財政再建への動き

破綻しかけている日本の財政を何とかしようという動きを見届ける
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日本にも「独立財政機関」を設立すべきとの主張がある
 ダイヤモンドオンラインが12月10日に掲出した「「コロナでバラマキ」の日本は周回遅れ、世界と広がる財政規律格差の衝撃実態」〔加藤 出:東短リサーチ代表取締役社長〕は、日本では「コロナ対策で一定のバラマキ政策はやむなし」という雰囲気になっているが、世界を見渡すと、来年から増税を実施すると発表した英国をはじめとして、早くも財政規律とのバランスを取り始めているとして、日本と世界の間に広がる格差を紹介し、他の先進国にあり、日本にないものとして独立財政機関を紹介し、日本での設置を提言する。  独立財政機関キャンペーンが始まっているようだ。
議会予算局を日本にも設置しようという動き
 朝日新聞デジタルが8月13日に掲出した「国のばらまき監視する独立機関 設置へ超党派議連が発足」〔榊原謙〕は、政府や政党から距離を置く中立的な立場から国の財政運営について提言する「独立財政機関(IFI)」をつくろうと、超党派の国会議員連盟が発足したと報じる。ここでいうIFIは米国議会予算局のようだ。米国では3権分立が徹底しているが故に議会の付属機関として機能しているが、議院内閣制の国で機能するかは分からない。記事によると、バラマキに走りがちな政府・与党にタガをはめる知恵の一つとして、多くの先進国が設けているが、日本にはまだないからと説明している。議連の名前は「独立財政推計機関を考える超党派議員の会」で、自民党の林芳正・元文部科学相や公明党の西田実仁・参院会長、立憲民主党の逢坂誠二代表特命補佐らが共同代表発起人となり、6月に発足した。主要6党の計39人が参加し、IFIを国会に数年以内に設置することをめざすという。林議員も西田議員も真っ当な議員と思う。記事はIFIについて、通常は公的な資金で設けられ、中立的な視点から国の財政運営や予算の使い方などを分析・評価し、監視や助言を行う独立機関をさし、決まった予算が正しく使われたかをチェックする会計検査院とは違い、これから行う政策の費用対効果にまで踏み込む点に特徴があると説明している。経済協力開発機構(OECD)によると、2019年時点で加盟36カ国中28カ国がIFIを持ち、先進主要7カ国(G7)でIFIがないのは日本だけだとか。広がったきっかけの一つは08年のリーマン・ショックで、各国が巨額の景気対策を打ち出して急に財政状況が悪化したため、財政規律の必要性が強く意識されたためと記事は説く。政治圧力で歳出が増えたり、政府が将来の財政見通しを甘めに見積もったりするのは各国共通の課題で、IFIにはその歯止めとなることが期待されたとの由。記事は、よく例に挙げられるのは、歴史が古い米国やオランダのIFIだという。記事は、米国予算局について説明した後に、日本での動きを紹介している。日本の財政崩壊に危機感を持った超党派の議員がIFIの設置を訴える提言を出したのは2013年。しかし、実現をめざす動きは盛り上がらず、国の財政状況はさらに悪化し、2019年には経済同友会が、参議院に「経済財政推計・検証委員会」を置くなどとした詳細な制度設計案を打ち出し、2020年度に、新型コロナウイルスへの対応で政府が過去最大の支出をして財政状況がさらに悪化したこともあって、今回の議連の発足につながったと記事は説明する。発起人の一人である林議員は「いく通りもの財政の推計が独立した立場から出され、国会で立体的に議論され、国民も見るなかで『このあたりですね』と(いう合意が)できたらいい」とIFIの効果に期待しているとのこと。  アメリカは、建前として予算案を作るのも議会だから、議会予算局の必要性は明確だが、予算案を作成するのが日本の場合はどうなのか。議会調査局とは別に設置する必要があるのかは疑問。
財政再建に邪魔なMMT理論
