一部で浮上している東日本巨大地震の復興経費をまかなうため日銀に国債の直接引き受けを求める案について「慎重な検討が必要だ」と述べたと報じる。「国債の市中消化も円滑。政府で具体的に検討していることはない」と強調したとのこと。与謝野馨経済財政担当相も同日の会見で、「企業も家計も手元流動性が潤沢だ。日銀が特別なことをやることはない」と否定的な見解を示したとか。

 日銀引き受けを行わせるということは日銀を独立させている意味がなくなる。

22年度の税収はまずまずの進捗

 日経電子版が3月1日に掲出した「1月の税収実績、前年比2.3%減の3兆1714億円」〔日経QUICKニュース〕は、財務省が1日に発表した1月の税収実績が、一般会計の合計が前年同月比2.3%減の3兆1714億円で、22年4月からの累計で11.3%増の26兆3823億円となり、22年度予算(補正後)に対する進捗率が66.5%と「まずまずの進捗」(財務省)と報じる。項目別にみると、12月に支給された年末賞与の減少などを受け、所得税の源泉分が1兆4958億円と1.3%減少しており、制度改正に伴い前年同月が増加していた反動で、相続税も35.2%減の987億円だったとか。たばこ税は0.7%減の764億円で、10月からのたばこ増税に伴う駆け込み需要の反動減が響き、3カ月連続で減少したが、財務省は「数量の落ち込みは改善しており、2月の税収はもう少し上がるのではないか」とみているとか。

危機感が広がり始めている

 J−CASTニュースが3月3日に配信した「米国格付け会社が国債格下げ それでも円上昇、「安全資産」の評価」は、日本国債の格付けが引き下げられ、米格付け会社「スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)」は2011年1月27日、21段階中、上から3番目の「AA(ダブルA)」から1段階引き下、「AA−(ダブルAマイナス)」とし、米ムーディーズ・インベスターズ・サービスも2月22日、格付け見通しを「安定的」から「ネガティブ」に変更して現在は21段階中3番目の「Aa2」から引き下げる可能性を示したと報じる。国と地方を合わせた債務残高(期間1年超)が、23年3月末で869兆円と、国内総生産(GDP)の1.8倍に達するという、先進国で最悪の財政状況にあり、財政赤字削減が進まないのを問題視したのだと記事は伝える。S&Pは14年4月に「AA」から「AA−」に引き下げ、19年4月に「AA」に戻していたが、今回の引き下げについて、32年度に基礎的財政収支(プライマリーバランス)を黒字化する政府目標について「大規模な財政再建策が実施されない限り、達成できない」と指摘し、「債務問題に対する一貫した戦略が欠けている」と民主党政権を批判しているとか。ムーディーズも「債務と成長に関する課題に対し、与野党が有効な政策を 打ち出す能力に不透明感が高まった」と指摘しており、いずれも、6月をめどとする「税制と社会保障の一体改革」のとりまとめが一段と不透明になるなど菅直人内閣の政権運営、また野党自民党の政局優先の対応を含め、日本政治の行き詰まりを重視しているとのこと。ところが、これで「日本売り」になったかというと、そう単純ではなく、確かに、S&Pの格下げがあった1月27日の東京外為市場では、1ドル=82円台前半で取引されていた円相場が83円20銭台まで急落し、長期金利の指標となる新発10年物国債の利回りも一時、前日比0.015ポイント高い年1.250%まで上昇し、2月中旬には同利回りは1.3%台半ばへ、10カ月ぶりの水準に上昇したが、その後は中東情勢の緊迫化に伴う世界経済の先行き不透明感が広がるに連れ、「リスク回避通貨」として外為市場では円買いが強まり、1ドル=82円台に戻し、長期金利も1.2%台に逆戻っているとか。ムーディーズが日本国債の見通しを「ネガティブ」とした2月22日の東京債券市場は、国債利回りが1.27%と前日より0.035ポイント低下(国債価格は上昇)し、「ムーディーズの影響はほとんどなかった」(アナリスト)とか。言うまでもなく、日本国債は95%が国内で消化され、海外保有比率が高い欧米とは際立った違いがあり、1400兆円以上の個人金融資産の範囲内で、少なくとも現状では「日本国債暴落」などの兆候はなく、むしろ国際的な「安全資産」とみなされているのだが、毎年40兆円を上回る国債発行を続けていればいつか、限界が来るはずであり、慶応義塾大学の土居丈朗教授はテレビなどで「2013年に国と地方の借金が国民の金融資産を上回る」と指摘していると記事は伝える。個人金融資産は、住宅ローンなどの負債を差し引くと、実質は1000兆円であり、国債増発が続く一方、団塊世代のリタイヤで資産が取り崩されていくことから、2、3年で国の借金を国民が買いきれなくなるとの由。さらに、23年度予算の関連法案が、「ねじれ国会」のため成立が危ぶまれ、公債特例法案もその中に含まれていて、不成立なら赤字国債が発行できなくなり、歳入の半分に穴が開くことになりかねないとか。同法案不成立が引き金になって国債の暴落が始まるという声も市場では聞かれ始めていると記事は伝える。ムーディーズは国債の見通しとともに、3メガバンクの長期格付けの見通しも、「ネガティブ」としており、これは、国債格下げになった場合の銀行経営への影響を考えた措置とか。万一、国債暴落ともなれば、大量の国債を保有する銀行、生保などへの影響は計り知れず、1990年代前半のバブル崩壊以上に日本経済への打撃になるとの見方もあり、財務省、日銀は市場の動きを注視し、「有事」の際の対応策を練り始めているというが、「政治が与野党を超えて知恵を出さない限り、不安が現実化しかねない」(市場関係者)との危機感が徐々に広がっているとか。

みんなの党が予算組み替え案

 産経新聞が2月25日に配信した「みんなの党、予算修正案まとめる 行革で歳出大幅カット」は、みんなの党が25日、子ども手当廃止や国会議員と公務員の人件費削減などで歳出を大幅にカットした平成23年度予算案と予算関連法案の修正案を発表したと報じる。政府案が一般会計総額92兆4千億円に対し59兆8千億円の緊縮予算で、国債発行額も政府案の44兆3千億円に対し17兆7千億円に縮減したとのこと。現行40%の法人税率を20%まで引き下げて経済成長を目指すとか。

公表資料:予算組み替え動議、提出

自民党のX−dayプロジェクトが動いている

 時事が2月16日に配信した「金利1%上昇で評価損2兆円=大手銀の保有国債に―日銀試算」は、自民党財務金融部会が16日、国債が暴落する経済緊急時の対策をまとめるため、長期金利の動向などについて日銀から聞き取り調査を実施したと報じる。宮沢洋一参院議員が会合後明らかにしたところによると、日銀からの出席者は、長期金利が1%上昇した場合、大手銀行全体で保有国債に2兆円超の評価損が発生するとの試算を明らかにしたとか。宮沢氏は、貸し出しが伸び悩む日本の銀行の余剰資金が国債投資に向かっていることが背景にあると指摘し、試算は「機械的な計算」(宮沢氏)であるとしたとの由。同部会が設置した国債暴落に備えた「X―dayプロジェクト」(座長は最もまともな政治家である林芳正参院議員)が、対策を3月末までにまとめる方針とか。

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