 ロイターサイトが3月8日に掲出した「焦点:財政拡大理論「MMT」、理想の地は日本か」[東京 8日 ロイター]〔伊賀大記 編集:田巻一彦〕は、MMT(Modern Monetary Theory、現代金融理論)が、注目を集めているとの書き出しで、MMTについて、将来の大統領候補との呼び声もかかるアレクサンドリア・オカシオコルテス氏がMMTを支持したことで注目が一気に高まったこと、提唱者の1人である、ニューヨーク州立大学のステファニー・ケルトン教授が2016年の米国大統領選でバーニー・サンダース上院議員の顧問を務めていたこと、米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長が2月26日の議会証言で「自国通貨での借り入れが可能な国にとって赤字は問題でないという人もいるが、私は間違っていると思う」と明確に否定したことを紹介して、注目を浴びていると伝える。記事によると、この理論のコア部分は、独自通貨を持つ米国のような国では、政府債務の増加がマクロ的な供給不足からインフレを起こすような場合でなければ、経済成長と雇用の増加が続いている限り、政府債務の増加自体は問題ない、というもののようだ。  これは、経済を複式簿記的に理解する議論のようだが、その理解では、利子率と政府債務の利払いについては説明が困難なはず。しかし、そのことが理解されるためには時間が必要だろう。
年金スライド条項をきちんと運用できない
 日経サイトは11月9日に「年金負担3.3兆円減の試算 デフレでも抑制策実施なら」を掲出し、会計検査院が9日に国の29年度決算の検査報告をまとめ、その中で公的年金の給付額を抑える「マクロ経済スライド」について試算していると報じる。記事によると、仕組みが導入された16年度から毎年度発動したと仮定すると、国の負担が累計3.3兆円削減できたことになるという。実際の発動は1度だけであり、検査院は「適切な給付水準の調整が年金財政にとって重要だ」と指摘したと記事は伝える。年金額は賃金や物価の変動に合わせて毎年、改定し、マクロ経済スライドは少子高齢化が進む中で年金制度を保つために、給付額の上昇率を賃金や物価の伸び以下に抑えるもので、今の現役世代が将来もらう年金が減りすぎないようにする仕組みだが、高齢者に配慮して名目の年金額を前年より減らさない決まりがあるため、物価や賃金が落ち込むデフレ状態ではマクロ経済スライドは発動しておらず、デフレが長引いたため、発動したのは物価と賃金の上昇率がともに2%を超えた15年度の1度だけだとか。検査院が、仕組みの効果を調べるために年度ごとに発動した場合の給付水準を試算したところ、28年度で実際の水準より5.0ポイント下回り、基礎年金の国庫負担分は実際と累計3.3兆円の差が開いたという。年金額が現役世代の手取り収入と比べてどの程度の水準にあるかを示す「所得代替率」は16年度が59%で、政府はマクロ経済スライドで26年度に54%に下げる計画だったが、実際は十分に機能しなかったため、所得代替率は62%に上がったとのこと。検査院は「給付水準の調整が適切に行われることが、将来世代の給付の確保のために必要だ」と指摘していると記事は伝える。マクロ経済スライドを巡っては、30年度から未調整分を翌年度以降に繰り越す「キャリーオーバー」が導入されており、物価や賃金が大幅に上がった時に未調整分をまとめて差し引くが、これまでのように物価や賃金が上がらなければ、繰り越し分はたまり続け、年金の支払いを抑える役割は果たせない可能性が高いと記事は評する。厚生労働省は年金の支給開始年齢を65歳から一律で引き上げなくても、マクロ経済スライドで年金財政を維持できるとしているが、実際は十分に機能しておらず、将来的に給付開始年齢の一律引き上げを迫られる可能性があると記事は伝え、財務省は世代間の格差をならすため、支給開始年齢を68歳まで引き上げる案を出したとも報じている。  記事が伝える29年度決算検査報告は概要が会計検査院サイトに掲出されている。記事が伝える試算は、この報告の「社会保障の動向と国の財政健全化に与える影響について」で行われているもので、その概要(PDF形式:132KB)も公表されている。
25年度の臨財債と交付税
 iJAMPが2月4日に配信した「臨財債配分、新方式に完全移行=13年度地財対策で説明会―総務省」は、総務省が、25年度の地方財政対策について、都道府県や政令市の担当者に向けた説明会を開き、臨時財政対策債(赤字地方債)の配分に関して自治財政局が、人口を基礎に全自治体に発行可能額を割り振る方式が、財政力の弱い自治体に配慮した財源不足額を基礎とした方式に完全移行することなどを説明したと報じる。臨財債の配分方式は、23年度から3年間かけ段階的に移行を進めてきており、財源不足方式への完全移行により、不交付団体に配分されていた臨財債は全額、交付団体に配分され、これにより交付団体への臨財債の発行可能額が増え、道府県が前年度比1.4%増の3兆8470億円程度、市町村が1.1%増の2兆3662億円程度となるとか。また、大詰めを迎える自治体の予算編成に配慮し、普通交付税額の推計値を提示し、25年度の基準財政需要額の参考伸び率(臨時財政対策債に一部振り替え前)として、個別算定経費(公債費、事業費補正を除く)のうち道府県分は12年度算定比2.0%の減、市町村分は0.5%の減としたとのこと。地方公務員給与の削減に伴い、新たに地方財政計画の歳出に設けられる特別枠「地域の元気づくり事業費」(計3000億円)について、算定額は道府県分が1950億円程度、市町村分は1050億円程度と試算しており、配分方法は原則として、24年度の国と地方の公務員給与を比べたラスパイレス指数、定員管理調査結果の職員数削減率を使って計算し、人件費削減の実績を反映させるとか。ただ、これまでの人件費削減努力にも配慮し、24年度のラスパイレス指数が100以下の自治体の場合、20〜24年度という直近5年間のラスパイレス指数の平均値と比べて小さい方で代替するとの由。100を超える自治体には、こうした代替措置はないとか。
財政審の25年度予算編成への意見は11月末
 iJAMPが11月12日に配信した「財政審、大詰め近づく=財務省」は、25年度予算編成に向けた財政制度等審議会(財務相の諮問機関)の議論が大詰めに近づいており、先週の財政制度分科会では、公共事業と農林水産関係予算が議題に取り上げられ、人口減少が進む中でのインフラ整備の在り方や、民主党の看板政策である戸別所得補償などについて意見を交わしたと報じる。公共事業をめぐっては、21年の政権交代以降、予算額の大幅削減が続いているが、25年度予算も各府省からの概算要求総額が大きく膨らんでおり、政策的経費を中期財政フレームで定めた「71兆円以下」に抑えるためには、もう一段の削減は避けられない情勢とか。与野党内には、防災・減災対策を強化する観点から公共事業増を求める意見もあるが、財政審の場では、「(公共事業を)削り過ぎているのではないかという批判は頂かなかった」(財務省幹部)ことから、縮減路線の変更はなさそうと記事は伝える。財政審は今後、「あと3回プラスアルファ」(別の幹部)の会合を経て、11月末に意見取りまとめを行う予定で、これまでの会合では公共事業だけでなく生活保護や地方交付税にも切り込む姿勢を示しており、11月末にはこれらの予算縮減に向けて、厳しいメッセージを出すことになりそうと記事は説く。
23年度普通会計決算
 日経サイトが10月8日に掲出した「「借金危険水域」自治体4割減 11年度総務省調べ」は、地方債の発行に都道府県の許可がいる「借金危険水域」の市町村が23年度決算で107団体と、22年度に比べて4割弱減ったと報じる。各自治体が地方債の繰り上げ償還や新規発行の抑制を進めたことで、地方債の残高が減少傾向にあるためであり、北海道夕張市の財政破綻の後、市町村でも経費削減などの取り組みが進み、少しずつ財政状況が改善してきたと記事は評する。総務省が23年度の自治体決算をもとにまとめたもので、地方税や普通交付税などの財源のうち、地方債の償還などにあてられた比率を示す「実質公債費比率」について、18%を上回る団体が22年度決算よりも62団体減っていたとのこと。地方債の制度では、この比率が18%以上の市町村は地方債の発行に都道府県知事の許可が必要になり、これは、借金が膨らんで財政に余裕がなくなるのを防ぐための措置で、借金が危険水域にある自治体が減ったのを受け、市町村全体の実質公債費比率も23年度は9.9%と、22年度と比べて0.6ポイント下がっているとか。23年度末の地方債残高は22年度末比0.7%減の54兆8000億円となっていて、4年前の19年に比べると2兆円減っているとのこと。 公表資料:平成23年度市町村普通会計決算の概要(速報)
大阪市が扶養義務者の勤務先や収入に関する聞き取り調査
 MSN産経ニュースが6月30日に掲出した「扶養義務者を全件調査へ 橋下市長方針「生活保護は広域行政で」」は、大阪市の橋下徹市長が29日、大阪府東大阪市などで市職員の親族が生活保護を受給していた問題を受け、大阪市内の全受給世帯(約11万8千世帯)に対し、扶養義務者の勤務先や収入に関する聞き取り調査を行うことを明らかにしたと報じる。7月上旬に始めるが、担当者に負担をかけないよう受給者との定期面談などを利用するため、調査期間は半年程度にわたる見通しとか。橋下市長は当初、市職員に親族の受給者の有無を聞き取り調査する考えを示したものの、方針転換したもので、「公務員は職が安定しているし収入も高水準。なぜサポートできないのかと考えるのが市民の率直な感覚だ」と述べる一方、「生活保護の適正化につながるような調査をやらなければ意味がない」と指摘し、公務員に限らず、経済力がある扶養義務者をピックアップし、改めて扶養の可否を照会するとのこと。また、橋下市長は「大阪市で生活保護を受けている人は他都市からの流入もあり、もっと広域で考えないといけない」とし、大阪都構想実現後は、少なくとも財源負担は広域自治体の大阪都で担うべきだとの考えを示したとか。指定都市市長会が生活保護費の全額国庫負担を求めていることについては「自治体の受給認定業務がいいかげんになる」と否定的見解を示したものの、「(主張するなら)業務も国に返上したらいい」とも述べたとか。
地方自治体の財政再建は2025年までがチャンス
 J−CASTニュースが6月7日に掲出した「「地方自治体の財政再建」は2025年までがラストチャンスだ」〔大庫直樹〕は、筆者が大阪府の歳出、歳入をどこまで人口と結び付けられるかトライした経験から、過去の履歴をとってみると、歳入は法人税の動向次第で大きくぶれるので、なかなか予想できるとは言い難かったが、歳出はあまり大きなブレは見つからず、歳出費目ごとに受益者を大まかに決めて、過去の1人当たりの費用実績から推測したところ、兆円単位の歳出なので100億円単位のブレを気にしなければ、将来の必要歳出もかなり予想できそうと説く。そうしたシミュレーションをしてみると、自治体にとって意外な事実が発見でき、実は、年少人口がこれから急激に減少していくことは、歳出もその分急速に減少していくことを意味していると説く。学齢になれば全員が学校に通うので、教育費は必ずかかり、一方、福祉や医療費は、老齢だからといって全員に発生するわけではなく、後期高齢者医療費のように、国の負担割合が多いこともあって、自治体では高齢者の増加が極端な歳出増にはつながらないとの由。60代くらいの世代は消費性向もそれなりにあるし、税収にも貢献するわけで、財務面だけから自治体戦略を立てるのなら、高齢者に魅力のある都市づくりを進めていくことも選択肢になりうるとか。壮年中心の都市戦略かどうかは別にしても、シミュレーション結果からは、これから10年くらいの間、自治体の財政が少しだけよくなりそうな気配があることが重要で、年少人口が急激に減り、その割には高齢者の人口が少なく、今と同じ受益者あたりの費用なら、歳出が減る可能性もあるとか。逆に、この10年を逃してしまうと、いくら年少人口が減るといってもゼロにはならないから、その減少傾向は横ばいに方向になり、その一方で、高齢者は生産労働人口の定年で、しばらくの間は増え続け、また、高度成長期に建設した道路、橋梁、建物の老朽化は進み、大量の更新需要が生まれるとのこと。結果として、財政的にほんのちょっと薄日が射すこの10年を逃してしまうと、ますます自治体の財政立て直しは難しくなり、「自治体の再生」は2025年までがラストチャンスと筆者は説く。
京都市が生保不正受給対策を強化
 iJAMPが6月1日に配信した「生活保護の不正対策で人員増強=京都市」は、京都市が6月から、生活保護費の不正受給の告発に当たる「適正化担当チーム」を支援する要員を新たに非常勤嘱託として配置すると報じる。生活保護の適正化に向けた不正受給対策強化の一環で、要員は計7人、市民から寄せられる不正受給に関する通報への 対応などに当たるとのこと。生活保護の不正受給は近年目立っており、市は昨年4月、悪質な不正受給を告発するため、保健福祉局の部長級以下6人によるチームを編成しており、前年度は4件、今年度はこれまでに1件の不正受給を告発しているが、市は不正受給の早期発見、不正受給分の徴収などの体制をさらに強化する必要があると判断し、同チームを支援する要員7人を新たに配置することにしたとの由。支援要員に採用したのは、警察OBや債権回収の経験者らで、具体的には、▽市民から寄せられる不正受給通報への対応、▽悪質な不正受給案件に対する福祉事務所への協力、▽不正受給分の徴収―などの業務に当たると記事は伝える。